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第十六話 王手と王手

「本当に戻ってきたのか」

「みたいですね」

「こればっかりは体験してみないと凄さわかんないよなぁ」


ウルス、クレハ、玲音は鏡から現れ、周囲を見渡す。


「まぁとりあえず、ホームに戻るか」


歩き出した玲音に向けて、クレハが思い出したように声をかける。


「そういえば玲音様、先程連絡して稼働させた艦はどうしました?」

「あ」

「そういえばそうだな。富士に送ってくれって頼んでた」

「やっべ」


ウルス達と出会ってから初めての本格的な焦りを見せる玲音は、次の瞬間には消えていた。


「1人だと本当に事前動作とか予兆無しで消えるのか」

「味方である限り頼もしいですね」


2人は玲音を見送った?後、そう話しながら一足先に戻って行く。



「そういうわけでどうだろうか?」

「合意が取れたらな。それまでは俺が預かっておく。シャウバ」

「隠蔽ですね。もう既に施してあります」

「そうか助かる。つーわけだ安心しな」

「本当にありがとう。クシ…シャウバ」


お礼を言った玲音は、来た時と同じように突然消えてしまった。


「あれを戦闘中にやられたんだぞ?心臓に悪いとかそんな生温いもんじゃねぇよ」

「えぇ、貴方の言っていたことがよくわかりました。あれは普通に恐怖です」



「あ、帰ってきた」

「意外と早かったな」

「移動だけなら一瞬ですからね」


ホームの扉を開けると、そこには出発前と同じ面々が揃っていた。


「すまん。遅くなった。それと、防衛ご苦労様。何事も無く安心した」


その言葉に、リオン含む眷属達は頭を少し下げて部屋から出ていく。彼等は主を出迎えに来ただけで、まだやるべきことがあるのだ。


「何も言ってないのに仕事を継続してるのか。優秀で助かるね」


それから深呼吸1回。真剣な表情へと切り替える。


「それじゃあ、会議を始めようか」


そこから玲音は、鏡と剣の捜索での出来事を共有していく。所々、気になる点はあったが誰も遮ることはなく、話は終わる。


「我慢してたみたいだし、聞きたいことがあるなら聞いてくれ。ただし、俺と神器に関することは俺にはわからん」

「それが1番の謎では?」

「お兄、分からないってどうして?」

「澪と颯に神楽姉さんと舞は知ってるだろ?俺が魔獣討伐に行ってから目覚めるまでの事」

「1ヶ月近く眠っていましたね」

「それからだな。玲音が急に強くなったのも」

「種族だったり色んなものが変化したのも」


舞の質問に対する玲音の答えに、思い出すように呟いていく神楽と澪。


「そうだ。多分だが、俺が力を手に入れたのは死にかける直前だ。覚えてるのは、魔獣の一体が俺を喰おうと目前まで迫ってきたこと。その後の謎の声、それに対する俺の答えくらいなもんだ」


玲音としても、力の根源を知りたいとは思っているが、今は探ることが出来ないことをわかっている。


「でもお兄。神器って確か元から『霧雨』だよね?」

「そうだ。神器の方は、元から一緒で変わってないぞ」

「確か、それも神の力がどうって天照様が言ってなかった?」

「そんなこと言ってたのか?俺は初耳だぞ」

「あぁそれな」

「玲音様が戦っている間に、私とウルスが幾つか天照様から聞いたのです」

「で、それを共有したと。なるほどね。それにしても神の力ねぇ」


神器を顕現させ、まじまじと見つめる。


「そういうのはよく分からないが、その辺の説明は近いうちに受けるだろ」

「その根拠は?」

「天照曰く、八尺瓊勾玉を手に入れた時、我等の主神からお話があるそうだ」

「そこで玲音についての説明もあると?」

「俺はそう思ってるけどな。何せ、神器も俺自身も神が関係してるらしいから 」


それに納得したのか、尚也が話題を変える。


「それは置いとくとして、玲音。珠の捜索はどうする?時間に余裕が出来たんだ、計画の変更をするんだろう?」

「それに関してはもう決めてある」


そのタイミングで、リオンが部屋に入ってくる。


「玲音様、用意が出来ました」

「丁度いいな。1つ持ってきてくれ」

「すぐに」


短いやり取りを交わし、リオンはお辞儀をしながら下がっていく。


「何をするつもりなの?」

「やろうとしてることは単純だ。今から俺一人で珠を探しに行く。その間に、皆には日本国の政府と接触、交渉。それと都市部のある場所の占領をお願いする。その為の道具をこれから渡す」


またタイミングよくリオンが入室する。


「玲音様、こちらを」


そうして渡されたのは


「玲音、それは狙撃銃か?」

「見るからに対物だけど?」

「その通り。これは対魔獣用に開発した対魔ライフルBD-42、通称セリス。マガジン内に魔力を溜めることによって、マガジン交換無しで最大30発撃てる。さらに、反動と重量は反魔法で相殺してるから、ほぼ無いに等しい。これを2人1組に渡す」

「スポッターとシューター?ってことか」

「そんな感じ。1人は周囲の警戒、もう1人は狙撃。一応、付与として消音と隠蔽をしてるけど、試作段階だし、まだ未完成すぎるんだよ。だから何かあった時のための2人1組」

「組み合わせはどうするんですか?」

「国の防衛をルビア、颯、舞にして、狙撃組は澪と神楽、尚也とウルス、クレハとアリアにするか」

「なるほど。組み合わせはわかりやすいですね」

「玲音様、練習する時間と設備は?」

「リオンに案内させる。狙撃手の3人は移動してくれ。必要な話は相方にしとく」

「了解しました」

「では此方へ」


リオンに先導され、澪と尚也、クレハが部屋から出ていく。


「残りのメンバーだが、分かりやすいことしかないな。ルビアと舞、颯は変わらず防衛。何かあれば国ごと移動してくれ。神楽、ウルス、アリアは相方のサポートな。主に周囲の索敵、邪魔者の排除、逃走の際のカバーだな。まぁその辺も最小限で大丈夫だとは思うがな」


何せ全員が称号持ち。戦闘のベテランである。

澪に関しては、1人での索敵範囲が5キロもある。

尚也は、獣人の利点を最大限に活かして、奇襲を完全に防ぐことが出来る。

クレハは、奇襲されてもそこからの立て直しが1番早い。と長所をあげたが、短所も存在する。

澪なら、索敵はできても近付かれると対処が難しいこと。

尚也は索敵の範囲が狭いため、狙撃に集中した場合、周りが見えなくなる。

クレハも、立て直しは早くとも、数で押されると立て直せない可能性も出てくる。

それらを補うために、澪には戦闘能力の高い神楽を。尚也には、種族を活かし澪と尚也に次ぐ索敵範囲持ちのウルス。クレハには、敵を足止めもしくは排除する為の罠を設置するアリアを付ける。


「そういうわけだから頼むぞ」

「それはわかりましたが、玲音はどうするので?」

「そもそも、なんで狙撃班なんか作ったんだ?」

「簡単に言えば、俺は単独行動。全員同じ作戦を進めるが、アプローチの仕方が違うだけだ」


この後政府と接触し、ほぼ脅迫じみた協力を申し出る。そこに、相手の主張を挟むことはない。こちらの意見を押し通すだけ。その後にどれだけ邪魔しようが関係はなく、邪魔をするなら潰すだけ。一時休戦するなら、東京奪還を手伝うだけ。

その間に玲音は神器の捜索。回収を行う。回収が終わるまでの間は、位置を移動しながら狙撃班が政府に協力する。

面倒だから政府側をレイドパーティーとでも呼ぶか?いやどちらかというとゲリラ?いやレイドの方が良いか。

レイドに協力しつつ、戦力の確認。多分というかほぼ絶対に、奪還後はこっちを襲いに来る。だから、狙撃班は移動しながら攻撃と戦力把握。

これは多分、澪とアリアが正確に把握して共有するだろう。


「それじゃ、この後の動きを伝える。アリアは国の周辺の罠を増やして、ルビアと舞の手助けを今のうちに。尚也と舞は俺と来てくれ。颯とルビアは能力の確認とか指揮系統の確認を頼む。質問は」

「玲音様、防衛の際に戦闘機はどうしましょう?」

「使ってくれて構わない。その判断はルビアに任せる。あれの確認をする場合はリオンに同伴してもらえ」

「了解しました」

「…よし。他には無いみたいだから行動に移す。尚也と舞はついてきてくれ」


玲音は尚也と舞を連れ、部屋を退出。アリアはルビアと周辺地形の確認と罠の設置。颯は能力の確認のため訓練場へ。


「お兄、また龍で行くの?」

「いや、今回は別だ。尚也、今の政府がどこにあるかわかるか?」

「今の政府?確か大阪に移動したって聞いたけど?」

「まぁ間違ってはないが、正解でもない」

「どういうこと?」

「東京が襲われた時、政府の人間もそこにいた。なら襲われてるはずだろ?だが、奴らは生き延びた。あの惨状の中をな」

「彼らが魔族に通じてたとでも?」

「そんな話じゃない。簡単な話、東京の地下には政府御用達の地下シェルターと移動口が存在する」

「そんなまさか」

「それがある。地下鉄は市民の移動手段とされているが、本来の目的は要人を安全に移動させるための経路を隠すため、進行方向を見失わない為だ」

「まさか今の政府の場所って」

「東京地下シェルター?」


東京に巡らされた地下鉄。それは移動手段であり道標。そして、地下シェルターを覆う結界の1つ。


「でも、お兄はどこでその情報を?」

「早い話、九條家だな」

「颯の実家?」

「あいつの家もそれなりだからな。その辺に一枚かんでる」


九條颯の祖父であり九條家当主、九條龍千。

1代にして、九條家を大企業へ成長させ、今や日本の業界6割を占める九條グループのトップ。

今の政府のトップは、九條家と繋がりの深い久遠家当主、久遠嶺二。その他、国の重要ポストには九條家に近しい者が席に着いている。


「ある程度の位置も聞いてるから、後は」


瞳を閉じ、場所をイメージする。これでイメージ出来なければ、鏡は反応しない。


「渡り鏡」


イメージが繋がり、玲音の脳裏に景色が浮かぶ。そして、それを目指すように鏡を開く。


「行くぞ」


開かれた鏡を、神器を手に潜っていく。

尚也と舞は初めての経験に、胸を踊らせ、少しだけ不安に思いながらも後を追う。


「おぅ、まじか」

「これは流石に」

「アニメで見た事ある」


玲音達3人は現在落下中。鏡を出た先で、投げ出されたのだ。眼下に広がる地下都市を見下ろしながら。


「お兄、これどう見ても」

「エヴ〇だろう」

「ネル〇だね」


地下都市で1番に思い浮かべるのはやはりあれだろう。もしくは、ちょっと違うけどアキバ48のアニメ版のあれ。この場にいる3人は前者を思い浮かべたよう。


「あれもしかして人工太陽?というかあの並びもしかして月も?」

「え?水が流れてる?しかも滝?あ、野菜も育ててる」

「この国の上層部は地下で暮らすつもりか?ん?」


宜しくないモノを見つけた。


「おいマジで?いや、それはあかんやろ?魔獣用だとしてもそうでなくとも、それを実現させるなよ」

「お兄?一体何を…え、あれまじなのです?」

「そこまで真似たの?」


視線の先にあるのは、剥き出しにされ、現在進行形で組み立てられているエヴ〇。


「破壊した方が良さそうか?」

「その方がいいと思います!」

「色々と怖いから壊そうか」


全会一致。破壊決定。


「ここに乗り込んで来たことを知らせる為、派手にいこうか!」


天叢雲を構える玲音、シェルドとシェリアを翳す舞、白虎の耳と尾を宿し拳を構える尚也。

その力を感知したのか、警備兵や警備ロボなんかが現れる。


「歓迎どうも!でも遅い!」


溜める必要もないので、3人はとっとと力を解放する。


「白虎抜拳狼虎雷激」

「貫くモノに紅き祝福を!スカーレット・フルマニア!」


尚也から放たれた白き獣が、舞の展開した結界を突き破り、紅と白の混ざった色へと変化し、周囲にあるものを引き寄せる。超高温と超電流による、特殊な重力場を生み出す。


「さぁお披露目だ。天叢雲剣!」


その手に持つ『天叢雲剣』が光を放ち、注目の的になる。


「神器換装!都牟刈太刀!」


光が収まり、その姿を直剣のような形から、刀へと変えていく。


「その刀身に事象を宿せ!都牟刈災収」


その刀身を持って、紅白の獣を斬り裂くと、刀身に吸い込まれるように力が凝縮される。


「今放たれるは絶死の一刀」

「切り裂くは我等に害するもの」

「我は此処に王として、守護者としての力を見せる!」

「雷帝抜刀!都牟刈・カザミノタチ!」


前回の時と違い、玲音に当たり直角に折れた雷は、獣の姿を摸し標的へと喰らいつく。


ゴアァァァァァァ!!


咆哮。雷鳴を響かせ、エヴ〇の左腕を噛みちぎる。そして勢いのまま、右腕、頭、胴体と噛みちぎる。咆哮、そして、トドメと言わんばかりに特大の落雷を残った下半身にぶちかまし、消滅した。


「初号機ィ!!!!!!」


初号機だったらしいモノを破壊し、3人は歩みを進める。何処に行けばいいか分からないが、とりあえず進む。


「おい、お偉いさん連れてくるか、居る所まで案内しろ」


面倒になり、近くにいたのを捕まえ、刀を首に当てながら脅迫する。


「あ、案内します!その前に1人知らせに出させてください!」

「そこのお前!そうだお前だよ。斧背負ったお前行け」


2番目に近くにいたのに、殺気を向けながら先行させる。そいつが向かったのを見送り、玲音達も進む。


「お兄、もしかしなくても場所わかってるよね?」

「玲音の感知範囲ならわかるよね?」

「正確な位置は分からない。目星は付けてたが、誰かに案内させた方が早いだろ?罠に誘導される可能性もあるけど、自分の命を無駄にはしないだろ」


玲音が常に神器を抜き身で持っている為、少しでも怪しい行動をすると制されるのだ。しかも今の発言で、罠があるなら分かるし、目的地もある程度わかると言っていた。つまり、目的地から離れたり、罠がある部屋に誘い込む前に玲音に殺される可能性があるのだ。


「最悪の場合は、破壊しながら虱潰しに探すだけだし」


この一言がトドメだろう。案内係は大人しく進む。彼だって人なのだ。自分の命が何よりも大事だろう。



「ここです」


扉を開ければそこには、


「歓迎はしないがようこそ。玲音君」

「この都市の最高責任者で、現日本国のトップ陸堂界人だ」(りくどうかいと)

「私は久遠嶺二」(くどうれいじ)

「自己紹介はいらないと思うけど、九條龍千」(くじょうりゅうせん)

「陸堂家に久遠家、九條家もですか。凄いですねここは。あ、龍千さんはお久しぶりです。以前はお世話になりました」

「お兄、自己紹介」

「そうだった。知ってると思いますが、玲音・B・ヴァンデル。吸血鬼です」

「舞・ヴァンデル」

「江井尚也、獣人です。皆さん覚えてないようですが、拳聖浩史の弟子です」


自己紹介が終わると、歓迎しないと言っていたのに、何故か他愛ない世間話が始まった。腹探りの意味もあるだろうが、小さい頃の思い出話がしたかっただけだろう。皆、わかっている。この話が終わる時、もう二度とこうして話すことは出来ない。次会えば敵同士、殺し合いになる。


「有意義な時間だった。ありがとう玲音君」

「君たちがどんな人柄なのか知れて良かった」

「いえ、こちらも懐かしい話が出来ましたし、皆さんのことを知る機会になりました」

「では、ここからは」

「はい。本題に入りましょう」


微笑みを消し、その顔に浮かぶのは真剣なもの。その身からは殺気ともとれる、濃密で鋭い気が溢れる。


「東京奪還に俺達も協力しよう。協力はするが、そっちの指示は受けないし、手助けをするわけじゃない。俺達は俺達で行動する。邪魔をしようがしまいが構わない。それはそれで潰すだけ」

「なるほど。こちらの指示系統に入りはしないが、頭数には入れていい。それを邪魔するなら魔獣と同じく殺すと?」

「そうだ」

「なるほど。ありがたい申し出だ」

「玲音君、東京奪還が成功すれば協力関係は終わる。もし、失敗した場合は?」

「成功するまでは協力してやる」

「陸堂、それでいいのでは?」

「私も九條に賛成だ。こちらの指示がなくとも、魔獣を倒してくれるなら、こちらの被害も減り、奪還しやすくなる」

「それはそうなんだが」

「懸念は、俺達がそっちの戦力を殺さないか、ってとこか?」

「うむ」

「まぁそれは気掛かりだな。約束しよう。こちらからは手を出さないと」

「わかった。作戦協力に感謝する。決行日時は明日に変更しよう」

「では、今すぐ招集しましょう」

「俺達は戻るぞ。用は済んだからな」

「ではまた明日」

「渡り鏡」


来た時同様、玲音は『八咫鏡』の力で帰っていく。舞と尚也も玲音に続いて帰っていく。


「天叢雲剣ですか」

「三種の神器のひとつ。となると彼等が協力するのは、八尺瓊勾玉が目的ですかね?」

「その可能性が高いだろうな。まぁでも、彼等には勝てないだろう」


東京奪還作戦を決行するに当たって、日本政府は国外への協力要請を出している。理由は単純、戦力が足りないから。参加する国への報酬は、玲音達の所有する神器と領地、討伐の名誉だ。つまり、東京奪還作戦に協力を申し出てくれたのは好都合。殺しに行く手間がかからないから。


「来るのは確か、騎士王と円卓、軍師、英雄、あと来るのは魔獣討伐の世界記録保持者」

「中々の顔ぶれですね」

「先行して退魔師ベルラードと暗殺者ジャックも来ている。その2人は別の任務に当たってもらっていたが、無事成功したようだ」


玲音達が王手のように、日本も玲音達に対して王手をかけた。どちらとも、そんなことは知らずに。



「尚也、舞、俺は一足先に東京に向かう。作戦方針は変わらないが、話していた以上に早く動くだろうから、全員がしっかり対応できるように通達してくれ」


国に戻るなり、玲音はそれだけ伝え東京へと戻っていく。


「お兄、少し焦ってるかも」

「そう?僕はそんな感じしなかったけど」

「かもしれない。その程度。間違ってるかもだからいい」


玲音は焦ってはいない。焦ってはいないが、怯えてはいる。玲音の広すぎる探知範囲が捉えた、莫大な魔力。それを保有する複数の存在。玲音は知らないが、それは騎士王、軍師、英雄、記録保持者の4人。


玲音が転移した先は、かつて天皇が暮らしていたとされる皇居。現在は魔獣によって破壊され、象徴としての威厳すら失われていた。しかし、ある一角だけは無傷で残っていた。


「探す手間が省けて助かるな」


少しだけ歩く速度を上げて、玲音は無事な一角目指し進んでいく。

そうすれば、『霧雨』『天叢雲』『八咫鏡』が強く光を放つ。光が収まると、目の前には探していた最後の神器『八尺瓊勾玉』と


「ようこそ神の居住へ」


見た目13歳位の少女が。


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