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file.14 エピローグ リハビリ

「依頼があるんです、珠莉先輩に」

事務所に来るなり少し緊張した面持ちで秋人が珠莉に切り出す。

「いいけど。私に?」

「えぇ、珠莉先輩以外には頼めないことで」

「わかった。私の部屋で聞こうか」

と2人で3階に移動する。


     *


秋人を椅子に自分はベッドに腰掛けて珠莉は話を促した。

「リハビリさせてください」

「?、なんの?」

「おれが男に戻るための」

「え?」

一瞬言葉に詰まるが

「それね、気づいてたよ」

「やっぱりですか?」

「だって、エッチいことしてんのに何も反応ないなーとか。実は思ってた。所長は見せつけてくる方だからさ」

それには若干引きながら秋人は

「あの人、結構なケダモノなんですね」

「そうだよね!父親面したかと思ったら手のひら返しでエロいこと仕掛けてくるし」

「それはー、珠莉様がそれだけ魅力的てことなんですよ」

と宥めつつ

「で、どうでしょう?」

と尋く秋人に

「それは……いわゆる夜の女性の方が私より上手いし向いてるんじゃあ?」

と珠莉が応える。

「おれ、珠莉様じゃないと勃たないと思うんですよね。好きな人じゃないとダメなタイプだから」

「そ、そうなんだ」

ちょっと気圧されて珠莉が返す。

「珠莉様もおれが他の女性に筆おろしされるのどうですか?」

想像してみる珠莉。なんだか急に胸元が詰まる思いがした。

「……や、嫌かも……」

「じゃあ」

「……いいよ」

秋人がベッドの珠莉の隣に移ってきて耳元で囁く。

「初めての同意ですね」

「バカ……」


秋人が耳裏に何度もキスしながら

「ピアス増やす理由ってなんですか?」

「施設出てから毎年一個ずつ増やしてるの、記念に。あ、舌怪我しないように……」

「はい、気をつけます」

とそっと耳朶に舌を沿わせる。珠莉がくすぐったそうに首をすくめるのに合わせ首筋にも舌を沿わせる。

「はっ、はぁっ……」

次第に珠莉の息遣いが荒くなってくる。ワンピースを脱がそうとしたところで

「ちょっと、ちょっと待って」

「はい?」

珠莉の言葉に秋人が止まる。

「あの……キスして」

とはにかんで珠莉が言い出す。予想外の珠莉の言葉に

「え、むしろいいんですか?」

秋人が聞き返す。

「キスもなしに最後までするのはちょっとやだな、って」

いつになくしおらしい珠莉に秋人が

「最後まで?しませんよ」

「え?」

「とりあえず今日はですけど」

「そうなの!?」

「だってリハビリですから。今はまだ最後までできるかどうかもわからないんです」

「そうか、そうだった……」

珠莉が納得している間に今頃になって湧いてきた喜びに秋人は

「なんです?最後までしてくれる覚悟でいてくれたんですか?処女喪失ですよ?」

急に恥ずかしくなり珠莉は

「もぅ知らない!キスもしない!」

「拗ねないで。……キス、してもいいと思ってくれたんですよね。嬉しいです」

素直に感謝を述べてから秋人は珠莉に

「キスも初めて?」

「ずっと見てたんでしょ。私の人生にそんな相手いた?」

「えーと、諒介さんとか?」

「してないよ!したのは秋人でしょ」

忘れてたことを指摘され

「そー言えば……、いやおれの性的対象は珠莉様なんであれはノーカウントで」

「ちょっとショックだったんだけど……、お似合いだったし」

「お似合いって。ほんとすみません。いいから早くキスさせて」

と言って両手で珠莉の顔を挟み込む。唇に息がかかるくらいまで顔を近づけ

「好きです。珠莉様は?」

「……好き、かも」

2人の息が混じり合う。

「かも?」

「嘘、好き」

「良くできました」

秋人が珠莉の唇を喰む。何度か場所を変え繰り返し、頬を押さえて軽く口を開けさせて舌を入れる。

「んっ」

珠莉は秋人を受け入れてその舌を吸う。

「あ、いいです、珠莉様……」

囁きながら秋人は舌を絡めて口腔内をかき混ぜるようにする。

「っはー」

と一度口を離して秋人は珠莉の服に手をかける。両手でワンピースをたくしあげながら顔を横に倒してまた口付ける。キスを続けながら器用にワンピースを脱がしてしまう。ブラも外して恥じらって隠そうとする珠莉の両手を奪いベッドにその身体を横たえる。


【中身は(R-18)版にあります】


朦朧とした意識が次第に焦点が合ってくる。自身が秋人に背後から抱きしめられて眠っていたことに珠莉は気がつく。

こうして抱きしめられてるだけで秋人の匂いがフェロモンのように珠莉を骨抜きにしてしまうのを秋人はほんとのところわかってないんだろうなと思うと珠莉はニヤけてしまう。耳元で声がする。

「もう大丈夫です?」

「……うん。秋人も大丈夫だったね」

と胸について乾きかけた液を手に取り

「おめでとう!」

と振り向き秋人の顔になすり付ける。

「もぅ!」

と露骨に嫌そうな顔をしてみせた後笑って秋人は

「おかげさまでリハビリ成果出ました。速攻でしたね」

と珠莉を腕の中で回転させ自身に向ける。

「珠莉様のおかげです。ありがとうございます」

「どう、いたしまして?」

「知ってます?相手の体臭がいい匂いに感じるのって遺伝子レベルで相性が良いんですって」

「そうなの!?」

驚く珠莉に秋人は

「おれは合格ですか?」

「う、うん」

と珠莉は照れて秋人の胸に顔を埋める。その珠莉を抱きしめて秋人は耳元で

「続き、また今度しましょうね」

と囁いた。そして珠莉の反応に

「顔、熱いですよ、びっくりするくらい」

「……うるさい」

「はい。可愛いですね、珠莉様は」


そこにバーンと清香がノックもなしで入ってくる。珠莉が驚いてタオルケットを巻き付けて上体を起こす。

「もう時間ですわ!2人で何してるんですの?」

と清香が問うのに秋人は肘をついて頭だけ起こして

「仲良ししてました」

と飄々と答える。その横で珠莉は口をぱくぱくさせるばかりで何も言えなくなっていた。秋人は続けて

「さーやもしたでしょ、この部屋で」

と静かに言う。その言葉に今度は清香と珠莉が蒼ざめる。

「な、なんでそれを」

「ストーカーを舐めないでほしいですね」

「そうだった……」

額に手を当てて項垂れる珠莉に、秋人の盗撮器のことを知らず混乱する清香は

「え?なに、どういう意味ですの?」

と叫ぶ。そこに

「おーい、会議するよー」

と下の階段口から諒介の声が聞こえてくる。

これ幸いとばかり秋人に頭をこつんとぶつけて珠莉は

「先行くね」

と言ってバスルームへ向かった。

「なんですの、尊い!」

「珠莉様可愛い」

と蕩ける2人だった。そして清香は言う。

「最大のライバル、あのお父さんは手強いですわよ」

その言葉に秋人も言い返す。

「負けないと思います。今日その自信がつきましたから」


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