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第十一話 チーム

最終戦 第一シングルス 相手は長身のアキラ 先の試合で変速球のヒロシを破った実力者だ 俺の作戦は決まった ディフェンスから 打ち気にはやるアキラに対し一歩ひいて構える ユキオのスマッシュを散々に受けてきた俺に死角はない 焦りの見えたアキラのボールはネットにかかる ゲームカウント2−0 控えていたナミから声がかかる 「この試合が一番楽しそうでしたよ」 ありがとう 君たちのおかげだ


第二ダブルス もうユキオはいない 代役はマサヒコ ナミとマサヒコ、本来のペアに戻った ナミはこれまで俺の予備のシェイクハンドをペン持ちで無理に使っていた マサヒコはシェイクハンドのプレイヤーだ ナミはシェイクをマサヒコに渡し、試合の終わった俺のスレイバーG2を手に取った 大丈夫 思い切りやればいい 二人は実に伸びやかなプレイをした 実力差のある相手に臆することなく正面から向かっていった 敗れはしたが次につながる試合だった ナイスゲーム


勝負はまたしても第三シングルスのミッキーに委ねられた 試合はもつれたが経験に裏打ちされたミッキーのプレイは揺るがなかった 2セット目はデュースで落としたが、3セット目はミッキーが取った ゲームカウント2−1 さあ整列だ 胸を張ろう

「ありがとうございました」 


最終戦の結果を大会本部に報告に行ったトモコが息を切らして走ってきた トモコは大会中、ずっと裏方に徹してくれた 最後までプレイできたのはトモコのおかげでもある


「2位だよっ!」

「へっ?」


俺は耳を疑った 掲示板に駆け寄った 間違いない 俺達が2番目にランクしている 6チームでの総当り 1位は4勝1敗でチームW 渋滞による遅刻で俺が不戦勝したチームだ そして3勝2敗で4チームが並んだ 得失点差で俺達は2位になっていた 俺とミッキーのシングルスでいくつか大差でとっていたこと、負けた試合のほとんどがフルセットにもつれる好ゲームだったことが効いたのだろう たまごランク2でリーグ2位になった俺達は、来年はランク1に出られるかもしれない 


だが俺達はそれよりも大切なものを手に入れた 俺達は本当のチームになった ひよこたまごカップの趣旨は、初級者に真剣勝負の機会を与えること 全力を尽くした俺達は多くのことを学んだ 

自信を持つこと、勇気を出して思い切り振り抜くこと、そして仲間を信頼すること 表彰式を終えたミッキーに声がかかる ベテランの彼女は顔が広い


「ミキちゃんよかったじゃなあい 若い男の子とできて うらやましいわあ」

「しかも二人ともイケメンで よだれが出ちゃう」


かつてマダムキラーで名を馳せたマサヒコもこれには参っているようだ

帰り際、俺は第二体育室で足を止めた 最高ランクであるひよこカップの熱戦が続いている ここには初心者はいない だが何か物足りない 俺達のホームである卓球道場 そこのアイドルの愛ちゃん 天才小学生プレイヤーだ そしてコーチの趙さん 二人のプレイを見ている俺の目は知らずと肥えていたようだ 俺達の挑戦はつづく


第三部へつづく


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