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file_01 人探し

推理をしない探偵事務所で働く駆け出し探偵のパンク女子珠莉は今日も猫探しや人探しに奮闘中。

事務所のイケオジ所長、ストーカーの助手、ロリィタ秘書とのちょいエロを交えながら、登場人物たちが自分の過去を乗り越えて前に進んでいくお話です。

「聞こえる……!二筋向こうの道走ってる」

透明感のあるグレーカラーのボブの女子が呟く。革ジャケットにダメージドのキャミワンピといったパンクファッションが職業不詳だが一応社会人のよう。

傍の長身の男性も同様の空気を纏っているがベリーショートの髪が頭の形の良さを際立たせ又年齢よりも若く見せるためおじさんにしては清潔感があった。

「ほんと珠莉の耳には感謝だ」

と言いながら腕を鳴らし2人は走り出した。

音の鳴る方、つまり彼らが追ってるターゲットは自転車でのんびりと川沿いの道を走っていた。


     *


「今日は足をお運びいただきましてありがとうございました。担当させていただきます探偵の神宮 珠莉(しゅり)です。こちらは弊探偵事務所所長の美坂諒介(みまさかりょうすけ)。ご依頼は人探しとか」

ソファに座った依頼人が頷く。

「はい。交通事故の加害者が賠償果たさずにとんずらこきまして」

「保険会社が入ってないってことは無保険車ですかね」

「そうなんです。こういうの多いんですか?」

憤りながら尋ねる依頼者に珠莉は

「少なくない印象ですね。それで給料差し押さえされたくないからと仕事まで辞めて飛ぶのまでセットにして」

「ほんと信じられない!」

実際にそうだったのか怒り心頭に発するといった様子の依頼者を宥めつつ今度は所長が言葉をかける。

「うちまで辿り着くのも大変だったでしょう?次は弁護士特約つけておくのお勧めします」

「はー、必要だって今回しみじみ感じました。今までは自分さえ安全運転してればと思ってましてけどもらい事故は避けようがないんですね。絶対付けます」

「はい、ぜひそうしてください。それでは現在の所在確認承りました。何か進展がありましたらご報告差し上げます」


     *


「……止まった」

珠莉は左手でハンドサインを作りターゲット側に向かって路地に入っていく。がぴたりと立ち止まり唸る。

「何…これ?」

「ガス管工事で立ち入り禁止」

上司の飄々とした応えに珠莉は憤然としながらも小声で

「文字は読めるよ所長!どうする?」

「回り込んで間に合うか?まぁ所在は確認できたから一旦引くか」

2人はターゲットを追う探偵である。この街に目的の男が潜伏しているとの情報を得てやっと居場所を突き止めたところだった。

「報告のためにも1枚は写真撮りたい。この鉄板の向こうさえ見えたらいけるんじゃない」

封鎖柵の強度を確かめながら所長と呼ばれた男性は苦い顔して応える。

「さすがに飛び越えたりよじ登ったりは無理だな。派手な音もしそうだ」

うーんと頭を悩ませる2人。数秒後顔を見合わせ合唱した。

「……肩車ならいける!?」

「気が合うな」

素早く差し出された掌を踏み台にして所長の肩に跳び乗る珠莉。

「いつもながら凄い体幹だな。チアガールかよ」

驚嘆しつつも珠莉を気遣いながら所長は短く聞いた。

「どうだ?」

「肉眼は無理だけどカメラには収まってる!やった!」

「よし!でかした!」

褒めながら珠莉を見上げたつもりが真っ先に目に入ったのはフリルのゴージャスなパンツとそこからスラリと伸びた脚だった。

(近頃の子はスタイルがいいねー……)

所長は無駄にそんなことを心の中で独りごちてみた。

そんな所長の感慨にはとんと気づかずに珠莉は撮影を無事終え

「うしっ、撮れた!」

と収穫に興奮を覚えつつ肩まで滑り降りた。断っておくと一般の肩車は背の方に跨るが今の体勢は逆。

そんなことにも構わずに仕事の成功の昂りのまま珠莉は所長に抱きついた。頭に胸が乗る。

(Eカップって1kgだっけ?こうしてみると案外重いな。俺首いわさない?)

「おぅ…」

「これで報告書が書ける!所長!褒美褒美!」

はしゃぐ珠莉の腕に手を添え身体を軽く押しやり状況を飲み込ませるため

「はいはい、ご褒美のチューな」

の言葉と共に太ももに唇を落としてわざと音を立てながら吸い上げる。

「ひゃっ!なに!?」

狼狽して顔を赤く染めた珠莉に所長はムダにイケメンボイスで言う。

「この体勢にまず疑問を持て」

言われて改めて自分の格好に気づき更に顔を赤らめる珠莉だったがそれを隠すように顔を逸らして

「何が?」

照れ隠しもあるのか不明だがこういう時理不尽に絡みごしになるところが珠莉にはある。

「反抗期かよ…恥ずかしいだろうが」

「おじさん相手に恥ずかしいもないよ」

「そういうことやってるといつか痛い目にあうからな」

「痛い目ってどんな?」

挑発的な調子で珠莉が言う。

(ふーっ)と所長は内心で嘆息して決意する。軽くキレてもいた。(これは体に言って聞かせないとわからないな)

「…煽ってんなよ、後悔するぞ」

いいざま腰をガシッと引き寄せると下着をつけた股間が目の前にくる。

「え、嘘、ま…」

身体を捩って逃げ出そうとした珠莉だが所長は手を緩めない。そのまま下着の上から口をつけようとしてひとまずとどまった。

その動きに珠莉の緊張も束の間緩む。そこを腰の手を尻に移して揉みしだく。

「や、お尻弱い……のに……」

「じゃあ言うことは?」

「……何のことだか……」

「まだ言うか」

尻にある腕を引くと鼻先が下着に埋まる。「ひゃうん!ご、ごめ……」

「もう遅い!」


     *


脱力した珠莉の身体を一旦はお姫様抱っこした所長だが少し悩んだのち俵担ぎにして表通りまで歩いた。

(ちょっと大人気なかったかな。タクシー乗せてやろー)


タクシーの中でダメ押しで説教しておこうかと口を開きかけた所長は

「私何故だかとても身体がダルいので書類作成できなーい。てか人不足どうにかして」

と珠莉に静かにキレられ自ら報告書を書いたのだった。

(俺、所長……だよな)


     *


その後ターゲットが自転車を自由に乗り回しているところから土地勘があるのではと推測。遠縁の親戚宅に身を寄せていることをつかんだ。


「というわけで今回の報告で終了となります。今回みたいな人探しから猫探しといった探しもの。浮気・不倫などの調査など幅広くやっておりますのでよろしくお願いします」


元になった【R-18】版の方はミッドナイトの方に掲載されています。

成人の方はそちらもご覧になれます。

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