第二話 紹介
俺はゆっくりと扉に向かって手を伸ばし、ノックをする。
「入れ」
俺は言われるがままに扉をそのまま押し開け、中へ入る。
「ようこそ。私の学園「エスポワールシ魔導学園」へ」
中はとても一般の人には真似出来ないような、所謂「ゴージャス」で満ち溢れていた。
「…あの、それで俺のクラスは?」
俺は転校当初から気になっていた質問を投げかける。
クラスというものはとても重要だ。
それはメンバーや担任と言っただけでなく、位置も関係する。
数10mでも違ければそれだけでも大きく変わる。
「竜也君のクラスは2-bよ」
「因みに2-の何まで?」
「eクラスまで存在している。平均人数はおよそ40人だ。一学年、三学年を合わせれば600人在園している」
「結構大きな学園なんだな…」
「当たり前だ。王立だぞ?竜也君、君は王立の意味も分からんのか?」
「いや…分かりますけど」
と、俺は怠けた返事をしながら横目で時計を見る。
大体8:30を回っている。
「そろそろ時間だ。クラスに行ってこい」
「了解、じゃあな。学園長、いや、ジェシカさん」
と言い残して俺は学園長室を出た。
で、クラスはどこだ?
『あの女…竜也を馬鹿にしよって』
「そうか?そんな馬鹿にされてる気はなかったが…」
『竜也は心の器が広すぎるのだ!もっとこうだな…』
「あー分かった分かったー。2-bは──。ここか」
と「2-b」と書かれた表札が取り付けられている扉の前に立つ。
「…緊張するな」
『案ずる事は無い。何かあったら私がお供する』
「いやそういう戦闘の話じゃないんだが…」
と、話している内に気付かぬうちにドアが開いていた。
『「えっ…」』
前には担任らしき女の大人が立っていた。
「なんだ、今日からこのクラスに配属になった転校生ちゃんか。一人で喋ってないでさっさと入ってくりゃ良いのに」
「…いや、俺にも心の準備ってものがありましてね...」
「そんなもんは要らないさ。ここの奴らはフレンドリーだからな…」
「なるほど」と理解して、俺は教室の中へと歩みよった。
「お前ら。こいつが今日からこのクラスに配属になった転校生ちゃんだ」
と、担任が言った瞬間であった。
「竜也、このクラスだったのね」
「なんだアリア。お前もこのクラスだったのか」
「奇遇ね」
担任がまるで「?」マークを出したそうな顔をしている。
俺達が知り合いだとは思っていなかったのだろう。
「...取り敢えず自己紹介をしろ」
「えーと剣崎竜也です」
と、自己紹介をした途端に教室内がざわついた。
「ねぇ剣崎ってあの剣崎?」
女子生徒が呟く。
「そうそう、きっと強いんだろうねー」
それに連鎖する。
「顔もイケてない?」
「あー確かに!」
…うるさい。
「んだあいつ調子に乗りやがって…」
と、男子生徒が呟く。
俺に全くそんな気は無いのだが…。
「てめぇらやうっせぇ少し黙れ。んーとめんどくさいし隣が空いてるアリアの席でいいか…」
「私の席ですか?!」
「ああ、そうだ。何が問題はあるか?」
「…いえ、特には」
「なら良いだろう。ほら早く行け転校生ちゃん」
「...はい」
色々とめんどくさいが、悪い奴らではなさそうだ…。
これからの生活が楽しみだな、と俺は内心では結構満足していたのであった。