表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣使いと契約魔女  作者: ふーみん
85/119

決戦(2)

 裕紀たちが夢の丘公園に到着した時刻は、自分の提示した時間の僅か十分前だった。

 夢の丘公園の敷地はかなり広く、園内の一番奥側に位置している植物園へ向かうには普通に歩いて三十分は掛かる。


 だが残り時間が少ない現状、普通に歩いて移動するという考えは微塵も浮かばなかった。

 地下施設から身体強化で移動していた裕紀たち四人の魔法使いは、園内に足を踏み入れるとそれぞれ所定の位置へ向かうべく散開した。


 一人となった裕紀は、静かな夜の園内を周囲へ注意を向けながら走った。

 相手は自身が一度でも殺めた魔法使いを使役することのできる魔法を扱う。

 時間内に裕紀が目的地へ到達することを防ぐために、使役した魔法使いを待ち伏せさせている可能性は大いに高いだろう。


 しかしながら、これもどういうつもりか裕紀は敵の妨害を一度も受けずに植物園へ到達してしまった。

 一応の確認のために携帯端末の時刻を確認するが、時間は日付変更の五分前を示していた。

 いつの間にか提示した時間を過ぎていたわけでもないので、敵に猶予ができたというわけでもないだろう。


(いったいどういうつもりなんだ?)

 いよいよ敵の意図が読めない裕紀は、内心で困惑しつつも、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

「よし」

 一言気合を入れると、入り口のドアに手を当てた。


 本来なら閉園時間をとっくに過ぎている施設に侵入するようなことは絶対にしない裕紀は、ごくりと生唾を呑みながらドアに当てた手に力を入れた。


 最後の職員が鍵とセキュリティの管理を怠らずにしていれば、裕紀が開こうとしているドアは開かない。もし仮に開いてしまったとしても、警備セキュリティが作動して警察沙汰になることは間違いないだろう。


 しかし、普通ではない現状のドアは音もなく奥側へと押し開かれた。

 何者かの侵入を受けた植物園のセキュリティが即座に反応する、はずなのだが、園内からは警報の一つもならない。警備システムから警備会社へ異常が通達された様子もない。

 その様子を確認した裕紀は、二つの可能性を脳内に列挙した。


 鍵が既に開いていたのは裕紀よりも先にこの施設への来訪者がいたからだ。

 セキュリティが反応しないのは、先に来た来訪者が人払いの魔法を発動させているためだろう。

 空間が隔絶されていれば、いくら厳重な機械だろうと侵入者を認識することはできない。

 実際に施設内へ足を踏み入れた裕紀は、外と内との雰囲気の違いを敏感に感じ取った。

 それから、植物園の奥側から殺気のような暗い気配を感じた裕紀は、緊張で強張る身体を無理やりに走らせた。


 園内は本当の自然を表現しようとしているようで、入場者が歩くための通路以外の敷地には様々な植物が育てられ管理されていた。

 植物から放たれる独特な香りを嗅覚に感じながら、裕紀は漂ってくる殺気を感覚のみで辿っていく。

 走りながら、裕紀は自分が敵の魔法使いとの最終決戦の場にこの植物園を選んだ動機を思い直していた。


 今日の昼前。火災の起きた住宅の前で現れた加藤徹と、裕紀を庇わんとする玲奈との間に一触即発の雰囲気が漂ったとき、仲裁に入った裕紀はこの植物園での決闘を加藤に申し込んだ。


 その時の裕紀は、ただ反射的にこの植物園が思い浮かんだわけではなかった。

 それは半分偶然で、半分は必然だった。

 加藤の背後に遠く存在していた夢の丘公園と、ここのドーム型施設が目に入ったとき、直前に垣間見た住宅に住んでいた家族の記憶にもこの植物園の風景が映っていたのだ。


 加藤が己の負の感情を受け入れ、玲奈の言っていた黒化を遂げていたことは出会ってからどす黒い魔力を感じて分かっていた。

 黒化した人間をもとの正常な魔法使いへ戻す方法は分からなかったが、本人の温かい記憶を刺激すれば、黒く凍てついた心を溶かすことができると考えたのだ。

 そうすれば、相手を殺めることなく戦闘そのものを止めさせることもできると。


 だが、その方法は一人だけの大切な記憶を赤の他人である裕紀が弄んでしまうということにもなる。

 加藤が大切にしていたものを奪われどれだけ深く絶望したかは、記憶を見ただけの裕紀には到底分からないことだ。


(他人の記憶を見て、利用するなんてこと、ほんとはしてはいけないことなんだろうけど)

 しかし、その気持ちが理解できなかったとしても、裕紀は加藤を止めなければならない。

 加藤を止めなければ、大勢の人々が同じだけの絶望を味わうだろうから。

(それで沢山の人が救えるなら、あの魔法使いを悲しみから助けることができるのなら、俺は……)


 そこまで考え、入り口付近よりも殺気が強くなっているのを感じた裕紀は、目標がすぐ近くにいることを察して走る速度を落とした。

 施設内には幾つか分岐している道があり迷いそうになるものの、漂ってくる負の感情を道標に裕紀は慎重に道を進んでいく。


 肌を刺すような強い感情を捉えながら小走りに移動すること数分。裕紀の視界にとうとう標的の姿が映った。

 やや大きめな樹木を背後に立った敵は、そういう仕様なのか天井から差し込んでくる月明かりに照らされていた。

 黒いローブを羽織った加藤徹も、裕紀と同じように生命力で裕紀の存在を感知していたのか。


 相手が立っている場所から十メートルと少しの場所まで走ってきた裕紀を、それ以上近づけさせないようにするためか、被っていたローブを下ろすと言った。

「さあ、始めようぜ。ここが俺とお前の死地だ」

 その言葉に感情というものは含まれていなかった。

 月の光に照らされて僅かに伺える瞳からは、冷たく光る刃のような鋭さが感じられる。


 今日の昼間に会敵したときの余裕のある瞳とは違う。ある種の覚悟の籠った瞳。

 そして、その覚悟がどのようなものであるのか、裕紀は瞬時に理解した。

「俺とお前の死地」と、確かに加藤はそう言った。

 あの魔法使いは、この場所で死ぬつもりなのだ。裕紀だけでなく、この街の住民をも巻き込んで。


 そんなことはさせるわけにはいかないが、もう戦闘なくしての交渉は不可能だろう。

 敵の手にはいつの間にか魔光剣の柄が握られている。すぐに攻勢に転じないのは、こちらが武器を手に取るタイミングを待っているのか。

 こちらに一切の刺客を向けなかったことも含め、この男の真意がいまいちよく分からない。


 ただこれだけは分かる。恐らく、裕紀が武器を手に取った瞬間から戦いは始まってしまうだろう。

 そうなってしまえば、戦闘はどちらかが倒れるまで続いてしまう。


 この男と対話をする機会は今しかない。

 そう感じた裕紀は、意識を戦闘モードへ移行させながら聞いた。

「あなたが戦う理由はなんだ?」

 裕紀の口から放たれた短い問いに、加藤は両の目に宿る光を一層鋭くして答えた。

「お前がその問いをするとはな。人の過去を勝手に覗き見たお前なら、俺の動機ぐらい知ってんじゃねえのか?」

「あなたの言う通り、俺はあなたの家族の記憶を見た。でも、これからあなたがしようとしていることは、殺された家族の復讐で収まる規模なんかじゃない。これから起こる災厄でどれだけの人々が犠牲になる? その果てに残されたあんたまで死んで、そんな結末、誰よりもあんたを愛していた家族は望んでいるのか!?」

 徐々に大きくなった裕紀の声が、静寂に包まれた植物園を満たす。


 少なくとも裕紀には、あの暖かそうな二人の家族が復讐なんて望んでいるとは思えなかった。


 だが、裕紀の言葉を聞いた加藤は全身から黒紫の過剰魔力(オーバーフォース)を放出させて、悲痛ともとれるひび割れた声で叫んだ。

「黙れッ!! それ以上口を開くな! お前には分からないだろう? 世界で、一番大切に想える存在を、何の抵抗も許されずに一瞬で奪われた気持ちがッ!」

 加藤の声に呼応するように過剰魔力は次第に強くなっていく。


 過剰魔力は自身の身に持て余している余剰な生命力を、魔法使いや一般人などが無意識に放出させているせいで起こる現象だ。基本的に無意識下で生命力が身体から溢れることなどないというが、大量の生命力を保有する人間には起こるらしい。

 一般人の場合、過剰魔力が視える人間はそれなりの素質や才覚の持ち主と言われている。


 魔法使いの場合もそれと近く、目に視える過剰魔力の放出量で魔法使いとしての才覚が露わになる。

 また、感情が昂ることで生命力操作の枷が外れ全身から生命力が放出されることもあるらしい。

 目の前の加藤の場合、黒化したことで引き出された魔法使いとしての才覚と、感情の昂りの両方が作用されている可能性が高い。


 まるで暴風のように生命力を放出させた加藤は、怒りが露わになった声音で裕紀に言った。

「武器を取れ、新田裕紀! お前にも、俺と同じ絶望と苦しみを味合わせてやるッ」

 羽織っていたローブを脱ぎ捨てそう言った加藤は、手に持った魔光剣を起動させ、露わになった黒紫の刀身の剣先を裕紀に向けて来た。


『抱いた怒りは振るうことで初めて暴力となり、恐怖となる』

 剣を向けられた裕紀の脳裏に、異世界でヤムダが放った一言が蘇った。

 その言葉通り、家族を殺された怒りを外へ振り撒いた加藤の行動は、ここ数日で十五件連続殺人として、八王子市を恐怖で包んだ。


 そしてまた、この戦いに裕紀が敗れればこの街に途方もない恐怖と絶望を振り撒くだろう。

 憎しみは新たな憎しみを、怒りは更なる怒りを生み、この街から加藤のような復讐者を生み出すきっかけになってしまうかもしれない。


 そうさせないためにも、この街で負の連鎖が繋がる前に食い止める。

 それが魔法使いとなり、異世界へ導かれ、魔女と契約して聖具を手にした裕紀の使命でもあるのだから。


 内心で覚悟を固めた裕紀は、ゆっくりと腰に装着された魔光剣のデバイスを右手に握り、スイッチを押し込んだ。

 裕紀の掌から起動されたデバイスへ生命力が流れ込み、群青色の刀身が露わになった。

 群青の光を正面から浴びた裕紀の瞳に迷いはない。少なくとも心の迷いで剣気が鈍ることはないだろう。


 魔光剣を握る右手に左手を添え、左足をすっと半歩後ろに下げる。

 裕紀の戦闘態勢を視界に収めた加藤は、口元に狂気的な笑みを浮かべるとやや腰を落として地面を蹴った。


 その行動をいち早く察した裕紀は、相手の強すぎる殺気を利用して攻撃が来るであろう部位を予測した。


 敵はまっすぐ裕紀の懐目掛けて飛び込んでくる。首元にヒヤリとした感覚が走ったため、裕紀は反射的に身体を逸らせて後方へ下がる。

 すると、さっきまで裕紀の首があったであろう場所に紫の軌跡が走った。

 一瞬の判断が遅れていたら今の一撃で首と胴が離れていたことにぞっとするのも束の間。


 初撃を外した加藤は続けて深く裕紀の懐へ飛び込むと、水平に魔光剣を振るった。

「ぜりゃっ」

 回避行動を終えた裕紀の腹部の辺りにまたしてもヒヤリとした感覚が発生したときには、裕紀は腹部を守るべく群青の刀身を地面に向けて斜めに構えていた。


 直後、電撃同士がぶつかり合う激しい音と光が発生し園内に瞬く。

 群青と黒紫の刀身が交錯し、その接点で激しく散るスパークに裕紀は目を細めた。

 追撃を受け止められた加藤はやや不満そうに表情を歪めていたが、力で押し切ろうというのかそのまま剣を押し込んでくる。裕紀の両腕にかかる力が一層強くなり、刀身がやや内側へ傾いた。


 このまま防御を続けていればいずれは力で押し切られてしまう。

 そう考えた裕紀は、両足を踏ん張ると腰の回転を利用して力づくで不利な鍔迫り合いを崩した。

「はぁあ!」

 身体強化による力も上乗せされてか、裕紀の剣は加藤の刀身の上を滑っていき、加藤の剣が弾かれた。

 力づくの攻防の余波によるものか、軽い衝撃が二人を襲う。


 裕紀はやや後方に飛ばされるだけでバランスを崩さずにすんだが、剣を弾かれたうえに衝撃まで受けた加藤の体勢はすぐには迎撃も防御もできないほどにまで崩れていた。

 その体勢を視認した裕紀は、一気に戦いの主導権を握るために開いた加藤との距離を詰めようとした。


 しかし直後、裕紀の脳に今まで以上の警報が駆け抜け、裕紀は右足で勢いを殺すと上体をを横へ傾けた。

 ビシュンッ、とレーザーでも撃ったような音が聴覚に届くと同時に、裕紀の鼻先に熱感が迸った。


 上半身を右側へ傾けた体勢のまま動かした裕紀の視線の先には、漆黒の穴から煙を立ち昇らせた銃口が視えた。

(銃!?)

 身体を正面に向けながら予期せぬ武器の登場に度肝を抜かれるも、敵は思考を整理させる暇を与えない。


 どうやら銃による射撃を裕紀が躱している隙に体勢を立て直したらしい加藤の口元に笑みが浮かぶ。と同時に、漆黒の銃口から黒紫の光が瞬いた。

 ヒュンッ、という音と熱が耳元で鳴ったと思えば全身に攻撃の感覚が集中した。

「くっ」

 無我夢中で感覚の示す場所へ魔光剣を振るうと、一撃目二撃目とどうにか銃撃を防ぐことができた。


 しかし、混乱した思考ではさすがに反応速度が追い付かず、左腕に銃撃を掠めた裕紀は猛烈な痛みに呻いた。

「ぐ、ああっ」

「くく、あはは! どうした、もっと踊れ、無様になっ!」

 笑いながらそう言う加藤は、動きが鈍った裕紀に銃口を向けて引き金を引いた。


 激痛のせいで集中する余裕もない裕紀は、せめて追撃を躱すために横へ跳んだ。

 床に残った弾痕を視界の端で捉えた裕紀は、加藤の銃撃をぎりぎり躱し続けながら必死に思考を回転させた。


 焼け焦げたような床の弾痕からして、加藤の持っている銃の性能は普通ではない。

 恐らく、魔光剣と同じように生命力を魔力へ変換させることでエネルギーを生み出しているのだろう。

 ならば、少なくともあの銃に弾の装填数という概念は存在していないはずだ。

 加藤の生命力が尽きない限り、あの銃の弾は無限に生成される。

 しかも、わざわざ再装填をする必要もないという性能も厄介だ。

 しかも普通の動体視力では到底捉えることのできない高速のエネルギー弾を、感覚だけで回避し続けることも至難の技だ。少しでも銃への集中力を切らせば、裕紀の身体には無数の弾痕が刻まれるだろう。

(あんなのいつまでも躱しきれない。どこかで相手の意表を突ければ、一方的なこの状況をどうにかできるかもしれないけど…っ)


 相手もこちらの内心は大方把握しているのか、そう簡単に懐に飛び込むことを許さない射撃をしてくるため、近付くこともままならない。

 このままでは常に回避行動を強いられる裕紀が、あの銃に撃たれてしまうのも時間の問題になってきてしまう。


「いつまでそうやって躱していられるかな!?」

 そう言い、的確な位置へ撃たれるエネルギー弾を裕紀は加藤の姿を視界に収めながら避けていく。

 掠り傷程度だった左腕の痛みは既に引いてきている。今なら集中して生命力を操ることは可能だ。

(一か八か、やるしかない!)

 そう内心で言い放った裕紀は生命力を肉眼に集中させた。回避先を予測して放たれたエネルギー弾を肉眼で視認する。


 生命力操作によって裕紀自身の動体視力を強化することで、肉眼では捉えきれない速度で飛来するエネルギー弾もぎりぎり捉えることができるのだ。

 加減一つ間違えれば即失明というかなり危険な賭けではあったが、この調子なら一時的な視力の低下だけで済む。


 たった一瞬の賭けに勝った裕紀は、歯を食いしばって弾道上にあえて止まると剣を小さく後ろに引いた。

 脳裏に、決戦前に昴から貰ったアドバイスが駆けた。


『いいか、新田。もし敵が銃などの飛び道具を使ってきた場合、相手の使っている銃が魔力で生成されたエネルギー弾なら、同じ魔力で生成された刀身を持つ魔光剣で弾き返すことが可能だ』

『力を抜き、自分が弾き返したい場所へ弾を流すように剣を振るう。成功の秘訣は己の勘を信じることだ』


 弾の軌道は肉眼で視認しているので予測は簡単だ。あとは腕の力を抜いて、跳ね返したい場所へ流すように剣を振るうように意識する。

 着弾まで、いち、ゼロ。

「シッ!」

 小さく気合を迸らせた裕紀は、加藤が左手に握る銃へ向けて引き絞った剣を振るった。

 軽い手応えを右腕に感じるのとほとんど同時に、加藤の左手に収まっていた銃が火花を散らして手中から離れた。

「いっ…、てめッ」

(あ、当たった!?)

 訓練で教わっただけで実際に出来るとは思っていなかった裕紀は、内心で驚きを隠せなかった。


 自分の撃ったエネルギー弾で銃を弾き飛ばされた加藤は、怒りの声を漏らしながらもすぐに左手を落ちた銃の方向へ向けた。

 その動きに同期するように、地面に落ちた銃が微かに動き出した。おそらく、生命力を使って離れた物体を引き寄せようとしているのだ。

(させるか!!)

 しかし、千載一遇のチャンスを逃すほど裕紀も鈍くはない。


 生命力を両足に集中させた裕紀は、剣を構えて力強く地面を蹴った。

 加藤も裕紀が急接近していることを確認すると、銃は諦めて魔光剣を大上段に構える。

 地面すれすれから上に斬り上げた裕紀の魔光剣と、真上から振り下ろされた加藤の重い魔光剣が衝突する。


 バシィィィイッ、と強烈な衝撃とスパークをまき散らしながら、裕紀と加藤は互いに競り合った。


「あの銃撃を跳ね返すとは、以前よりだいぶ成長してるじゃねえか!」

「あの時と同じだと思うなよ。俺は大切なものを守るためなら、どこまでも強くなってやる!」

 狂気的な笑みを浮かべてそう言う加藤に、裕紀も己の覚悟を込めて言い返す。

「ふはっ、おもしれえ。やっぱお前は、殺しがいがあるぜ!」

 上から更に重みが加わった剣の威力を、裕紀は支えきれなくなる前に地面へ受け流した。


 相手の剣の威力を利用して後ろに下がった裕紀に、加藤の剣が追撃を与えるために突き出される。

 中腰の姿勢で刺突を弾いた裕紀は、上体を起こして相手の右肩に目掛けて斬りかかった。

 この状況で相手を殺さずに無力化するには、剣を持つ利き手を斬り落とす他ないと考えたのだ。


「はああ!!」

「ぜりゃああ!!」

 剣を弾かれた加藤は即座に裕紀の狙いを察したのか迎撃態勢に入る。

 双方の魔光剣が放つ光が交錯し、薄暗い園内で剣戟が始まった。


お待たせしました!!

あ、どうでもいいことなのですが……

最近、僕の好きなSF映画のゲームが発売されまして、ファンの一人としてとても楽しくプレイさせて頂いています。

映画の公開も近いので今から待ち遠しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ