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第九話 冷や汗

二回戦 相手はむっちゃんズ 俺達はここでも奇策を弄した 第一シングルスはミッキー 通常卓球の団体戦ではシングルスのエースを第一シングルスに起用する ここは敢えてミッキーを投入し、ダブルスと俺のシングルスを取る ミッキーのシングルスも捨て試合という訳ではない ここでも相手のトシ子を相手に好ゲームを展開する ミッキーとトシ子、二人合わせて年齢は120を下るまい 30年後俺はあのように動けるのか? デュースの末、3セット目を落としたミッキーは肩を落とす ナイスゲーム! 後は俺達にまかせろ


続く第二ダブルス ユキオとナミのペアが出場したが、ここでも苦戦 相手はここにエースを投入してきたようだ 相手ペアのカズさんとシングルスであたったら俺やユキオでも危ない 二人は善戦及ばずセットカウント0−2で敗れた


既に勝敗はついた 初心者の交流を主な目的とするひよこランク2とランク3は勝敗がついても第三シングルまで行うことになっている 俺にとって二回目の公式戦 初のシングルスの試合だ 最初から全力で飛ばす 悪い流れを断ち切るんだ 七色のサーブが決まる アンダー、トップ、サイド、そしてゼロスピン サービスエースこそ少ないがチャンスボールを叩く 思い切り振りぬけば決まる 11−1、11−2 相手が3番手級だったこともあり俺は圧倒的なスコアで勝利した 


スコアとは裏腹に俺は冷や汗をびっしょりかいていた 本当に自分のプレイができていたのか? たまたま入っていただけではないか? 試合中の記憶はほとんどない これほど緊張するとは 不安を残したまま3回戦に臨むことになった


三回戦の相手は西中学 といっても中学生ではない 卓球部の顧問が4人もいるはずないから恐らく保護者会のお母様方であろう 揃いのユニホームに身を包み、息もぴったりだ


第一シングルスは俺 先の圧勝の不安をひきずったままだ 相手のミホコさんが大きく見える ミホコさんはサーブレシーブが上手い 俺のサーブに手を焼いてはいるが低く返してくる この3球目だ あの日の練習のように振り抜けばドライブが噛み付く しかしこの振れてない腕ではネットにかけるだけだ 1セット目は後半調子を戻したがとき既に遅く8−11 2セット目は1セット目後半の勢いにのり前半リードするも最後はデュースになり13−11 11点マッチは流れが大事だ 一旦流れが向こうに行くとそのセットは一気に苦しくなる 3セット目俺は流れを戻せずにミホコさんに敗れた もう後がない


この危機を救ったのはナミとミッキーだった ナミはユキオに全幅の信頼を寄せている 今度はユキオがナミを信じる番だ まだ動きの固いユキオに対し、ナミはリズムに乗ってきた これまでの二試合でナミは打点の低いサーブにクレームをつけられてきた そこをキッチリ習性し、決めてきた こうなるとユキオは強い これまで鳴りをひそめていた必殺のスマッシュが当たりだす ナミもよく振れている 俺は主審を務めながらガッツポーズをこらえる ユキオとナミのペアは2−0で初勝利を上げた


続いて第三シングルスのミッキー 相手の克さんは若いが経験はミッキーが上だ トップとアンダーのスピンサーブを打ち分けるミッキー 得意でないバックの強打も入りだした 克さんもいいプレイをしている ミッキーの「きゃっ」は顕在だが勝負どころでは決める 二人とも時間を追うごとにプレイの切れが増してくる ドライブで流れをつかもうとする克さんに対し、冷静につないでいくミッキー 実力が拮抗してくるとミスの少ない方が勝つ 卓球の鉄則だ こちらも接戦の末、2−1でミッキーが勝利を収めた


試合後、俺は隣のコートの試合を見つめていた 残り2試合 その2試合で対戦するチーム同士がしのぎを削っている 第一シングルスだ この両者と俺は対戦することになろう 今の俺では勝てない ナミとミッキーのプレイを思い出せ 今の俺に足りないのは自信だ あの日の特訓をイメージしよう あの日の俺は集中力の頂点にあった あの日、俺のゼロスピンは4速を超えていた 今日の俺はせいぜい2速だろう 殻を破れ 多くの場合、勇気と自信は対になる 思い切り振り抜く勇気 それさえあれば勝てる 自信もついてくる 静かに気力がみなぎってくるのを感じ始めていた


つづく


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