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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
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ギャラクチカのギャラクティックルート2


   △


 城を脱出したチカはカマルナムの東、ネルケセク共和国との国境を少し超えた先にある村の近くに降り立った。

 一息ついたところで、チカは最初の大目標として「ジュミラの結界の結び目の破壊」をガメスに設定される。

 城の脱出の時こそ強力な攻撃手段を用いることができたが、調整を受けた後となってはレベル上げなどによる能力値の上昇、装備やアイテムの調達とスキルの取得が不可欠であった。

 ガメスはチカにできるだけ早く目標を達成してもらえた方が状況的に喜ばしいのだが、冒険を始めたばかりで何もかもスムーズに上手くいくことはないだろうし、ヤギリの例もあるため、多少の日数がかかっても仕方ないだろうと考えていた。


 しかし、チカの思考や行動力の凄まじさに、またしてもガメスは驚かされることになる。


 チカは、ガメスが当初望んでいた「ゲームをプレイする感覚で」を地で行くタイプだった。

 大目標やカマルナムの事情とはほとんど関わりのない、いわゆるサブクエスト的なものを可能な限り受注・開始させクリアし、自分にとって有用な装備やアイテムを片っ端から手に入れ、且つレベルアップやスキルの解放も序盤としては極めて効率的に行っていった。

 結果、彼女は数日で大目標を達成した。

 ガメスが最も難易度の低い場所の結び目を指定したとはいえ、脱帽ものの速攻制覇であった。早期達成ボーナスとしてチカにいくつかのGNPとスキルポイントを与えたほどに。

 

 ただ、「弊害」と言うほどではないが、チカのクエストに関わった人々の目には、彼女の行動は奇妙奇天烈に移るものが多かった。

 

 狂人?

 薬をやっている?

 何かに憑かれているのか?

 あれが本物の魔女だ……。

 

 などの印象を与えてしまっている始末。……やはり弊害と言ってもいいかもしれない。

 それだけならまだ良い方で、ひどい場合だと明確に相手に敵意を持たせてしまうことも時々あり、ガメスがヒヤヒヤする場面もあった。

 しかしチカが凄いのは、最終的にはいろいろと帳尻を合わせてクエストに関わった人を納得させたり、うまく丸め込んだりする所だ。

 良くも悪くも「力技」が彼女の持ち味なのである。

 この持ち味、素質は必ずしも「脳筋」と同義ではない。こう見えてチカはそれなりの思慮深さを持ち合わせている。 可能であり有効である手段が目の前にあるなら、迷わず惜しみなく活用するのが彼女だ。

 序盤の迅速な装備充実と大目標の早期達成が重要と判断した彼女は、人々との現実的常識的交流が疎かになり、結果的に奇異な存在として印象を残すに至ったのである。


 それにしても、彼女の能力はそんなに強力なのかと疑問に思う者もいるだろう。

 実は彼女もヤギリのように縛りがある。

 しかもその縛りは、自らガメスに頼んで調整してもらったものだ。


 チカはいかにも魔術師という感じの格好で杖も所持しているが、魔術を活用して遠距離攻撃手段を確保しているだけであって、厳密には魔術師ではなく魔砲使い。つまりは「シューター」である。

「星属性の魔力」の「光弾」を「撃つ」。基本的な彼女の術理はこれだけである。そして、照準の調整や発射のタイミングは彼女の杖による制御(ほぼ手動)なのだ。つまりは銃を使って弾丸を撃ちだしているのと同じということ。

 しかも、星(光)属性以外の魔法は取得しないから火・水・雷の三属性のスキルツリーを封印してほしいとまで要求。

 チカはこういった縛りと引き換えに、本来別の部分に割かれるはずのリソースを総魔力量、射程、威力、スキルポイントに反映させてもらったのだ。また、ヤギリに負けず劣らずのGNP取得頻度である点も火力増進に繋がっている。

 

 城を脱出してそれほど経っていなというのに、ガメスすらも利用して、自分のプレイスタイルを確立していったチカは、早い段階で「火力で解決できる事なら大体解決できる」状態になっていた。



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