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第十五話 成長

次は最終戦だ 相手は徳さんと富さんのペア 既に俺達は二敗 山下さんペアが三連勝で1位通過を決めた 徳さんペアは1勝1敗 ミドリさんペアに勝って来ている だが山下さんペアからセットをとったのは俺達だけだ タケル君が調子を上げる前に奇策で上げたセットとはいえここで効いてきた 徳さん達に勝てば得失セットで二位になる


無欲で行こう ユキオが言った 目の前のポイントに集中する 思い切り悔いのない試合をしよう


徳さんはペンの攻撃型 本来のパートナーである富さんはシェイクハンドのカットマン 山下さんペアと同じ組み合わせだがタケル君のように揺さぶりは通用しないだろう ならば自分達のプレイをするだけだ 先の二試合では開き直って実力以上のものを出してきた 勝ちはしなかったが二試合で確実に成長している 上級者との実戦は普段の練習では得られないものをもたらす 思い切り隅を狙うゼロスピンは既にものになった 相手の強打を強打で返すユキオのカウンターは新しい切札になりつつある 徳さんたちに勝てるとすれば試合中の成長だ 二試合前の俺達とは違う


サーブは俺から 腕を高く上げ一気に振り下ろした 手元でスナップを利かせる 今まではアウトになっていたサーブだネットを越えて急激に曲がる 徳さんのレシーブは高く浮き上がった そこには既にユキオが回りこんでいる 狙いすましたスマッシュが決まる


「ひゅー。腕を上げたね兄さん達」


富さんも俺達の攻撃をカットで拾ってくる 山下さんのカットを攻めた俺達はここでも攻めた 狙いは徳さんのバック攻め続ければどこかにチャンスが見い出される 富さんのサーブは鋭いカットだが徳さんのバックを狙う ここで俺のクロス 富さんの体が流れ甘く入ってきたところをユキオが叩く 俺達の勝ちパターンだ 対する徳さんはフットワークを使って攻めてくる フットワークだけじゃない ポジションどりだ 経験に裏打ちされた読みと抜群のフットワーク やはり強い 


熱戦も三試合目だ 俺達の集中力は途切れない スコアは16-18 サーブは俺 大事なポイントだ サーブが決まり三球目をユキオが叩く フォアで待っていた徳さんのカウンター その瞬間俺は横に跳んでいた 思い切りふりぬいた ダダダンッ 俺が床にたおれこむよりも早く、ボールは相手ペアの間を駆け抜けていた


「ナイスボール」


ユキオが差しのべた手をきつく握りかえす 勝負どころで見せた俺のスーパープレイをきっかけに俺達は流れを引き寄せた ハイレベルの実戦のみで得られる最高のパフォーマンス ユキオも俺も信じられないプレイを連発した 外す気がしない セットカウント2対0 ストレートで初勝利だ 試合順にも恵まれた 先の二試合がなければこの勝ちはなかったであろう よきライバルの徳さん富さんと再戦を誓う


「ありがとうございました」

「いやーまいったべよ。あんだけまぐれを出されちゃあ」


徳さんの負け惜しみは真実だ 肝心なところで見せたまぐれあたり これをものにするにはもっともっと練習が必要だ 俺達はBブロック二位で決勝トーナメント進出を決めた


つづく


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