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人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚  作者: 咲良喜玖
第四章 アーリアに偉大な英雄が誕生する

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第166話 ミランダからシルヴィアへ

 「それで、こっちにも手紙があるわけだ」

 

 ジークはミランダの手紙を持った。

 色々書いてあるだろう手紙を、シルヴィアに渡す。


 「これですね。兄様読みますよ」

 「ああ」


 ミランダの最後の言葉。


 『まあ、頑張れや』


 読み終えたのか。

 と思ったシルヴィアは高速で瞬きして、隣で聞いていたジークの方は、開いた口が塞がらなかった。


 「兄様。これしか書いていませんよ」


 どうしましょ、という顔をしたシルヴィアは、心底困っていた。


 「馬鹿な。いや、馬鹿だもんな。ありえるのか!?」


 ミランダならありえると思いつつも何かおかしい点がないかと二人で手紙を見ていると、この場に影が現れた。


 「おいおいぞ。これは隠しているぞ」

 「サブロウ。来てたのか」

 「おうぞ。二人でどこ行くぞと思って、後ろをつけていたぞ」

 「そうか。心配してたか」


 実は、ジークは後ろで影になっているサブロウに気付いていた。

 サブロウも、親心に近い感情を持っていた。

 それはミランダが持っていた心と、元々サブロウが持っていた心が合わさり、少々心配性になっていたのだ。


 「ミラはこういう時はぞ。無駄な事をするぞ。アホだからな」


 サブロウは徐に机の上にあるろうそくに火をつけた。

 ランタンが部屋にあるのに、裸のろうそくがある。

 そこに疑問を持っていなかった二人は、サブロウの行動で気が付いた。


 「そういうことですか。サブロウ」

 「お嬢。そいつをぞ」

 「わかりました。炙ればいいのですね」


 シルヴィアは、手紙を炙った。

 文字が浮かび上がってくる。


 「これは、やはり隠していたのですね」

 「これまた面倒を・・・ミラめ」 

 「な。あいつはアホぞ」


 今度は、三人で手紙を読んだ。



 ◇


 これをお前が読んでるってことは、あたしって死んでんだな。

 まあ、最近なんか嫌な予感してたからな。

 なんだかな。

 レベッカを鍛えているあたりから、なんだか時間がねえなって思ってたからさ。

 とりあえず、あいつを育てるのが間に合ってよかったぜ。

 それに、あたしの勘が当たっていたか。

 まあ、しゃあねえな。寿命だわ。

 あたしさ。

 これ、生きてたら差し替えるつもりだったからさ。

 あたしが生きてたら、これさ。今頃は燃えてこの世に残ってないからな。

 まあ、そこらへんはさ。

 言いたい事として、後ろに乗っけるわ。


 そんでな。まずなんだが。

 エイナルフのおっさんの方で、お前の秘密は書かれていると思う。

 だから、ここでは書かねえ。

 

 あたし的には、そうだな。

 とりあえずあの時の事を教えてやろう。


 あたしがまだ子供だった頃。

 クソみたいな生活から、シルクさんに拾われて育ててもらった時だな。

 あたしがダーレーに厄介になっていた時に、ヒストリアが子供を身籠った。

 その時の会話に、あたしもいたのさ。

 あいつが、シルクさんに相談があるって言った時には、席を外そうかと言ったのに、あたしも聞けとあの我儘女のヒストリアは命令してきた。


 「シルクさん。私、産みたいんだ」

 「そうよね。私は賛成よ」

 「ただ、ウインドの家で育てるのは難しい」

 「そうね。リアナ様もいらっしゃらないものね」


 ヒストリアの母は、既に亡くなっていた。

 だからウインド家はヒストリアが切り盛りしていた。

 でも騎士団運営の方に集中していたから、家の方はあまり上手くいってなくて、そんな状況で、子供を産むのが危険なのは火を見るよりも明らかだった。

 だからシルクさんは。


 「じゃあ、うちで育ててみる? 私がジークと一緒にその子の面倒を見てもいいわよ」

 

 あっさりと答えた。

 面倒を一緒に見てもいいという軽い感じだった。

 小さい子供同士になるから一緒に見てもいいよという意味だろう。

 でも、ヒストリアからの提案は、この提案じゃなかった。

 内容は重たい提案だった。

 

 「シルクさん。それで悪いんだけど・・・この子をさ。シルクさんの子にしてくれないか」

 「わ、私の!?」

 「ああ。私が、子供を産むこと自体も秘密にしたいんだ。その協力をしてほしい」

 「まさか。あなた・・・」

 「ああ。頼む。この子を守るためには、ウインドでは駄目だと思う。ダーレーの方が助かる気がするんだ」

 「あなた・・・ここは弱小なのよ。自分で言ってみても恥ずかしいんだけど、こんな弱い家でいいの?」

 「大丈夫。ユーも見るって。影ながら支えるって」

 「兄がね・・・そう・・・」


 シルクさんにしては珍しく悩んだ。

 頭で考えず、心で即決。

 それが彼女のモットーなんだ。

 なのに、その時ばかりは頭で考えていて、時が止まったようにぼうっとしていた。

 よほどの重要事項だとあたしは思った。


 「あたしさ。今、ここにいねえほうがいいんじゃねえの?」

 「なんだ。ミランダ。怖気づいたか」

 「あ? 何言ってんだ」

 「とんでもない秘密になりそうな話だから、ビビったか。ガキだもんな」

 「あ? あたしは別にどうでもいい。あんたはあたしの親じゃないし。あんたとその子がどうなろうが知らねえのさ。あたしはシルクさんが、幸せならそれでいい」 

 「なに、この野郎」

 「べ~だ」


 あたしとヒストリアは、友達のような感覚だった。

 歳は離れているけど、仲は悪くなかった。


 「・・・そうね。ミランダちゃんもいるし、何とかやれそうね」

 「あたし?」

 「ええ。あなたがお姉さんになれば、ヒストリアの子も。ジークも。きっと救われるでしょう。良いお姉さんになるからね」

 「あたしは、良いお姉さんにはならないぞ。子供好きじゃないもん」

 「何言ってんだ。お前がまだ子供だろうが」


 ヒストリアに頭をぐちゃぐちゃにされた。


 「やめろ・・・あたしは子供嫌いなの」

 「だからお前も子供だろ」

 

 腹が立ったから、ヒストリアの手を弾いた。


 「いいからうぜえ。ヒストリア。だってさ、ジークがよ。あたしの話聞かねえんだよ。シルクさんの子なのにさ。ありえなくないか。だから子供って大変だ。ましてや、あんたの子だったらもっと話を聞かない。頭のおかしい子供に決まってるのさ。生意気だ! 絶対」

 「なんだと。表に出ろ。ミランダ!」

 「いいぜ。やったるわ!」


 と、あたしとヒストリアは会うと大体喧嘩しかしないのさ。

 でも血が繋がらないけど、姉妹みたいだった。

 

 「まったく。こらこら。あなたたち、おやめなさい」


 あたしとヒストリアの頬をつねっているシルクさんは笑っていた。

 いつも笑顔のシルクさんは本当にフュンみたいな人間だ。

 お前は知らないかもしれないが、ジークも覚えているか分からないが、シルクさんというのはそういう明るい人だったんだ。

 どんな時も笑顔を絶やさない。常に同じ気持ちで前を向いている真に強い女性。たぶん、ヒストリアやあたしよりもある意味強いのが、彼女だと思う。


 「それじゃあ、計画よ」

 「「計画?」」

 「その子はうちの子。そして、ミランダちゃんの妹にするの。そうすれば、安心でしょ。ヒストリア」

 「・・・まあ、そうですが、こいつが姉ですか・・・こいつが姉ぇ!?」


 シルクさんには笑顔で頷いていた癖に、あたしに顔を向けたらヒストリアが嫌そうな顔をした。


 「なんだよ」 

 「お前が姉は・・・向かないよな」


 ヒストリアが、ジロジロ見てきた。


 「くそ。うるせえ。やったろうじゃないのさ」

 「出来ないな。お前じゃな」

 「んだと。ぜってえ、やってやるわ! まかせてみやがれ」

 

 この時のあたしは頭に来て返事をしたが。

 今になって思い返せば、完全に乗せられていた気がした。

 ヒストリアがそういう風に仕向けていた気がするんだ。


 絶対こいつに反して、姉になってやると思ったので、肝心な事を一つ聞いた。

 どう呼べばいいか練習してやるって思ったんだ。


 「おい。あたしが姉になるにもよ。そういや、ヒストリア。そいつの名前! 決まってんのか? まだまだ生まれねえけどさ」


 あたしはお腹に指を指して聞いてみた。

 すると、ヒストリアは、優しく自分の腹を撫でて答えた。


 「シルヴィアにしようと思う。これだったら、シルクさんの子としておかしくないからな」

 「ん? 他は? おい。女の子で決まりなのかよ」

 「そうだ。女の子だ・・・・そんな気がする!」

 「おい。それなんだよ。男の子の方も考えろよ。勘で決めていいのかよ!」

 「そうだ。いい!」


 この自信。

 いったい、どこから来ているんだ?

 とあたしは思ったもんだった。


 「じゃあ、とりあえずでいいからさ。男だったらどうすんだ。本当は決めてんだろ」


 ヒストリアは、観念したような顔であたしに言って来た。


 「そっちは、ユーが決めるってさ」

 「ユーさんがか!?・・・なんて名前にするって言ってたんだ?」

 「ロイドか。リディ。マーチスにするとか言っていたぞ」

 「ロイド、リディ、マーチスか。三つもあんのかよ。どれだよ。しかも、全部ユースウッドと全然関係ねえのな。普通さ。ユー何とかにするんじゃなねえの。もしくは、何とかウッド」

 「だな」

 「ユーさんって不思議な人だよな」

 「だな」

 「常識人に見えて、結構変わってるよな」 

 「だな」


 あたしとヒストリアは、一緒にユーさんの事で悩んだ。

 大体こういう時は名前に自分の一部を預けたりすると思ったからだ。 

 ユーさんも父として公に出来ないだろうから、せめて名前に意味を込めるものだと思った。


 二人で見つめ合って悩んでいるとシルクさんが話しかけてきた。

 

 「まあ今はそれよりも。早速だけど。あなた、今日から家に来なさい。ヒストリア。私が妊娠したことにして、ちょくちょく遊びに来ているという既成事実を強引に作ります。そこからあなたのお腹が大きくなる前に、こちらに来て、あなたが私をつきっきりで見守るという動きでいきましょう。ミランダちゃんにも協力をもらってね」

 「わかりました。その前に、父にも挨拶をしてきます。父からの許諾を得てきます」

 「そうね。陛下にも許諾を得ないといけません。こうなれば陛下も巻き込むしかありませんしね」

 「はい。私がいってきます。父を説得してみます」

 「うん。頑張ってね。ヒストリア」

 「ありがとうございます。シルクさん」


 シルクさんにだけ、礼儀正しいのが余計に腹立つので、あたしは不遜な感じで言った。


 「頑張れよ~。ヒストリア~~~」

 「クソガキ! こらぁ!!」


 あたしの頭に攻撃してきそうだったから、事前に躱した。


 「ヒストリア、おやめなさいって! ミランダちゃんも挑発しないの。もうあなたたちは! 本当の姉妹みたいなのよ。すぐケンカしないの!」



 やっぱりあたしとヒストリアは喧嘩三昧だった。

 お前の本当の母はこんな感じで、自分の気持ちをあまり語らない人ではあった。

 でも意思が固くて、頑固な人でもあった。

 そんなところが、お前によく似ているな。

 あと無口気味で余計な事を言わない所が、ユーさんに似ているぞ。

 ユーさんは、静かに後ろから見守ってくれるような人でさ。

 あたしに稽古をつけてくれる時も、ぼそぼそっと指摘する感じの静かな人なんだ。

 だからヒストリアとは性格だけが正反対だな。 

 あいつはやかましい位にあたしを罵って来るからよ。

 いちいちうるせえんだよな。

 まあ、でもそれがあたしにはよかったのかもな。

 ヒストリアもあたしの性格からそんな風に接してくれていたのかもしれないわ。


 ああそうだ。それと安心しろよ。

 あたしは、ヒストリアと違って、ちゃんとお前を直接愛せたからな。

 あ、ついでにジークも愛してるからな。

 まあ、あたしはダーレー家を愛してたのさ。

 そんなだから、二人に対する愛情は、当然だわな。


 そんで、どうせ、今よ。

 あたしが死んでて悲しいとか、お前らは思ってんだろ。

 それにあたしが可哀そうだとかさ。申し訳ないとかよ。

 なんかしょうがない事で悩んでんじゃないのか。


 でもそんなにあたしを心配すんな。

 あたしはあっちで、酒盛りして楽しんで来るからよ。

 ヒストリアとユーさん、あとはエスとかと勝負してくるわ。 

 これでも、あいつらと飲み比べしたことがないから、楽しみなんだぜ。

 あの時は子供だったからさ。酒を飲めなかったんだよな。

 それにさ。

 どうせ、ザイオンとかには勝つからよ。

 あいつらとの勝負じゃ物足りねえのさ。

 でもレヴィに一回は勝っておきたかったな。

 あいつ、強いからな。酒樽で飲めるって化け物だよな。

 ああ、それだけが心残りだわ。


 だってよ。他に心残りって、あたしにはねえのよ。

 お嬢も、フュンも、しっかり育ってくれたからな。

 ゼファーもミシェルも。クリスとかもか。それにあとは・・・。

 って、よく考えたら、あたしには、弟子みたいなのがたくさんいるな。

 

 まあそんなにいたら、あたしがいなくても、他に頼れるのがたくさんいるし、きっと大丈夫なのさ。

 そういう風に、あたしは育てたつもりだしな。

 ここで、がっくりきてさ。

 いつまでも、うじうじしているような軟な連中に育てたつもりがねえのさ。

 だから、皆で頑張れよ。

 一緒にがんばりゃ何とかなるのさ!

 あたしも腐れ縁のウォーカー隊の連中がいたんだしな。

 お前らはフュンを中心に頑張れるはずさ。

 まあ、こんな事をさ。

 あらためて言わなくても、あのフュンなら、そう言うと思うわ。

 あいつの芯が一番強いからな。シルクさんみたいな人だからさ。


 んで、あたしは、そんな感じで宴会とかを楽しんでいると思うからさ。

 お前らは、しばらくこっちに来るなよ。

 フュンと楽しく過ごせよ。じゃあな~。


 それと、伝えたい事はもう伝わっていると思うし。

 最後の弟子に、あたしのやりたい事を託してるから、あいつがちゃんとやると思うのさ。

 その時はお前らが協力してやってくれな。


 それでだ、お前ら、あたしの心配はすんなよ。

 あたしもお前らを心配してねえからよ。

 そんじゃ、また会おうなのさ! 

 どうせ、お前らも死んだら会いに来てくれるんだろ。

 だったらあたしはただ先に待って、宴会しているだけだからな!

 んじゃ、バイバ~イ! 浴びるほど酒飲んで来るのさ!

 ヒャッホ~イ!


 ◇


 「か、軽い・・・・軽快すぎる・・・び、びっくりしますよ・・・先生!? こ、この手紙、本物なんでしょうか?」

 

 シルヴィアは、最後の文章を読んで、一瞬何が書いてあったのかと、目を疑った。

 声に出して読んだ文章が、間違っているのかもしれないと思いながら何度も目を擦る。

 でも、何度も同じように読んでも、文章はこれで合っていた。

 それに話し方がミランダそのものだった。


 「それにこれは? 日記???」

 「そうだな。ミラらしさがあるな。人となりを伝えようとしているんだな。シルヴィの母、ヒストリアのな・・・それより、俺はついでなのかよ。酷くないか。もう少し良い様に言ってくれよな。最期の言葉だろ。これ!」


 ジークが言うと、サブロウが頷く。


 「そうぞな。あいつが直接感謝とかいうのは無理ぞな。回りくどいに決まってるぞ。それに無理だろぞ。ジークぞ。お前とミラは、喧嘩しているのが一番ぞ」

 「ああ。そうだったな。ミラと俺はそれくらいがちょうどいい」


 二人は頷いた。


 「そうですね。先生。私は、この手紙とあなたの思いを大切にして生きますね。先生、ありがとうございます・・・ん? あれ??」

 「どうした。シルヴィ?」

 「これは、この箱の奥にもう一つ手紙があります」

 「父上からか」

 「はい」


 手紙はもうひとつあった。


 『シルヴィアよ。秘密を知ったとして、どれを選択してもよい』

 

 「「「どれを選択しても・・・」」」


 三人で顔を見合わせた。


 「「「????」」」


 一緒に無言で困惑する。


 『ウインドを復活させるのか。それとも、ダーレーからのヴィセニアとしてそのまま生きるのか。なんでもよいぞ。それにこの帝国についても深く考えずとも良い。彼の起こすことに付随して、シルヴィア。お前が行動を起こしても良いのだ。そして、その中身は自分で決めてもいいのだぞ。シルヴィアよ。今、そなたが皇帝なのだ。余は、お前の選択を全面的に支援する。あの世でな・・・』


 「これはどういう意味だ」

 

 ジークが首を傾げた。


 「これはまさか・・・あの時の言葉の意味・・・それは・・・そういうことですか。父上」


 シルヴィアは、ここでエイナルフの最期の言葉の意味を理解したのだ。

 そして、決断した。


 「兄様。サブロウ。私はこれからですね。とある事をしようと思います。どうでしょうか」

 「何をする気だ?」

 「お嬢、何するぞ?」

 「それは・・・」


 シルヴィアが説明すると二人とも驚くが、対照的な事を言う。


 「お嬢。本当にやる気なのかぞ」


 サブロウは賛成だが、やや否定的よりで。


 「ええ。駄目ですか?」

 「駄目ではないぞな。おいらはむしろ賛成だが・・・でも、ヴィセニアとしてはいいのかぞ?」

 「はい。私はそれが一番良いと! この大陸にとっても良い事だと思うんですが。どうでしょうか。兄様」

 「俺は全面的に賛成だな。実はそれが一番丸く収まる気がするんだよな。色んなことが上手くいく気がするんだ」


 ジークは大賛成だった。


 「色んなことですか?」

 「ああ。その場合さ。王国と帝国の融合が、より完璧になりそう気がするんだよな。それにその方が、ウィルベル兄上や、ヌロ兄上。バルナとかも堂々と生きられる気がする。これは彼の考えに合致すると思う」

 「なるほど、その説得が良さそうですね」


 ジークの意見にシルヴィアは深く頷いた。


 「だろ。やってみるか。悪だくみ」

 「ええ。兄様、サブロウ。一緒にやりましょう。フュン以外で緊急招集をしましょう」

 「ああ。まかせろ。俺の裏ルートで、そうだな。リリーガの酒場に集結させる。サブロウ。影を内密に頼む。主要人物以外誰にも知られるな」

 「おうぞ。まかせろぞ。フュンの度肝を抜いてやるぞ!! 楽しくなってきたぞ」


 銀髪の兄妹は、兄妹としての血が繋がっていなくても、協力関係に変わりがなかった。

 シルヴィア史上最大の悪だくみが、アーリア大陸を変貌させるきっかけとなる。


 

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