モーニングコール
私は毎朝、5時30分の目覚まし音と共に目を覚まします。
最初は大変だったけれど、慣れればどうってことはないよ。
だって私には、ちゃんとした目的があるんだもの。
4月からお互いに、無事に社会人になったから。
朝に弱い彼を起こすのが、私の日課になりました。
カーテンを思いっきり開けると、今日もとってもいい天気。
歯磨きをして、顔を洗ってすっきりしたら。
大好きなカモミールティーで喉を潤して、少しまったりした気分を味わいます。
しばし、時計の針とにらめっこをしたら。
やってきました、5時55分。
スマホのボタンを押せば。
“プルルル・・・・・。”
“ガチャ! ”
今日も3コール以内に出てくれたので、内心ホッとしています。
これでも毎朝。
“起きてくれるよね? ”
ってドキドキなんだから。
『おはよう~。』
覚醒してすぐの、気だるげな少しかすれた声。
私だけが知っている、いつもよりも少し低い声。
私だけの、特別な声。
「おはよう~。今日もいい天気だよ。」
『うん・・・・・・そうなの?』
まだ少し寝ぼけている・・・・・・・よね? 可愛いから許すけど。
声もまだ本調子じゃないから、まだまだ私だけの声の時間。
「そうなの。お互いいいことがある予感する。だから起きて!」
『予感じゃなくて、もういいことがあったよ。』
「え? そうなの? 」
『うん。今朝も一番最初に、沙雪の声が聞けた。』
「私も! 私もね、一番最初に雅之の声が聞けて、幸せだよ。」
おかげさまで毎朝、私だけが聞けるレアな声が堪能できるんだもの。
『うん。俺も朝からめっちゃ幸せ。』
う~ん、ここからはもう、いつもの声かな?
「それでは、もうお目覚めになったと、認識してよろしいでしょうか? 」
『うん。沙雪の声で、朝から元気をたくさん貰ったから。』
私も。
朝から、めちゃくちゃ元気になったよ。
「朝ごはんは、ちゃんと食べてね?」
学生時代は、よくギリギリまで寝てたものね?
『うん。昨日仕事帰りに、コンビニに寄ったから大丈夫。でも、本当は沙雪の作ったお味噌汁が飲みたい。』
「私も早く、雅之の大好きな厚焼き玉子を出してあげたいな。」
『うん。甘めでお願いね?』
「雅之の大好きな、ふわっふわの甘々にするね。」
『ふわっふわの、甘々・・・・・・コンビニのじゃ物足りないんだよなあ~。』
「今週末こそは、いい部屋が見つかるといいね。」
『うん。一日も早く、沙雪の作るご飯を毎日食べたいからね。今日も、バリバリ働いてくるよ。』
「うん、毎日お疲れ様。今日も頑張って!」
『うん!沙雪のために、今日も頑張るよ。』
「もう時間だ。じゃあ、気を付けていってらっしゃい。」
『うん。沙雪も毎朝ありがとう。いってらっしゃい。』
神様。
今週末こそは、二人で一緒に住める素敵なお部屋が、見つかりますように。
少女漫画を読んでいたら、急にかわいいお話が書きたくなりまして。
キュン! てなるお話が大好きで、自分でも書きたいのですが、現実は私に厳しくて。
もしよろしかったら、感想をもらえると嬉しいです。