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第二話 変革と適応

同日に第一話を投稿しています。


見なくても平気ではありますが、玲音と澪がどのようにして出会ったのか気になる方は、是非ご覧ください

「玲音、澪ちゃん来たわよ!朝の鍛錬の時間よ!」


高校一年。高校に入学してからもう半年。

俺と澪が付き合い初めて半年。


「わかってるよ!今行く!」


運動のしやすい服に着替え、軽くストレッチしながら時間を潰していた。

ちょうど一連のストレッチが終わったタイミングで、澪が家に来たようだ。


まぁ、澪もさっきまでストレッチしていたのを通話していたので知っているし、ココ最近はずっと同じことをしているので、いつも通りだ。


「アーノルドさん今日もお願いします」

「父さんよろしく」

「おう!」


父さんの職業は退魔師。悪魔、悪霊、妖怪といった魑魅魍魎を祓うのが仕事だ。

魔物と総称し、存在を信じられていない吸血鬼や鬼といった生物も対象となる。


父は退魔師で母は吸血鬼。昔、仕事で出会い、紆余曲折あって結婚。その秘密を知る人達と会社を設立した。


結婚後も多くの厄介事に巻き込まれ、俺を安全に育てる為、九條の家に俺を預けて世界を転々としていた。


俺が小学校を卒業する時に、全ての厄介事を片付け帰国。

九條の家に俺を迎えに来て、九條の家に仕えていた時の事情から、今の住まいに引っ越し。


ここに来てから、毎日父に稽古を付けてもらっていたのだが、ある一件以降、澪も参加するようになった。


そのおかげで、澪の男性恐怖症も克服することが出来た。


「今日はそうだな…これ使うか」


物置から取り出され、投げ渡されたのは


「刀?」

「そうだ」

「私もですか?」

「あぁ。別に扱えなくとも構わない。刀がどういう使い方をするのか、どういう力の掛け方か、間合いの見極め方なんかを知っておくだけで便利だぞ」

「それを知っていても、使う機会なんてまずねぇよ」

「でも、玲音はそういう機会あったんでしょ?」

「いや、それは昔の話だ」


九條の家に仕えていた時、俺は九條の跡取り娘の九條颯の専属執事兼護衛をしていた。

まぁ、その時の経験もあってか、父さんの稽古に着いていけている。


「玲音は刀をよく使っていたんだろう?」

「まぁ。でも、現代兵器相手にするには心もとなかったから、銃も使ってたぞ?」

「ほー。何使ってたんだ?」

「デザートイーグル二丁だな」

「……おまえすげぇな」

「ねぇ、玲音?玲音って人間?」

「失礼な。ハーフであることに間違いはないが、人間だ。半分な」


玲音の昔、両親と離れていた時期の話は、時折話題になるが、こういった物騒な話はあんまり上がらない。なにせ、食事の時間には合わないからだ。

他の理由もあるが、食事中にするような話では無いので、基本は別の話になる。


朝の稽古で話すこともできるが、稽古内容の話で終わるので、こういった話はするのは意外と初めてだ。


「さて、稽古を始めよう。刀ってのは、剣と違って、引くことで斬る武器だ」


ゆっくりと父さんが見本を見せる。俺はよく使っていたので、分かるが確認の為にゆっくりと振る。


澪も、しっかり覚えようとしている。


「刀の扱いが難しい理由は、引いて斬る、これに尽きる」


普通の剣であれば、多少乱暴に扱っても一撃で壊れることは基本ない。乱暴に扱い過ぎれば、すぐ壊れるが


剣は、引いて斬るではなく、叩き斬るだろうか。


刀に比べれば、格段に扱いやすく、 簡単ではある。


「まぁ、玲音は刀にしても、澪ちゃんは小太刀の方がいいかな。弓が得意ってことを合わせるなら、サブウェポンは短剣か小太刀になるかな」


この父は、何故そうも実践的に考えるのか。


いや、まぁ有事に備えるなら、それでいいのか。


「刀の間合いってのは、大体腕を伸ばしきった時プラス刀の長さだ。気をつけなきゃいけないのは、刀の間合いとキルゾーンの違いだ」

「間合いとキルゾーン?同じじゃないんですか?」

「玲音、刀を構えろ」


父さんの言いたいことがわかった。とりあえず、澪に教えるために大人しく従う。


「玲音の間合いは半径二メートルくらいか?」


持ち手や振り方を考慮するなら、1.6くらいが俺の間合いだ。

そして、父さんの位置は既に俺のキルゾーン。


「俺のやり方だが、まず、間合いとは刀を振るった時に命中する範囲だ。そして、キルゾーンとは」

「武器を持ち、移動を考慮した際に、相手を殺すことの出来る範囲だろ?」


父さんの言葉を先取りする。似たようなことを、九條の屋敷で教わった。


「相手の得物にもよるが、キルゾーンは武器の間合いの3倍だと思っておけ。そう教わった」

「なるほど。間違いじゃない」

「それは、踏み込みや投擲を考慮して?」

「それもある。もう一つ警戒したいのが、持ち手だ。玲音、お前どの程度の握りで振るえる?」


父さんが言いたいのは……


「柄頭から4センチ。これくらいがまともに振るえる限界」


大体指二三本。速度も威力も格段に落ちる。使い道は、間合いを誤認させたり、スキを作るためだったり


「刀はそこまで大きな変化にならないが、大刀や偃月刀、槍なんかは注意が必要になる」


柄が長いと、持ち手を自由に入れ替えることが出来る。まぁ、それができるのは余程の手練なのだが。

持ち手を自由に入れ替えることが出来ると、間合いを変化させて、敵を翻弄することができる。


そうして、ちょっとした注意をしながら、朝の稽古を始める。



「父さん?」


模擬戦形式で澪と稽古していたから、気付くのが遅れた。

父さんが空を見上げている。それも、目付きが険しい。

母さんもベランダに出てきてる。


「侵攻が始まるのか」

「え?」


父さんが何か呟いた。それを聞こうとする前に、視界が白く染った。

しかし、すぐに視界は戻る


「神託はなされた。この星の住人達よ、抗い、生き抜きなさい。この星を守り抜くのです」


耳じゃない。この音、いや声か。それは直接脳内に響いている。


「神託…神からのお告げ?てか、どういうことだ?」

「玲音、澪ちゃん、ステータスって言ってみて」

「え?なんで?」

「いいから」


母さんに強く迫られて、仕方なく呟いてみる。


「ステータス」


玲音・B・ヴァンデルLv1 種族 人族 年齢16歳


体力3000

攻撃力5000

防御力500

瞬発力800

判断力500

幸運100


神器 二刀一対霧雨()



なんだこれ。いきなり空間に表示された、ゲームみたいな表記。


横の澪も同じものが見えたのだろう。驚いて固まっている。


「守護者達どうか」


直接響いていた声が消えた。


というか、全く意味が分からない。新手のイタズラか?

近所の人も、直接響いた声に驚いてはいたが、よくわかってないようだ。

それは、世界共通だった。



空が、大地が、海が、山が、ビルが割れた。

そして、その割れ目から魔獣がこの星に現れた。


最初は誰も動けなかった。それも仕方の無い事だろう。何が起こったのか、理解しきれていないのだから。


呆然と立ち尽くす人間を視界に捉えた魔獣は、次の瞬間には人間を喰らっていた。


血が飛び散り、周囲の人に血が付く。そこで、やっと理解出来たのだろう。いや、理解出来てはいなかったのかも知れない。本能が命の危機を察し、体を動かしたのかもしれない。だとしても、人々は一目散に逃げ出した。しかし、魔獣は1体では無い。複数体現れたのだ。


蜥蜴の様に四本足で歩行するタイプ、蛇の様に地を這うタイプ、ティラノサウルスの様に二本足歩行するタイプ、海ではサメをそのまま巨大化させたタイプ、空には翼を以て羽ばたくタイプの魔獣が、世界各地に出現。国を破壊し、人々を喰らい始めた。


各国はこの事態に、自国の防衛戦力を即時投入。魔獣の排除に動き出した。


しかし、現代兵器の殆どは、魔獣を倒すどころか、ダメージを与えることすら不可能だった。

防衛戦力は壊滅。結果、数日のうちに、世界に魔獣が蔓延る事となった。このままこの星が滅びると思われ始めた中、日本で状況が変わった。


元から、そういった文化が発展していたからなのかは不明だが、魔獣を討伐したのだ。

『神託』の言葉を聞いて、色々考えた者が発見した、自身への変化。


それは、玲音が見たのと同じくステータスだ


名前 ???? Lv1

体力2000

攻撃力1000

防御力1000

瞬発力200

判断力100

幸運100


これが一般人に発現した平均的なステータス。

これが、ネットで共有されたことによって日本では、アニメや漫画の知識を活かして活動が始まった。

情報を共有していくうちに明らかになった事だが、ステータスはその人の職によって変わってくる。

例えば、力士やボクサー、プロレスラー等、力のぶつかり合いをする人達は、攻撃力が高かったり、防御力、体力が高かい。

自衛隊(陸海空)に所属する人は、判断力、瞬発力、攻撃力、防御力が高い。

消防隊や警察、政治家なんかは、瞬発力、判断力、体力が高い。

その他にも、職業によってステータスには様々な違いが発見された。


この情報は、素早く世界に向けて発信された。

おかげで、国が滅びるようなことは無かった。



玲音もまた、よく分からないながらも、近くにいた魔獣を倒している。


アーノルドとエレナは、何かを知っていそうな雰囲気を漂わせていたが、彼等から何か教わることは無かった。


ただ、そうなることがわかっていたかのように、アーノルドの会社の退魔師は、魔獣討伐に動き出した。



そして、世界が変化してから四ヶ月が経った頃、日本に大きな変化が訪れた。


1つ、ギルドが設立され、複数のギルドが誕生したこと。

2つ、ランキングシステムの導入。独自の監視システムと索敵AIによって、討伐者とその数等を月1で表示するシステム。

3つ、対魔獣兵器の開発。現代兵器は通用しなかったが、過去、数世代前の兵器なら通用することが分かった。つまり、第一次世界大戦、第二次世界大戦に活躍した兵器がもう一度猛威を奮う時代になったということ。

4つ、Lv上限の発見と突破方法。 初期Lvの上限が40ということ、更にそれを上げるために、魔獣を20体討伐することが条件。

5つ、学生達を対象とした育成機関が国と各ギルド合同の元進められ、いくつかの守護者育成学校が設立された。



当然の事ながら、玲音と澪もその学校に編入することになった。

仲の良かったクラスメイトや同級生達も同じだった。


恐怖心がある子ももちろん居た。力を手に入れたけど、怖さのあまり、戦いから逃げていた子。

しかし、神器の発現によって、まるでゲームのジョブ。アタッカー、タンク、シーフ、ヒーラー等といった区分けを行い、直接戦闘に参加しなくても貢献出来るシステムを導入した。


その教育機関の講師は、最前線で戦っていた自衛隊や武術家の幾人かが日替わりで担当。

通常の教職員も、今まで通りの授業を行う。


戦闘訓練という科目ができたとはいえ、それ以外は特に代わり映えのしない生活が続き、高校2年に進級。


世界が変わり、人々が順応し始めてから三ヶ月。



父さんが、見知らぬ女の子を二人連れてきた

ここで補足です。

刀の間合いとキルゾーンについて本編で話していましたが、投稿主は武術未経験です。

アーノルドの説明にありましたが、私なりの解釈です。

読者の皆様にも分かりやすく、すんなり受け入れて貰えるよう考えたつもりです。


まぁ、難しく考えなくて大丈夫です。



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