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巡り求めて  作者: みおま ウス
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76 探索の旅(王国編-42)

 聡慈たちは脱出路を探す間に多くの危険な生き物に襲われた。

 吸血蝙蝠、巨大ヒル、岩に擬態したアルマジロのような動物。

 魔力の満ちたこの地下の特殊な環境に適応したのか、はたまたマーシ=セインにより持ち込まれ改造されたのか。

 魔物のように魔力を扱うものまでいて、五人の中で無傷の者はもういなくなっていた。


 その中でデミトールを上回り最も多くの敵を葬り、また最も深く多くの傷を負ったのは聡慈であった。

 剣術と魔法で敵を倒し、最後列のアスクレスを庇って負った傷だった。


「ソージ先生、大丈夫ですか?」


 ライオホークは聡慈に肩を貸し心配そうに見上げる。


「ああ、ありがとう」


 聡慈は礼を言うが治療薬は使おうとしなかった。

 今のところ敵の気配は途絶えていたし、自分の自然回復の速度は早いと知っているからだ。

 ライオホークは不満を顔に表していたが、聡慈は「戦闘が近ければちゃんと回復してもらうから」と言って聞かなかった。


 とにかく何処か落ち着いて休める場所を、と落ち着かない気持ちで歩いていたライオホークは、ふと不自然な空気の流れと音を感じた。


「あ、この上……何かありそうです」


「――なるほど、ここだけ岩盤が脆く薄いようだ」


 彼の言葉を受けデミトールは天井を槍で突いて確認した。


「よし、離れていてくれ」


 デミトールは四人を下がらせ軽く跳躍し槍を振るう。

 頭上の岩盤が切り取られ、一人入れる大きさの穴が空けられた。

 その中からは如何程かの広がりを感じる。


「おお、休むにはちょうど良さそうだ。よし、ここに入るとしよう」


 様子見に上がったデミトールに引っ張られ、他の四人も上がって行った。




 中は八畳程の何も無い空間だが五人が手足を広げて寝る分には十分だった。

 聡慈は土の魔法で穴を薄く塞ぎ、そのまま疲れ果て眠りに就いた。


「まさかこの槍をこんなに重く感じる日が来ようとはな……」

「おやすみなさい」

「ああ、ちぃと疲れたぜ」


 デミトールが聡慈に続いてぐったりと横になると、アスクレスとセステウスも倣って横たわった。


「ソージ先生……」


 ライオホークは聡慈の顔色を見て眠っているだけだと確認すると、ほっと一息吐いて自身も地面に転がった。



(俺、ソージ先生に頼り過ぎていたのかな)


 思えばいつも、先生がいるから心配いらないと考えていた。

 その期待を裏切られたことはない。

 いや、期待を裏切るなどと何を偉そうに――ライオホークは聡慈に寄り添い眠った。

 知らない間に涙が流れていた。






(……明晰夢というやつか)


 聡慈は草原でリンに乗っている。

 夢と自覚したが起きることはできない。

 いや、起きねばならない理由が思い出せない。


「まあ夢とは言え久しぶりに会えたんだ。もうしばらく一緒にいようじゃないか」

「ファ〜ア〜」


 リンが一鳴き返事をすると、鬼の里で共に過ごした馬たちが隣を走り始めた。


「おお、お前たち久しぶりじゃないか」


 トノサマ、ヒメたち聡慈が鬼の里から逃がしてやれなかった面々だ。

 だが彼らは恨みを持っている様子無く、聡慈を乗せたリンにただ満足気に並走する。


 その内トノサマは矢に姿を変え凄まじい速さで前へと飛んで行き、ヒメは優しい風になりトノサマを包んだ。

 ハタモトは盾へと変じトノサマの後ろを守り、聳える山はよく見るとロージューだった。


(ロージュー、お前も亡くなったのか? いや、もうかなりの年月が過ぎたのだったな。ショーグンでさえ生きているか……しかしここに見えないということは、まだ生きていてくれているのかな)


 もう会えない者たちのことを考えながら、聡慈は姿を変えた馬たちを見る。


「ははは、お前たちの長所のままじゃないか。それを私に見せて、褒めてほしいのかい?」


 それぞれの特徴を表現したような姿を笑ったのも束の間、目の前には突如鬼が現れた。


(……!)


 聡慈が身構えようとしたがそれより早く、変じた後の姿で馬たちが鬼へと向かって行く。

 そして鬼の左手を風で縛り右手を盾で塞ぐと、矢がその左目を貫き、山に鬼を封じてしまった。


(あの鬼は小鬼のリーダーだった奴か? ……いや、あやつの傷は右目だったな)


 何かを伝えようとする意図を感じたが、考えても夢の中で何かに繋がることは無かった。

 そうしている内に馬たちは元の姿に戻り、そして魔力のように白い煌きとなり消えていった。


「リン、お前はどう思う?」

「ファ〜ン」


 リンはもう起きろと催促しているようだった。


「そうか……もう少し一緒にいたかったが。リン、エウリアと会えたらあの子を守ってやってくれよ」



 そこまで言って聡慈は目を覚ました。

 疲労はすっかり消え、体には新たな力が満ちている。

 まだ眠りこけている仲間たちに疲労が回復するよう魔法をかけ、彼は自身に宿った力を探るべく瞑想に沈んだ。






「う、うう〜ん……あ、ソージ先生! 大丈夫ですか!?」


 一番に目を覚ましたライオホークは聡慈に飛びついた。


「ああ、この通りだ。心配かけたな」

「良かった……」

「ん、ソーさんの方が早く起きたか。敵地で寝るとは私も随分気が抜けているものだ」

「あ、デミトール様おはようございます」

「んっと! おお、なんか体が軽く感じるな?」


 デミトールたち三人も次々と目を覚ました。

 各人体調は良さそうだ。


「おはよう。寝ている間にちょっと試させてもらったよ。効果があったようで良かった」


 聡慈は闘級が上がったことに加え、新たな技能に目覚めそれを四人に施したことを告げた。


「また闘級が……この前の話は冗談ではなかったのだな」

「ああ、いつもの倍ぐらいしんどくて、やはり倍ぐらい力が漲る感覚があったから、二つぐらい上がったのではないかな」

「それは冗談だろ……」


 確かに大量の敵を打ち倒し過酷な状況を乗り越えたが、成長期の少年でもあるまいに。

 そう思ったが、聡慈が直後に見せた技能とそこから伝わる魔力の多さを感じ、デミトールは閉口した。


「さすがソージ先生!」

「いつも思うけどそのさすがって何よ……」

「ま、まあ闘級が上がって悪いことはない。むしろ脱出し易くなってありがたいことだな」


「そうだな、食糧も心許ないし早く脱出しないと飢えてしまう。……と言いたいところだが」


 聡慈は顔を厳しくする。


「どうやらあの男、マーシ=セインはかなり近くに居そうだ」


 四人が眠っている間に聡慈が探ったのが、今居る場所がマーシ=セインと戦った広間の奥に位置するということだ。

 再び下へ行き襲い来る敵と戦い脱出口を探すか、マーシ=セインの懐に飛び込んで奴を倒し、もしくは隙を見て入口からの脱出を図るか。


「ソーさんはどう思う?」


 デミトールも迷っている。

 どちらにしても命がけである。


「私の勘ではあるが、彼奴との再戦は避けられないだろう。デミさんに力を返せと言うのにその場で殺さず、この場も即死の罠など無い。力を封じていることを警戒していたようだし、ここは奴にとって単なる時間稼ぎの場ではないかな。そしてデミさんを殺しても良いと分かったなら、嬉々として殺しに来るのではないか」

「――なるほど……分かった。覚悟を決めよう。今体調が万全な内に再びあの男、半腐貌と対峙するぞ」


 デミトールの決定に反対する者はいなかった。

 五人は残り僅かの食糧で腹を満たし、戦いの準備を整えた。




聡慈の闘級が二上がった

聡慈は技能を習得した。【状態異常回復】

聡慈は耐性を獲得した。【金縛り】【精神異常】

入間聡慈

闘級 5→7

体力 257→362

魔力 124→191

力  49→67

防御 63→88

速さ 54→77

器用 58→78

精神 83→116

経験値 330→800


技能

⚪︎魔言語★5

⚪︎魔視★5

⚪︎自然回復上昇・中

⚪︎魔力自然回復上昇・小

⚪︎見抜く

⚪︎反撃

⚪︎第六感

⚪︎流し斬り

⚪︎状態異常回復


称号

⚪︎薬師★5

⚪︎被虐者(克服)

⚪︎轡取り★5

⚪︎伯楽★5

⚪︎不屈漢★5

⚪︎狩猟者★4

⚪︎逃亡者★3

⚪︎魔具職人★3

⚪︎見習い剣士★5

⚪︎見習い魔法士★5

⚪︎翻訳士★5

⚪︎軽業師★3

⚪︎医術士★4→5 (成長時加算:体力+5、魔力+5、防御+1、速さ+1、技能習得【状態異常回復】)

⚪︎剣士★1→2(耐性獲得【金縛り】)

⚪︎魔法士★1→2(耐性獲得【精神異常】)


耐性  毒、麻痺、睡眠、混乱、吸収、魔封、金縛り


状態  自殺者の呪印、献身者の聖印

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