第七話 申請
俺はアリアと白雪、イリアと共に学園長室へと向かった。
理由はただ一つ。英雄と行動を共にし魔獣を殲滅すること。
俺達はやがて学園長室の前に辿り着く。
俺はそびえ立つドアをノックする。
「入れ」
学園長の言葉と共にドアが開く。
俺とアリアは学園長室へと踏み入る。
白雪とイリアは精霊状態へと戻る。
「…竜也君にアリア君。まずは、このような自体になった際に勇敢に魔獣を駆逐してくれてありがとう。礼を詫びておこう。」
「いえ、私達の力だけではありません」
「はい、クリスやミカ・パリーグ、草薙達も戦っていました」
魔獣襲撃時には学園長は不在だったらしい。
対処が遅れてしまったのもそれが原因の一つであろう。
「それで、本題はなんだ?」
「近々英雄を派遣する事案が出ていると思われます。そこに俺も同行させてください」
「…良かろう。と、でも言うと思ったか?」
学園長は俺の望みをきっぱりと切り捨てた。
「なっ、どうして?!」
「確かに竜也君は五人の英雄と同レベル、いや、それをも凌駕する可能性を秘めている。しかし、私が竜也君を入学させたのは実技大会で優勝させる為だ。死にに行かれては困る」
「いいえ学園長、彼は死にません。」
アリアが学園長に対して反論する。
しかし、その証拠は何処にも無い。
「ではアリア君。その証拠を提出して貰おうか」
「私が「英雄」として竜也を守護し、竜也は先頭に専念します」
「しかしそれでは効率が悪いのでは?」
学園長の言葉は正しい。
俺が出撃する事によって英雄達の気が散り効率が低下する恐れがある。
と、俺達が学園長の説得に戸惑っている時であった。
学園長室のドアがノックされる。
「入れ」
学園長が入室の許可を出すと、扉に刻まれた魔術紋章が輝きを帯び、開き出す。
「英雄、クリス・アシュベル。入室させて頂く」
「同じく。英雄達、ミカ・パリーグ。入室します」
二人の英雄が学園長室へと歩む。
その姿は凛々しく、美しく。
そして、強く輝いていた。
クリスが口を開く。
「学園長、今の私達には剣崎竜也君は必要不可欠な存在だと考えます」
「同じくミカ・パリーグ。竜也君の同行を望みます」
「…という訳で英雄、アリア・ソーディ。私も竜也の同行を望むわ」
「頼む、学園長。いや、ジェシカ」
俺達は学園長に申請の許可を求む。
三人の英雄に望まれ、流石に学園長も観念したのかため息をつく。
「…許可しよう。しかし、必ず竜也君、戻って来い。君をここで死なせる訳には行かない。厳守しろ」
「ああ、ありがとう。必ず戻るよ」
俺達は体を翻し、扉へと向かい学園長に背を向ける。
この先に「楽」なんてない。
でも仲間という「希望」はある筈だ。
俺は必ずここに戻る。
何があろうとも、必ず。