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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
42/93

メインクエスト:小目標『キリバに助太刀せよ』3


   ◇


 キリバが喧嘩をしていた。


『喧嘩』という表現は正しくないかもしれないが、とにかく数人の青年たちを相手に、不利な戦いを繰り広げていた。どれくらいの時間が経過してるかは分からないが、たった一人でよく持ちこたえている方だろう。


 助太刀するなら今しかないよな?


「すぅー……」


 深く息を吸って気配を消す。まだこちらに気づいていた者はいないはず、一人くらいならなんとか相手を出来るだろう。アルミナは……、傍観するみたいだな。


 キリバの右隣まで近づく。ちょうど、俺の前で拳を振りかぶってる奴がいたので腕を掴む。一発殴ろうと思っていたが、直前でビビってしまった。


「あ!?なんだお前!」


「その辺にしておッ……ぐ!」


 驚いた男は俺の言葉を聞くよりも先に右ストレートを放ってきた、咄嗟に交わしたつもりだが、左の頬にそこそこの衝撃を受けた。痛みはそこまでなかったが、少し頭に血が上った。


「やめろと言っている……!」


「あんたなにしてんだ?余計なことすんな!」


「うるさい!俺の勝手だ!」 


 俺を殴った男が距離をとる。 戦闘態勢に入った。


〈戦闘のチュートリアルを開始します〉


 電子音が脳内に響くが、今はもどかしく感じる。


 そんなものいらねー!殴り合いくらいなんとかなるだろ!


   ◇


 チュートリアルをキャンセルした結果、俺はボコられ、気を失った。

   

 気を失ったと言いつつも、半分意識はあった。


 ガメスのシステムによる判定なのか、自分自身ではあまり疲労や苦痛などを感じていなくても、ステータス上で一定のダメージを受ければ気絶してしまうらしい。


 視界がクリアになった直後「これは、もしや強制敗北イベント……!」とか思ったけどガメスから直接脳内に「それは違う」と指摘されてしまった。だが、GNポイントは1加算された。

 この時ついでに「だからステータスを割り振っておけと言っただろう」といろいろ説教されたが、それについては省略しよう。


 目を覚ますと、争っていた男たちは消えていた。

 アルミナが、地面に倒れていた俺の上体を起こして抱えてくれている。おそらくだが、あの後彼女が他の連中を追い払ったのだろう。……加減はしてくれたよな?

 自分の身体を確認すると、痛みもなく傷も無い。アルミナが回復までしてくれたのか。


「なんなんだよあんた。弱っちいくせに加勢なんかして」


 キリバが呆れている。だが、最初会った時よりも不機嫌さがあまりない。


「いや、俺も自分がこんなに弱いとは思わなかった」


「馬鹿なのか?」


「そうかもしれない」


「かもしれないではなく、馬鹿だな」


 アルミナが追い打ちをかけてきた。


「……あんたは誰なんだよ」


「俺の知り合いのアルミナだ」


「……うむ。言っておくが、盗賊ではないぞ」


「そりゃ……だろうな。それより、とりあえず礼は言っておくけどよ、これ以上は俺の事に首を突っ込まないでくれ。あんなのいつもの事だ。傭兵になるからには、ああいうのを一人でも対処できるようにならなくちゃならないんだからな!」 


 そう言うとキリバは走って行ってしまった。


「首を突っ込むなと言われると突っ込みたくなるんだよ」


「それには同意見だヤギリ」



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