1/7
1
俺の背の高さを羨むやつは多い。
でもそれは、俺にとって幼い頃からのコンプレックスで。
羨望と同時に向けられる、妬みや異形を見る目は、今でもたまに夢に見る。
あれから何年も経つというのに、だ。
それは、当時の俺の傷の深さを物語っているようで、無意識に隠してきた傷口を、今になって直視させられている。
そんな気分だ。
そんな経験も手伝って、今の人嫌いの俺が形成されたことは間違いない。
そんな俺が高校まで進んだのは、ずっと続けてきた陸上をする為。
時に励みに、時に逃げ場となって俺を支えてくれたもの。
それが俺にとっての「陸上競技」という存在だったから。
でも、卒業生となった今年、陸上がもたらしたのは新しい出会いだった。
それが、俺の望む望まざるに関わらず。
───風に流れた彼女の髪が