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紅焔の魔導士と精霊使いの双剣士  作者: 稲葉未翼
第一章 ロンゴロ前線
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第五話 強襲

俺は教室に帰り、次の授業の支度をしていた。


「あのさ、竜也」


「なんだ?アリア」


隣の席であるアリアが俺に話しかける。

つーかいつから俺を名前呼びになったんだ?

まあいい。


「…竜也は実技大会に参加する気はあるの?」


「ああ、当たり前だ。俺はそのためにこの学園へ来たんだからな」


「まあ、そうよね。答えてくれてありがとう」


「いいや、このくらい容易い御用だよ」


授業開始のチャイムと共に担任が教室に入ってくる。


「さーて、お前ら授業を開始するぞ」


担任が授業開始の合図を出した時だった。


「アリア、分かるか?」


「ええ、強力な魔獣が来ているわ、恐らくS級ね」


魔獣はこの世の中に存在している、人類の敵対勢力的なものである。

人類の歴史を辿っていくと、大まかに分けて二度、魔獣との大戦が起きている。

一回戦目の際は「魔法」というものがまだ作られておらず、通常の化学兵器のみでの戦いとなったが、魔獣には化学兵器は通用しなかった。

そして二回戦目の際には既に「魔法」や「剣技」等、魔獣に対抗することの出来る力を人類は持っていたため、引き分けとなった。

地球上は約4/3を魔獣に占領されており、現在ではこの大陸を残すのみとなっている。

この学園や他の学園は主にこの「魔獣」を倒す「魔導士」や「剣士」等を育成する目的で設立されている。


「…お前ら、戦闘体制に入れ」


担任も気配を察したのか、警告をする。


『竜也、行くぞ』


『竜也君、私頑張ります』


「おう、俺はもう誰も失わない!」


と、イリスと白雪、俺が決意した瞬間、学園の屋根を突き破り、魔獣が顔を出す。


「チッ…ありゃS級の飛行魔獣だ!前線の奴らは何をしてる?!」


担任が荒らげた声を出す。

魔獣は基本的にD、C、B、A、Sに区別されている。

今回は最大の強さを誇るS級が来たって事だ。


「うおおぉりあぁぁ!!!」


草薙が高く上昇し、魔獣に向かって斧を振り下ろす。

しかし、魔法障壁により、攻撃は弾かれる。


「チッ!」


草薙は衝撃で後方へ吹っ飛ばされる。


「迷ってる暇はない!」


俺も空中に高く上昇し、魔獣に向かって龍碧剣を振り下ろす。

案の定、魔法障壁によって攻撃を防がれる。


「竜也、行くわよ!」


アリアが契約魔導書を召喚し、詠唱を開始する。


「焔の神よ!今我に溢れんばかりの限りない力を与え、その燃え滾る獄炎で地を焼き尽くせ!」

「焔炎地獄!」


アリアが詠唱を終えると、魔獣の周りに魔法陣が展開し、魔獣は激しく炎上する。


「剣崎流・氷結の一撃!」


俺は型名を叫び、白雪の具現化した姿「妖刀-無零」を魔法障壁に突き刺す。

魔法障壁は破壊され、龍碧剣と妖刀は魔獣に突き刺さる。

刹那、激しく燃え盛っていた炎は氷に包まれ、瞬時にして凍結する。

俺は龍碧剣と妖刀を引き抜いて言った。


「やったか?!」


「いや、まだだ!」


担任が叫ぶ。

魔獣は激しく吠え、体にまとわりつく氷を粉砕する。


「くそっ、剣崎、少し下がれ!」


担任が空高く舞い上がり、俺は後方へ下がる。


「でしゃばってんじゃねぇよ!このクソ三下がぁ!」


担任は一瞬にして右手に剣、左手に魔導書を召喚する。


「まさか、魔導剣士?!」


俺は驚嘆する。

魔導剣士は「魔法」と「剣技」を両立したものであり、とてつもなく困難とされている。


「せいぜい苦しみなぁ!」


担任の持つ魔導書が発光し、それに応じて剣も発光する。

恐らく魔法障壁を破壊するためのエンチャントを行ったのであろう。


「詠唱無しでのエンチャント?!」


次はアリアが驚嘆する。

基本的に、魔法は詠唱しなければ使用することは出来ない。

無詠唱で魔法を発動するのは達人で無ければ不可能だ。

担任は剣を振り下ろし、魔法障壁を一撃で破壊し、魔獣を一刀両断する。


「何?!」


しかし、魔獣は一瞬にして再生する。


「やあ、竜也君遅くなったね」


クリスが駆け付けてくる。


「ああ、今は担任がなんとかしているがキツそうだ」


「再生能力持ちか…。結構キツそうだ」


クリスは鞘から剣を引き抜き、構える。

その姿は正に「剣聖」であった。

クリスは音もなく空に舞い、魔獣に向かって剣を向け、物凄い勢いで突撃する。

その姿は丸で電光石火のようだった。

クリスはそのまま魔獣を貫くが一瞬にして再生する。


「やはり駄目か…」


クリスが断念する。

やはり剣では難しいのか?


「あら、クリスさん。もう諦めるのかしら?」


「…君か。そうだな、まだ諦めてはいない」


背後からクリスに近づいたのは凛々しく美しい女性であった。

腰に鞘を付けている事から恐らく彼女が五人の英雄の一人「女剣聖」であろう。


「さあ、立ちなさいクリス。私達なら行けるわ」


「ああ、そうだな。ミカ・パリーグ」


二人は剣を構え、魔獣に向かって突き進み空高く上昇し、切り裂く。

ひたすらに切り裂き、遂には魔獣の再生が追いつかなくなる。


「竜也、私達も参戦するわよ!」


「おう!」


「女たらし野郎!俺も忘れんじゃねぇ!」


アリアと草薙が攻撃を開始する。


「焔炎地獄!」


アリアは詠唱無しで魔法を発動する。

しかし、若干質が落ちているようだ。


「とおぉりゃぁぁ!!」


草薙と俺は再び空に舞い、草薙は斧を、俺は剣と刀を振り下ろす。


「てめぇら!私を忘れるな!」


担任が剣で魔獣はを切り裂く。


魔獣は遂には再生が出来なくなり、消滅した。


「勝った…のか?」


「ええ、私達は勝利したのよ」


アリアが俺に反応する。


「竜也君、お疲れだった。見事な剣技だったよ。おもわず見とれてしまったよ」


クリスが剣を鞘にしまいながら話す。


「ええ、私も是非一度、剣を交えたいと思ったわ」


ミカ・パリーグ…。

俺も一度は剣を交えてみたいものだ。






こうして、S級魔獣は討伐されたのであった。

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