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49er~僕が夢見る英雄譚~  作者: ゲヌイネ
第1章 ここは地球か異世界か
2/22

01-0001.薄緑色の怪物ですよぉ

窓がない真っ白な壁に、少し高い天井。

部屋の中心にベッドが置かれていて、そこで僕は眠っていた。

先程から妹のマヤノと同じ年頃の少女が、僕を起こそうと必死に肩を揺らしている。


『…く…きて……!もう…語は…まてい…の…!…ヤ…さ…を…けに行か…いと…目で…ょ…!』


少女が何かを伝えようとしているが、まるで夢の中に居るかのように上手く聞き取れない。


『も…!ま…寝ぼ…てい…の…』


少女が部屋から出て行く様子を、高い所から見下ろす僕は、それが夢だと気が付くと意識が暗転する。


――――――――

―――――

――…



あれからどれぐらいの時間が経ったのだろうか。目が覚めると僕は見知らぬ部屋の中で倒れていた。


ここはどこだろう。少し広めの長方形の部屋には扉が2つ見える。


部屋はゴツゴツした石壁で囲まれていて、地面は石畳で出来ていた。

中央には囲炉裏があり鉄製のファイヤーハンガーから鍋とお玉が1つずつ釣り下がっていて、薪には火が付いていない。

扉の向かい側には、馬の顔らしき形をした石像と一体型になっている水飲み場がある。

天井灯や非常灯は見当たらないが、何故か灯りが点いていて幻想的な感じだ。

壁に手をやるとほんのり暖かく、壁が淡く発光しているような感じがする。


僕は腕を組み、部屋の中をグルグルと周りながら考え込む。


地面に飲み込まれたまでは覚えているが、そこから先の記憶がない。

父さんや母さん、妹のマヤノは大丈夫だろうか。

ここでみんなの助けを待つべきか、それとも部屋から出るべきなのだろうか。数分悩んでみたが何も進展がない。


ううーん。よし、このまま部屋で、じっとしていても埒が明かないか。

意を決して隅にある方の扉のドアノブをそっと握ると、バチンッ!と静電気が流れ手を放す。


「くっそー。驚かすなよー」


扉を開くと、中は小部屋になっていた。


部屋の中心には、便座とレバーが木製になっているが、見慣れた洋式トイレが置かれていた。

そして壁の隙間からは、紙の先が飛び出している。


なるほど、どうやらトイレのようだ。


配管がなく、どこからか流れて来る水をどうやってタンクに貯めているのかは分からないが、タンクのレバーを捻ると水が流れ出し、トイレは正常に使えるみたいで少し安堵する。

だが良く見ると、壁側の床に少し大きめの穴が空いているを見つけてしまう。


僕は、目を細め恐る恐る下の穴を覗き込んでみた。

穴の中は暗く何も見えない。うーん、何だ…?何かが聞こえ…る…ぞ…?


ズゾ…ズゾゾゾゾゾゾ…。


暗闇の向こう側で何かが蠢く音が聞こえると、背筋がゾッとし鳥肌が立ち始める。

僕は、慌てて小部屋の外に出て勢い良く扉を閉める。


なな…、なんだここは…、穴の中に何かが居るけど、あれは何なんだ…?


一旦大きく深呼吸をし不安をかき消す為に声を出す。


「よし!お、落ち着け、ほ、他にも調べる所があるぞ。ミノル!」


気を取り直して水飲み場を確認する。


「こ、これは馬の顔で良いのか?少し違うような感じがするけど、うん?笑っているのか?」


馬の顔の口角が上がり笑っているように見え、かなり精巧な石像だ。いきなり動き出したりしないよな。


石像の口の部分からは水が延々と流れ続け、中央の器に溜まっていて、それが溢れて下に流れだしている。

石像の口から流れている水を手で掬ってみると凄く冷たい。いけるか?少し口をつけてみたが美味しい。これなら飲めそうだ。


水分を口に含んだ事で少し落ち着いてきたので、後ろを振り返り向かい側の中央の扉を開くと、外は通路になっていた。

今居る部屋と同じゴツゴツとした石造りの壁で、左右に伸びる通路は、少し行くと曲がり角なのか行き止まりのようにも見える。


僕は左手を壁につけながら、左側の通路を進んで行く事にした。


通路には拳大の石が落ちていたりと整備されているようには見えないが、石造りの通路は何も特徴が無く、

闇雲に歩き回ると、この部屋には戻ってこれないような気がする。


昔、何かの本で、迷路では左手の法則が有効だと読んだ事がある。元の場所に戻る時は、右手の法則だ。


5分ぐらいだろうか左へ右へと少し歩くと、こちらに背を向けてしゃがみ込む人影が遠くに見えた。


誰かがいる。


ここに来てから誰とも会わず、疲れ切った僕の心がほんの少し安堵する。

良かった。自然と駆け足になり人影に近づくと、思ったより小柄な背中と近くに倒れている人が見えた。

子供ともう一人は怪我人だろうか?僕は子供の方に声を掛けようと右手を伸ばす。


「おーい、大丈夫かっ………」

「グギギギギギギ」


振り返るその顔は子供の姿ではなく。山羊のような瞳で醜悪な、薄緑色の肌をした腹が膨れ上がった怪物だった。


初めて見るその恐ろしい姿に、倒れている男性の右目に刃物が突き刺さっている様子に、僕の顔からみるみる血の気が引いていくのが感じ取れた。

醜悪で薄緑色の怪物が、差し出された僕の右手を持っていた何かで弾くと、指先に激痛が走る。


「ツっ………」


怪物の左手には、赤く血に染まった小型の刃物が握られていた。


ヤバイカモシレナイ。


戸惑いながら、咄嗟に左手で押さえていた右手を見ると、人差し指と中指の第二関節から先が血に染まり、ある筈のものが見当たらない。


「ぎっ………ぐふっ………」


僕が叫び終わるより先に、怪物が僕の腹を蹴り上げ馬乗りになってくる。

馬乗りになった怪物が、ニヤつく顔で僕を見下ろし両手で持った刃物を振り下ろす。

右目付近に振り下ろされる刃物を、咄嗟に首を曲げて交わすが右耳と右頬が熱い。


「ギャハッギャハッギャハッ!」


怪物の勝ち誇ったような笑い声が耳を(つんざ)く。


ハァハァ………全身が痛い。どうにかこの状態から抜け出さないと、このままだと怪物に殺されてしまう。

焦る僕の両腕に力が入る。あれ、思ったよりも軽いぞコイツ。こ、これなら持ち上げられるか?


「ぬぅ…、おおおおおおおー!!」


僕は持てる力を振り絞り、左手で太腿を下から掴み怪物の体を横へ弾き飛ばす。


「クソックソックソックソッ!」


逆に馬乗りになった僕は、近くにあった石を握りしめ、夢中で醜悪な顔に石を何度も振り下ろした。


「グ…ギャアア…アア…ア…ア……」

「ハァハァハァ……やったか?……フフッ」


動かなくなった怪物を見下ろし咄嗟にフラグを呟いてしまった自分に鼻で笑っていると、薄緑色の怪物は刃物と共に黒い粒子となり消滅する。


疲れた…。


ズキズキと痛む右指をぼんやりと眺めながら、満身創痍な体はピクリとも動かすことが出来ずにいた。


「父さん、母さん、マヤノ…。もう家に帰りたいよ…」


なんとか体を動かそうとした瞬間に、無くなった指先が徐々に発光しだす。

その光は右手だけでなく、全身を包み込むように光りだした。


「ハハハ…!段々と慣れてきたよ。次は何が起こるんだ?」


全身を包み込む光が胸の辺りに集約すると、ハガキサイズの黒い板が現れ地面に金属音を鳴らす。


ピロン♪


脳内にアナウンスが流れる。


『 探索者を取得しました 』


探索者?そうきたか。全身を包み込んでいた光のおかげだろうか千切れた人差し指と中指は元に戻り、頬と耳の痛みもいつの間にか引いていて、さっきまでの疲れも無い。何故だか恐怖心も和らいでいるような感じがする。


体が元通りに戻ったのだろうか?指を動かし頬と耳を触って全身を確認する。


辺りを見回すが、先に居た血溜まりの中の男性は既に手遅れで息をしていない。


「ごめんなさい…」


僕は軽く黙祷をして亡くなった男性の冥福を祈りつつ、地面に落ちた黒い板を拾う。


うん?


怪物が黒い粒子になって消えた跡に、縁が赤褐色のカードが落ちているのに気が付く。


これは何だろうか。


カードには薄緑色の怪物が、先程まで持っていた刃物の絵が精巧に描かれていた。

裏面を見るとそこには、映画や小説で見知った名前が書かれている。


『 ゴブリンナイフ 』


そうか、あれがゴブリンなんだ。


想像の100倍は気持ち悪かったゴブリンの顔を思い出してしまう。

ううっ……やめておこう、そんな事よりも今は黒い板が気になる。


僕は、今居る場所から逃げる様に、少し離れて黒い板を確認する。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


時園実 17歳♂


ジョブ:探索者(01)

『ダンジョンゲート』

『LUC小アップ』




STR 5 INT 5

VIT 6 MND 5

DEX 4 CHR 5

AGI 6 LUC 75+10


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


黒い板には僕の名前と、ジョブが探索者(01)と表示されていた。


黒い板の下の方に書かれている刻まれたアルファベットと数値は、もしかしなくてもゲームでよく見るステータスに見えるが…?

LUC小アップが+10だとして『ダンジョンゲート』は何だ?ここはダンジョンなのか?ゲート?門?


「ダンジョンゲート……、お…?」


グラリ。


声に出してみると、体から何かが抜ける感じがして少し眩暈がした。

辺りを見回すが、門が現れているとかはない。


「……ダンジョンゲート」


……何も起きない?

確認の為にもう一度声に出してみたが、特に何かが抜けていく感じもしないし眩暈もない。


「グ…ギ…ァ……ァァ……ァ」


声のした方向へ顔がぐるりと素早く動く。遠くからゴブリンらしき声が聞こえてくる。


えぇ…ゴブリンがまだ居るの?ちょっとタイム!いったん!一旦さっきの部屋に戻らせて!


僕は黒い板とゴブリンナイフと書かれたカードをポケットに突っ込み、急いで来た道を戻り、最初の部屋へと走り出すのだった。

面白かった!

続きが気になるので、また読みたい!


と感じたら

下記にある☆☆☆☆☆で、評価をお願い致します。


☆5(面白かった)☆1(つまらない)になります。

正直なお気持ちで、もちろん大丈夫です!


ブックマークもしていただけると、本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願い致します。

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