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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
51/93

メインクエスト:小目標『ムヅラから情報を得る』1


   ◇


 俺とアルミナがムヅラの家へ戻ったのは、ようやく陽が傾いてきた頃だった。

 家に入ってきた俺の顔を見たムヅラはやはり、襲撃にあったのだとすぐにわかったらしく「随分明るいうちに仕掛けて来たもんだな」と言った。


「たぶん、俺が暗闇に紛れるのが得意だとバレてる。それに、人数も増えて装備も強力になってた。次はもっと対策を練って来るはずだ」


「ほう……。見たところアルミナの身体も本調子じゃなさそうだが、そんな状態で対処できるのか?」


 アルミナの方を見る。不服そうな顔で腕を組み「聞かなくてもわかるだろうに」という視線を送ってくる。


「……いいや。無理だ」


 俺ははっきりと答えた。


「それだけはっきり言うって事は、いよいよってわけか」


「ああ爺様。一度ここを離れようと思う」


 思ったよりも早かったな。という顔でこちらを見るムヅラ。俺も同じ気持ちだ。それだけ、カマルナムと魔帝国の連中が焦ってるということでもある。だが、俺が狙われてる内は他の守護英雄達は無事なはず……。いや、これは半分願望だな。


「離れるのはいいが、これからどうする気だ?どこか行く当てでもあるのか?」


「その事なんだが……」


 俺はアルミナの不完全な力の事を自分の知っている限りの範囲で説明した。彼女が力を取り戻したいという事も。そして、俺は俺で戦闘の大なる部分を担うアルミナを補助するだけの力、もしくは武具や装備を手に入れたいとムヅラに話した。


「なにか、情報はないか爺様……」


 縋る思いでムヅラの顔を見る。ムヅラは俺の目を真っすぐ見た後、思案するように目を瞑り顎髭を数回撫でた。


「……アシバの南東には古代の遺跡群があってな。危険な領域だからと国が管理するのも放棄した場所なもんで、貴重なお宝もほとんど手つかずで眠ってるんだ」


「白ムジナもまだ手を出してないのか?」


「ああ。一通りの情報収集はしたがな、危険の方が大きいと判断して手を引いたんだ。どちらかって言うと、盗みよりも腕っぷしの強さの方が重要みてえだったからな。うちの連中にはちと厳しい。だが、アルミナとお前ならなんとかなるだろう」


「本当か!?」


「喜ぶのはまだ早いぞ。調べたと言っても、遺跡の中を隅から隅まで知ってるわけじゃねえし、遺跡の外も問題がある。お前らに必要な物が手に入るかどうかも分からねえ」


「だけど、今のところはそこにしか望みがなさそうだ。その遺跡の事をもっと詳しく教えてくれ爺様!」

 

 ムヅラはアシバ南東の古代遺跡群について詳しく話してくれた。


 南西に向かって長く緩やかな三日月状に伸びるアシバ半島のちょうど中間から南東に向かって突き出る形になっているタレヅノ地方。その東部にある大森林を切り拓いて創り上げたかつての王国『ピキリーナ』の遺跡群が目的地。

 その中でも重要なのは3つ。『宮殿の廃墟』『神殿』『王の墓所』だ。

 特に『王の墓所』は財宝も納められてるので必ず攻略しなければならないという。無論、危険度は最も高い。

 そして遺跡の外には番犬のような猛獣が数頭徘徊しているらしく、それらを排除して遺跡を探索するのが一番最初の難関になるという事だ。


「それからな。儂らは行かなかったが、遺跡の近くには王国の末裔が住んでる村がある。上手く事を運べば、そこでもっと役に立つ情報が手に入るかも知れねえ」


「末裔って言うのは本当なのか」


「ああ本当だ。遺跡を守る番人……墓守の一族らしいからな」


「……墓守って事は」


「『これから遺跡のお宝を頂戴します』なんてのがバレたら協力どころか殺されるだろうな」


 面倒なことになりそうだと思いつつも、俺は少しワクワクしていた。


 こういうのだよ!ゲームならこういう感じの展開じゃなきゃ!


「……どうした?怖くなったか?」


 ムヅラが、まさかとは思うが、という風に聞いてきた。


「いいや。楽しくなってきた」


 俺の笑顔は今、まさしく悪そうな盗賊のソレになっているだろう。



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