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第十四話 本気

二回戦はミドリさんペア 先の練習試合では徳さんにいきなり駆り出され戸惑っていたところもあったが、今日は正規のカナエさんがペアだ 二人とも常連でシェイクハンドのオールラウンドプレイヤー フォアからの鋭いドライブとスナップをきかせたバックハンドに注意が必要だ 今回のミドリさんは最初から全開のようだ サーブはあの日の練習よりも更にキレを増して来ている 同じサーブを二度ミスしてはならない 卓球の鉄則だがミドリさんは同じフォームから異なるスピンを繰り出し的を絞らせない 面白い 俺も七色のサーブで対抗する やはり鍵はサーブレシーブだ


1セット目はお互いサーブをキープしながら我慢比べとなった 後半になると重圧が変わってくる そこで痛恨のサーブミス 練習量の差が出た形になってしまった この流れでは勝てない 攻めるんだ 俺達の持ち味は思い切りのよい攻めにある それを出さずに負けるわけには行かない 俺はサーブをゼロスピンに絞り センターラインぎりぎりの相手のバックを狙う 懐深く差し込めばバックハンドを封じられる ストレートのゼロスピンはオーバーするリスクが大きい 序盤はサーブミスと無理な攻めが重なりリードを許すが、攻め続けた俺達は中盤から流れを引き寄せた 連続ポイントで逆転すると一気に押しきった


三セット目も俺達は攻めた このまま押し切りたいところだが俺達のパターンは読まれてしまっている ミドリさんのバックハンドをカウンターで返すところに必ずカナエさんが待っている クロスカウンターだ 俺達がコンビプレイでリードされてしまうとは 相手につけいる隙はない ならば正面から攻めるのみ 一旦断ち切られた流れをなんとかたぐり寄せる 俺達の実力をとっくに超えた領域での勝負となった 俺もユキオもこれまでにないスーパープレイの連続 だが勝負所で俺のクロスがオーバーする ネットではなくオーバー 思い切り攻めた結果だが僅差でこのセットを落とすこととなった


「ありがとうございました」


ミドリさんが握手を求めてきた 額に汗が光る 彼女の本気のプレイに俺達がここまで食らいつくとは思っていなかったようだ 彼女達は既に山下さんペア、徳さんペアに敗れ決勝進出はなくなっているが俺達との試合に満足してくれたようだ 俺達にはまだチャンスがある


つづく



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