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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
62/93

メインクエスト:小目標『遺跡で暴れている魔砲使いを止めろ』


   △


 遺跡の試練に挑む者は四つの掟を守るべし。


一つ、各階層と部屋ごとに定められた条件を満たすこと。


二つ、無駄な破壊は慎むこと。


三つ、死者を冒涜せぬ事。


四つ、手足を持たぬ生き物と敵対せぬこと。


「これらの掟を守り、知恵と力と勇気を示せば自ずと道は開かれる。……のですが」


 墓守の家の長ペイダンは困惑と焦燥によって、本来だったら試練の挑戦者に対して言わない内容を口にせざるを得なかった。


「今はとにかく、神殿で暴れているあの魔術師をなんとかしていただきたい。可能ならば今すぐにでも案内します」


 ハダホイタヤへやって来て村長への挨拶を済ませてから数十分ほどしか経っていないというのに、トントン拍子で話が進み、さらに有無を言わせない雰囲気のペイダンに圧倒されたヤギリは首を縦に振るしかなかった。


「わ、わかりました。すぐになんとかしましょう」


 そう言いつつヤギリは後ろをちらっと振り向く。


 アルミナは「どうした?」という表情でヤギリの目を見つめ、サーベイは「面白そうな事になってるじゃん」と自分の顎をさすり、キリバは「そんな安請け合いして大丈夫なのかよ?」と呆れと不安の混ざった顔で目を細めている。


 どの道行くしかないんだ。


 ヤギリは自分に言い聞かせるように心の中で呟き、ペイダンへと向き直る。


「先に挑んでいるチカという魔術師は今のところ命の危険はないんですね?」


「掟を3つ、あるいは4つ全てを破らなければ、まず命の危険は無いと思います」


「もし全部破るとどうなります?」


「全ての階層から墓の衛士達が誅殺しに来ます」


「……それは、通常の通路を通って、ですか?」


「ええ。それ以外の特殊な通路もありますが」


「なるほど、わかりました」


「では、行ってくださるんですね!?」


「行くしかないでしょう。殆ど交流はなかったけれども一応は知り合いですし」


「ありがとうございます!」


 そうしてヤギリ一行は墓守の長じきじきに案内されて遺跡への道を辿る事になったのだ。


 そもそもの話。

 チカが何故暴れているのかというと、それは特定の部屋に閉じ込められたからで、では何故閉じ込められてしまったのかというと、掟の一つ目と二つ目を破ってしまったからである。

 もっともその時点では、遺跡の攻略のために進むことはできないが遺跡からの脱出は可能な状態だ。しかしその場合、脱出した挑戦者はしばらくの間遺跡に入ることは許されない。

 再挑戦に時間がかかる事が嫌なチカはごり押しで行こうと決断し、力の限りの魔砲を放ち、普通なら突破不可の扉を破壊しようと奮起している。

 扉とその周りの壁は厳重に対魔力の保護をされていてまず破壊される心配はないのだが、チカの魔砲の威力も半端ではなく。純粋な衝撃によって部屋の保護されていない箇所にダメージが蓄積されているのだ。

 このままでは遺跡序盤の上階層がボロボロになってしまうと墓守は危惧したのだが、挑戦中の者(特に掟を破った者)への接触も禁じられているので、どうしようも無い状況に困っていた。

 そこへちょうど現れた新たな挑戦者がヤギリだったというわけだ。




 遺跡へ向かって歩いている途中ヤギリは思った。


(これはなにか、ガメスがいろいろと手を加えているような気がする)


 この時、なんの通知音もログの表示もなくこっそりとGNPが5ほど追加されていた。


 ちなみに、ガメスは暴れているチカに何も言わないのかという疑問があるかもしれないが、そもそもガメスはナビゲーターのように常に誰かのそばで助言してくれる存在というわけではない。

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