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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第一章 ~カマルナム王国脱出~
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闇夜を切り開いて1『ガメスとの邂逅』


   ◇◇


 暗黒の地下へ続く道。

 引きずられ、闇の中へと消えていくミツルギに手を伸ばす俺。

 体を炎が包みはじめ、握りしめる拳には怒りが込められる。

 怒りは明確な形を持ち始め、やがて一本のダガーへと変わる。

 加藤を襲っている衛兵の背中に渾身の力で突き立てた。

 倒れる衛兵と、こちらに視線を向ける三人の衛兵達。俺は瞬く間に三人の首を裂く。

 振り向くと加藤の姿はなく、代わりに悪魔のような姿をした女が右手に禍々しくオーラを放つ何かを持って立ち、周りには六人分の死体が転がっている。

 悪魔の女は微笑み、俺に近づいてくる。

 身体は動かない。

 悪魔が左手を伸ばし、俺の首を掴んだ。

 


   ◇


 「ッ……!!」


 悪夢にうなされて飛び起きると、大量の汗が衣服に染みているのがわかった。


 クソっ!嫌な夢を見た……!いや、それよりもココはどこだ!?


 見回すと、そこは小さな山小屋の中のようだった。

 蔓で編んだ入れ物や、鉈などの道具、簡素な調理器具があって、壁には兎の毛皮がいくつかぶら下がっている。

 俺は中央に敷いてある藁と布の上で寝ていたようだ。

 

「確か、城の裏手に出たところで襲われて意識を失ったはず……」


 そのあと何が起こった?


 思い返してみると、どう考えても城の中へ連れ戻されて監禁される流れだった。それがどうして、こんな山小屋みたいなところに?しかも全く拘束されていない。

 極めつけにおかしいのは、傷が治っている事だ。それに、なにか毒のようなもので意識を失った割には頭がすっきりしている。

 なにか、回復の魔術のようなものでも使ったのかと思えるくらい。

 

 城の奴らがそんなことをするわけない。なら、別の誰かが俺を助けてくれたのか?あと、なぜか服が異常なまでにボロボロなのはなんだ?斬られたりしたのは2カ所だけのはずなのに、何日も険しい山を彷徨ったみたいになってる。いや、まずそれはいいとして。


「あの状況で、俺を助けられる奴って誰だ……?」


 城の裏手の入り口がすぐ近くにあって、その状況で俺を助けられるとしたら、城の人間しかいないのでは?あるいは他のプレイヤーも偶然あの場に潜んでいて、俺を危機から救ってくれた?


「仮に城の人間が助けてくれたのだとしても、それすら何かの企みかもしれない。信用はできない……!じゃあ助けてくれたのが他のプレイヤーだったとしたら……、いや、それもおかしい。俺を襲った連中とは実力が比べ物にならないだろう。それに、プレイヤーの特性や対処法を理解している感じだった。助けてくれた可能性は低い……」


 ここも安全だとは言い切れない。


 意を決して俺は山小屋を出た。

 俺をここまで運んだ奴と出くわさないように警戒しながら、山を下る。幸い、それほど険しい山ではなかったが、あえて人が通らないような下草や低木が茂っているところを選んで、周りの音に注意しながら動いた。


 もしかしたら、俺を運んだ奴もひたすらこういう所を通ってあの小屋まで行ったのかもな。 


 山の麓はそう遠くなく、見たところ30分もあれば下山できそうだった。

 

 そうして少しずつ緩やかな山の斜面を歩いていくと、しだいに行く手を阻む草木も少なくなり、木々の間隔も広くなって、やがて麓へと向かう獣道を見つける。


「ひとまず平地には出られるな。しかし、これからどうしたものか……」


《困っているようだね》


 突然の声に驚いて振り返ると、青白い光を湛えた大きな牡鹿が佇んでいた。

 神々しいという表現で間違いはないだろう。普通の鹿と違うことは一目瞭然だった。

 

 気配も何も感じなかった。

 本当に突然、そこに現れたかのような……。

 

 神秘的なオーラを放つ牡鹿がゆっくり近づいてくる。

 世界が静止したかのように、あらゆる物体が動きを止め、静寂を保っている。

 俺と鹿だけが世界から切り離されたような感覚だ。


「……あんたは、一体なんだ?」


 あまりの出来事に圧倒されて、ぶっきらぼうな物言いになってしまった。


 鹿は特に気にした様子もなく俺の問いに答えた。


《わたしは、『ガメス』だ》


「ガメス!?あんたが?」


《そうだよ。こんな姿をしていることに驚いたかもしれないが、いわゆる依り代ってやつだよ。私のような高位の存在が、現世にそのまま顕現することは難しいんだ》


「な、なるほど。たしかにそういう設定よくありますよね」


《さすがよくわかっているようだね。他にも、君の夢の中に現れていろいろと助言をするっていう方法もあったんだけど、こっちの方がそれっぽいだろう?》


「そうですね。それに夢だといろいろとあやふやで、はっきりと覚えていられるか不安ですし」


《そうそう。そういうこともあって、こういう感じでアプローチすることにしたんだ》


 意外と気さくで話しやすい神様でよかった。


《ところで、さっそく本題に入るとしよう。よく聞いてほしい》


「はい」


 返事をすると、ガメスはまず俺がこの世界に呼ばれた理由を説明しはじめた。

 そして、これからどうするべきかも……。


  

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