アークエンジェル(8)
もっと慎重に扱うべきことである用件をいい加減に告白した女性教師に、裕紀は頭に血が上り思わず怒鳴ってしまった。
静かな喫茶店でいきなり声を張り上げたために、店内に裕紀の声だけがいっぱいに響いた。
直後、背後からマスターの咳払いが聞こえてきて裕紀は慌てて口を噤んだ。
今は店内にいるのが女性教師と裕紀だけなのでまだ良いが、他の客がいたらきっと不快な目で見られていたことだろう。
喫茶店にいる客が二人だけなことに安堵しながら、裕紀は静かに席に座った。
座るやじっと女性教師を睨みつける。
さすがに今回のことは自分にも非があると認めているようで、女性教師は詫びれた表情で苦笑を浮かべていた。
「なんか、すまないね。てっきり彩香から聞いているものかと思ってさ」
「俺は何も聞いてませんよ。というか、そもそも柳田さんが勝手にそんなこと話すと思いますか?」
正直で真面目な性格だろう彼女のことだから、本人の許可を得ずに個人情報を暴露するような失礼なことはしないと思う。
裕紀個人の勝手な妄想ではあるが、少なくとも裕紀が知った彩香からはそんな身勝手な印象は浮かばない。
幸い、女性教師も彩香のことは信頼しているらしく苦笑の色を濃くしながら言った。
「そうだね、思わない。彼女は優しくていい子だよ」
二人の彩香に対する気持ちを共有しているところに、注文の呼び出しを待ち構えていたらしいマスターが来た。
「お取込み中のところすまないが、オーダーは決まったかな?」
どうやら早く飲み物を淹れたくて仕方がなかったらしい。
そう催促された裕紀と女性教師は微笑みながら互いにメニューを眺めた。
決して種類も多くはなく特徴的なものもないが、それ故に安定感を醸し出しているメニューへ迷いの視線を注ぐ女性教師は、苦難の果てにブラックコーヒーを頼む。
裕紀はあらかじめ頼むメニューを決めていたので、一足先にホットココアを注文した。
ようやく飲み物を淹れられるからか、上機嫌で戻って行くのを背中越しに見て、裕紀は女性教師に追及した。
「で、先生は俺が魔法使いになったことを知っていたんですか?」
知らないことの多過ぎる裕紀が質問してくることは想定していたようで、女性教師は質問に快く答えた。
「まあね。私の仲間で、なかなか頼ってくれないメンバーが教えてくれたのさ。今や君の存在は、私の所属するコミュニティでは有名だよ」
コミュニティとは、魔法使い同士が同じ目的のために共に集う組織だと彩香は言っていた。
目の前に座る女性教師もコミュニティに所属しており、裕紀が魔法使いとして魔法の力を覚醒させたことを知ったのは仲間の情報だと言った。
「柳田さんは仲間じゃないんですか?」
同じ学校の教師と生徒同士、更には魔法使いという接点もある彼女たちなら何らかの関係を持っていると考えた裕紀はそう口走っていた。
「さぁね。それは私の口からは話せない。気になるのなら自分で聞いてみなさい」
完全に答えをはぐらかされてしまい、そして現状それが不可能なことであることに弱音を吐く。
「だけど柳田さんは意識がない。確かめようにも目を覚まさないと聞けませんよ」
「はぁ。君は何故ここに来た? 強くなるためではなかったか?」
自分自身が一番わかっていることを溜息と共に問われた裕紀は、両手を強く握りしめて答える。
「先生の言う通り、俺は大切な存在を守れるような強さが欲しいです。でも、それと柳田さんと何の関係が? 俺が強くなれば、彼女が目を覚ますとでも言うんですか?」
そんな物語のようなことが起こるとは裕紀は到底信じられなかった。
意識を失った人がいつ目を覚ますのかなど、本人にすら分からないことだ。
だが、女性教師は裕紀の否定的な言葉を自信ありげに振り払った。
「関係か。関係はあるさ。だから君をここへ連れてきたし、その関係を成し遂げることが君の仕事だからな」
全く要領を得ない女性教師の言葉を頭の中で反復する暇もなく、裕紀の耳に軽い電子音が届いた。
何の音かと気になるが、それが携帯端末のメールの着信を報せる音であることはすぐに分かった。
待ち侘びたというような表情になった女性教師は、鞄から携帯端末を取り出し画面を操作する。
メールの着信に対して短文を返信したらしい女性教師は、端末をしまうとそのまま口を閉じてしまった。
それからしばらく何も話さなくなった女性教師へ不審感を感じずにはいられなくなった裕紀は、堪らず口を開きかけた。
「あの・・・」
「待ちな坊主。気になるだろうが、今はダメだ」
しかし、話し掛ける前にコーヒーを淹れているマスターから制止の声がかかった。
どうして話し掛けることをしてはならないのか。
その答えは、裕紀の視界に映る光景が教えてくれた。
瞼を閉ざし眉間に皺を寄せている様子から相当集中しているのか。話し掛けることすら許さない雰囲気が女性教師に漂い始めている。
そして、彼女の身体から淡い真紅の輝きが放たれていることに裕紀は息を呑んだ。
(ッ!! これは、魔法の予兆?)
これと同じような光景を裕紀は何度も目にしている。
四日前、新八王子駅のショッピングモール・フードコートエリアで彩香の魔晶石から放たれた光。
異世界で彩香が裕紀に使った回復魔法の輝き。
男との戦闘で重傷を負った彩香を抱えた裕紀を逃がす際に魔晶石から放たれた光。
目の前で女性教師が身に纏っている真紅の輝きは、状況は違えどどの現象とも酷似している。
そして、この現象は裕紀の身にも覚えがあった。
今朝、あの黒ローブの男と魔光剣の鍔迫り合いになったとき裕紀は確かに見て感じた。自身の腕に黄金色の輝きが纏っていたことを。そして、己が魔法を発動させているということも。
まだ一日も経っていない出来事を思い出していた裕紀の前で、女性教師から放たれる真紅のオーラが輝きを強めた。
室内だから風は吹いていないはずなのに、謎の浮力で女性教師の短く切られた黒髪が軽く漂う。
見え隠れする耳に付けられたピアスが僅かに身体を纏うオーラと同色に光った。
あのピアスが女性教師の魔晶石であることは一目瞭然だった。
「ハードテレポート」
苦しそうな声音で絞り出された単語に応えるように、裕紀たちの座るテーブルの隣に真紅の図形が出現した。
綺麗な円形の中に様々な形と複雑な文字が浮かび上がったそれは、まるで魔法陣のようだ。
そう思った裕紀の隣で、魔法陣が一際強く輝きを放つ。あまりの強さに裕紀は思わず瞼を強く閉じる。
やがて光が収束すると、そこにはつい数秒前まではいなかった一人の女性が立っていた。
茶色のマフラーを首に巻き、艶のある黒髪を後ろに結んでいる。
そんな女性の服装は、学生服でも会社のスーツ姿でもない。
水色を基調に僅かな絵柄の入った薄手の長袖シャツの上に、暖かそうなコートを羽織り、ぴっちりとしたジーパンという何ともラフな格好だった。
そんな女性に視線を向けていた裕紀は、ふと向けられた鋭い瞳と目が合った。
鮮血のような赤が特徴的な瞳に、裕紀の記憶の引き出しが開きかける。
だが、完全に引き出しが開く前に目の前に座る女性教師が苦しそうに呻きながら姿勢を崩した。
「先生!?」
いきなりテーブルに崩れた女性教師に驚きの声を上げる裕紀とは対照的に、女性とマスターは深いため息をついた。
彼らの態度から察するに、このようなことはちまちま起きるらしい。
その証拠に、魔法によって呼び出された女性が呆れたように言った。
「あなたは少し加減というものを知ってください。私がいた場所からここまでの距離は歩いて来れる程度のものです。使用できる魔力を変換するための生命力が少ないのですから、あまり無理はしないようお願いします」
女性教師はこの女性の上司にあたる存在なのか、敬語でそう叱責する部下に女性教師は冷や汗を拭いながら返答した。
「う、うむ。次からは気をつけるよ」
これは次もやらかすパターンだな、と他人事のようにそう思った裕紀に女性が再び視線を向けてくる。
表情が薄いせいか何を考えているかはよく分からない。
だが、彼女が裕紀よりも強い実力の持ち主であり多くの死地を乗り越えてきたことは感覚で伝わってきた。
そして何より、彼女も魔法使いであることも瞬時に理解できた。
じっと感情の掴めない赤眼で数秒裕紀を凝視した女性は、裕紀から目を離さずに女性教師へ問うた。
「飛鳥さん、彼がそうなのですか?」
平坦かつハスキーな声音に、飛鳥という名の女性教師は、崩した姿勢のまま不敵に頷いてみせた。
「ああ。彼こそが今回の戦いに終止符を打つだろう魔法使いだ」
長らく紹介が遅れてしまったが、裕紀の目の前に座り何だかトンデモナイ発言をした女性教師にもちゃんと名前がある。
本名を後藤飛鳥。八王子市立萩下高校に就職しており、任されている仕事は主に生徒たちの安全や悪事を働いた生徒を取り締まる生徒指導。
他にももう一つ、臨時教師として体育を担当するときもあるが、それは担当教師がいないときのみなので主な仕事は前者だった。
ただ、他の体育教師よりも厳しいと評判の彼女はあまり生徒たちに人気はなかった。
裕紀も飛鳥とは教師と生徒、師匠と弟子の関係を持っているので彼女がどれだけ厳しいのかは身を以て知っている。おそらく、他の生徒たちが知っているような厳しさの次元を超えていた。
そして、また後藤飛鳥について更新された情報が二つほどある。
彼女は、いや、彼女もやはり魔法使いであるということ。そして、他の魔法使いとは違って魔力に変換するための生命力が少ないということだった。
自身が疲労困憊するほどのリスクを払って呼び出した女性の正体も気になったが、何よりも優先すべきことがあった。
「それより、適当に椅子を持ってきて、早く席に着いてくれ。話が、進められゴフッ!」
呼び出されたは良いものの、座る席もない女性にそう指示した飛鳥が、とうとう吐血してしまったのだ。
「本当に大丈夫ですか!? もう死にかけてますよアンタ!!」
顔を青白くして血を吐く飛鳥に裕紀は慌てて席を立つ。
吐血と言ってもテーブル全面に広がるほどの規模ではないが、そもそも吐血してしまうほどの体調であることが問題だった。
だというのに、この場に居合わせているマスターと女性に慌てた様子はなかった。
むしろ女性は苦しそうな飛鳥の元から離れ、マスターのいるカウンターへと向かった。遠くから「適当に椅子をお借りします」「あいよ~」などと陽気なやり取りすら聞こえてくる。
飛鳥とは知り合いのはずの女性の態度に、薄情者と内心言い付けてやりたかったが、今は咳き込む飛鳥を楽にしてやることが最重要事項だ。
とは言え、薬も何もないので背中をさするしか方法はなかったのだが。
何か飛鳥の容態を軽減させてやる方法を模索していた裕紀の前に、椅子と何故かカップ一杯を持って戻って来た女性がため息混じりに言った。
「どうぞ。ナナの種を混ぜたコーヒーです」
ここ最近聞き慣れない単語を耳にすることが多くなった裕紀は、またも初耳の単語に反応してしまう。
しかしその単語を聞いた飛鳥は、恐怖で顔を歪ませて椅子の上で仰け反った。
「い、それは苦いだろ! 苦さを倍にするな!!」
「ブラックが飲めるのです。これくらい余裕でしょう?」
「余裕じゃない!! ミルクに入れるとか、そういう発想はなかったのか!?」
「あー、ありませんでしたね。というか、早く飲んでください。これを飲めば一応命だけは助かります」
一度は考えたがどういう意図か却下したらしい女性は、ずいっと飛鳥との距離を縮める。
「い、嫌だと言っているだろう!! もっと違う、マシな方法を探そう!?」
コーヒー(もちろん無糖だ)は飲めるのに苦いもの全般が苦手な飛鳥は更に顔を青くして(ついでに頭をぶんぶんと横に振りながら)椅子ごと一メートルほど遠ざかった。
女性の容姿から歳は飛鳥の方が上のはずだが、このやり取りを見るとどちらが年上か解らなくなってくる。
だが、あの女性の言っていることが本当なら飛鳥はすぐにでもアレを飲むべきだ。
無糖コーヒーの苦さとナナの種とやらの苦さを想像して合わせると同情したくもなるが、これも死にかけている飛鳥のため。
師匠が嫌がっていても、そんな彼女を大切に思う裕紀は心を鬼にして飲ませるべきだ。
そう思った裕紀は、じりじりと後退を始める飛鳥の両腕をガシッと掴んだ。
「ちょ! 何をするんだ!?」
いきなりの裏切り行為にギョッと目を剥いた飛鳥に、裕紀は申し訳半分懇願半分で言った。
「すいません先生。でも、俺はこれ以上苦しむ貴女を見たくはない! 我慢して飲んでください」
そう言われた飛鳥だが、相当嫌なのかジタバタと抵抗を続ける。いい年の女性が半分涙目になって子供のように喚く姿は携帯で録音しておきたい。
そして、師弟二人のやり取りを見ていた女性がここが機だと言わんばかりに動いた。
「さ、観念して飲んでください。大丈夫、苦いのは一瞬です」
鋭い赤眼を細め、小さな唇を吊り上げてそう言う。まるで獲物に狙いを定めるネコ科動物のようだ。
「・・・ヒッ!」
安心させるように微笑んだらしい女性だが、その笑みを見て飛鳥は完全に固まった。
裕紀も喉から小さな悲鳴が漏れるが、二人の反応を気にせず女性は無防備になった飛鳥の口に黒い液体を注ぎ込んだ。
「ンッ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
カップの中身が全て無くなるまで、飛鳥は無言の悲鳴を上げ続けていた。
カップに入った液体を全て飲み干した飛鳥は、飲み干す前より顔を青くして即座にマスターへハチミツミルクを注文した。
裕紀が注文したホットココアと一緒にテーブルに持ってきたマスターは、良いものを見せてもらったと言うような笑みを浮かべていた。
それから丁寧に飛鳥と裕紀の前にカップを置き、追加で注文していた女性の前にも黄金色の液体の入ったグラスを置く。
目の前に置かれたハチミツミルクを一瞬で空にした飛鳥は、若干顔色を元に戻して満足そうに一息ついた。
裕紀もホットココアを一口飲み、透き通るような黄金色の液体が注がれたグラスに刺さるストローに唇を付ける女性に目を向けた。
飛鳥の転送魔法によって呼び出された女性。
初めて会うはずだが何故だかそういう気になれないのは、この女性と似た人を裕紀が知っているからだろうか。
記憶の棚を引っ張り出しても、赤眼、黒髪、ポニーテールに該当する人物は思い浮かばなかった。
「何か用ですか?」
ずっと視線を向けられていることが気になったようで、ストローから唇を離した女性が鋭い瞳で聞いてくる。
まあ、ずっと見つめられていれば不審に思われるのは当然のことだ。
そのことについての言い訳を考えておかなかった自分を恨みながらも、何とか答えようと目を逸らしながら口を開く。
「えっと、何飲んでるのかな~、なんて・・・」
ただ、まったくもって考えてもなかったことが口を突いて出てしまい、裕紀は内心頭を抱える。
確実に変な人と思われているだろうと思いながらも、女性の回答を待つ。
対する女性は、やはり怪訝そうに裕紀とグラスの中身を交互に見ると、次いでテーブルにグラスを置いて言った。
「りんごジュースですよ」
「あ、ああ、りんご」
「私はカフェインとかそういうのが苦手なので、いつもりんごジュースなんですよ」
「はぁ、りんご・・・」
先ほどの飛鳥とのやり取りと言い、外見が大人っぽい印象からは想像もしていなかった答えが返ってきた。
(アップルティーとか、紅茶かと思ったけど)
意外そうにグラスに注がれている黄金色の液体、もといりんごジュースへ視線を送る裕紀へ女性はスッと鋭い瞳をさらに鋭くした。
薄い表情からは微かにイラっとしている感じが伝わってくる。
「子供っぽい・・・、と思ってますよね?」
「いや、別に、思ってたのと違うなーって思いまして」
ぶんぶんと首を横に振りながら否定の言葉を述べた裕紀に、女性はすぐに表情を戻すとりんごジュースをストローから啜った。
「まあ、いいです」
言いながら半分になったグラスをテーブルに置くと、今度はニヤニヤと二人のやり取りを傍観していた飛鳥へ顔を向けた。
何も言葉は述べられなかったが、飛鳥はすぐに女性の考えていることを察したらしい。たぶん、早く話を進めてください、的なそんなことだろう。
ナナの種とやらの効果なのか、体調は全快したらしい飛鳥は、ニヤニヤした表情を崩さずに身体を起こして言った。
「そういえば、双方自己紹介がまだだったね。すでに知っていると思うが、こちらの男子生徒は新田裕紀だ。私の生徒であり、弟子でもある」
簡単に紹介をした飛鳥に続いて裕紀はぺこりと頭を下げる。すでに知っているらしい女性も軽く裕紀に頭を下げる。
「でもって、こちらは月夜玲奈だ。私の所属するコミュニティの一員だ。新田、君は一度彼女に助けられているよ」
「え!?」
思いがけぬ言葉につい声が上がってしまった裕紀は、口を噤みながら月夜玲奈の顔をまじまじと見た。
綺麗に整えられた黒髪を白いリボンで後ろに結び、鮮血のように赤い瞳は女性にしてはやや鋭い。
化粧をしていないにもかかわらず肌は深雪のように白く、唇は仄かな桃色に染まっている。
羽織っていたコートを椅子の背もたれに掛けた女性の服装は、水色の生地にさり気ない絵柄の入った長袖シャツの姿だった。
思い返してみれば、あの黒ローブの男との戦闘で裕紀の救援に駆けつけてくれた女性も黒髪の赤眼だった。
ただ、あの時の女性は髪は結んでいなかったし服装もピシッとしたスーツ姿でいかにも大人の女性という印象だった。
だが、目の前に座る玲奈は社会人というよりも女子大生という印象だ。
今朝の女性とは顔が似ているというだけで別人にしか思えない。
そんな第一印象を与えた玲奈は、裕紀が飛鳥の言葉に納得していないことをすぐに察したらしく、後ろで髪を結んでいたリボンをしゅるるっと華麗に解いた。
結ばれていた黒髪が一気に解き放たれ肩に毛先がかかる。玲奈は一度頭を振って自由になった髪を一度整える。
「これなら解る?」
表情を動かさずに小首を傾げてそう言う玲奈を見た裕紀は、自分の中の違和感のようなものが綺麗さっぱりなくなった。
ポニーテールから髪を下ろした玲奈は、もはや今朝の女性と同一人物だった。
(髪型一つでこうも印象が変わるのか・・・)
人は外見だけじゃないとずいぶん前に誰かに言われた覚えがあるが、今だけは外見も大切だろうと思える裕紀であった。




