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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
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不安の種


   ◇

 

 冒険者ギルドから宿へと戻る道すがら考え事をしていると、後ろからキリバに話しかけられた。


「何をそんなに悩んでるんだよ。爺さんの情報以上の事が聞けなかったからか?それとも地図が持ち出し禁止だったからか?」


 キリバの言う通り、新しい有益な情報は得られなかったし遺跡の敷地内の地図もその場で見せてもらっただけだが、俺は別にその事で悩んではいない。


「いいや、俺が悩んでるのはそういう事じゃない。それに、地図は今夜手に入れる予定だ」


「……じゃあ何を考えてるんだよ。ギルドに忍び込む算段でもつけてたのか?」


「『得体の知れない女魔術師』の事だよ」


「女魔術師がそんなに気になるのか?」


 なぜかアルミナが反応してきた。


「知ってる奴かもしれないんだよ。その魔術師は」


 遺跡の地図を見せてもらい一通りの情報を聞き終えた後、気になっていた『女魔術師』の事も訊ねた。

 受付の男は最初「他人の情報を教えてしまえば信用を失くしてしまう」と言っていたのだが、テーブルにいた冒険者が「冒険者に登録してないやつまではその範疇じゃないだろう?それに、もう『得体の知れない女魔術師』という情報は漏れちまってるしなぁ」と横槍を入れてくれたおかげで情報を聞き出すことができた。「漏らしたのはアンタだろうが!」と受付の男は憤慨していたが。

 その女魔術師は3日前に現れ、遺跡の情報に銀貨5枚払うと言ってきたらしい。不思議な雰囲気と暢気さで時々よくわからない言葉を使い、少々奇抜で高価そうな装束に魔法の装具と武具を身に纏っており。さらに特徴的なのは貴族や金持ちじゃなきゃ身につけないような『眼鏡』をしていたという事。


 ギャラクチカ。


 カマルナムの城でほとんど交流はなかったが、他の面々と比較してもかなり印象が強い彼女の事がぱっと思い浮かんだ。笹川やベスバーの次くらいに姿がはっきりとしている。

 情報から読み取れる印象が似ているだけでまったくの別人である可能性は高いが、俺がカマルナムを脱出してからの日数を考えれば他の守護英雄が旅をしてレベルを上げているというのも考えられる。俺の捜索と討伐あるいは捕縛という線もあるが、その場合単独で行動しているのは不自然だ。

 どの道、カマルナムがどういう方針なのかもわからないのだからアレコレ考えても仕方がない。

 せめて、その女魔術師に気取られる前に俺達が向こうの姿を確認できるように注意を払わなければならない。


「もし知り合いだったらマズイのか?」


「わからない。ただ、向こうがこっちに気づく前に、こっちが向こうの姿を確認したい。……本当に知り合いだったらな」


「……ヤギリ。もしかしてお前、守護英雄のあいつだと思っているのか?」


 黙っていてくれるだろうと思ったアルミナがうっかり口走ったものだから「ちょっ」と口から零れそうになる。


「守護英雄??なんだよそれ?」


 ほら見ろ。キリバが気にするに決まってるじゃないか。なんて説明すればいいんだよ。


「あ~~。それはだな……。ムロノスに戻ったら話すよ。今はちょっとうまく説明できない。とにかく、できるかぎりその女魔術師に先に気づかれることがないように頼む」


 俺はアルミナを見て「今のは余計な台詞だったぞ」という視線を送った。


 アルミナは「……スマン」という感じで目を右の方に逸らした。


「まあいいけどよ。明日の出発前に冒険者ギルドで泥棒に失敗して捕まるなんて事だけはやめてくれよな」


「わかってるって」


 不安な要素がちょこちょこと出てきてはいるが、盗みに関して、しかも夜の家屋に侵入しての仕事となれば心配することなど何もない。

 

 まずは宿に戻って夜まで少し休息をとるとしよう。



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