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巡り求めて  作者: みおま ウス
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36 探索の旅(王国編-2)

 懐かしい者たちがいた。

 ヒメやハタモト、トノサマたち、魔大陸で共に過ごした馬たちだ。

 聡慈は誰かの背に乗っているような、自身が馬になっているよう不思議な感覚で彼らと並走している。


「おおい、久しぶりじゃないか。元気だったか? おーい」


 自由を謳歌しているようなゆったりとした走り方、なのに追いつけない。

 待ってはくれないが突き放そうとしている感じでもない。

 先導しているのか。


 返事は無いが肌を撫でる風と振動の心地良さを感じて走ることしばらく。

 先行するトノサマから止まり、ハタモト、ヒメと次々に立ち止まった。


 聡慈は止まることができない。


 ただ彼らを追い抜く時に、感謝と励ましと、言葉にならない様々な温かい心が伝わってくるのを確かに感じた。






(う……)


 聡慈は目を覚ました。


(ここは――森の中か?)


 周囲は木々で鬱蒼としている。

 地面に叩きつけられたはずだが体に痛みは無い。

 右前腕の刻印に触れる。


(聖印か呪印、その効果だったか)


 日を跨いで傷などが回復する、久々にあの機能を実感した。

 それはさておき途切れる前の記憶を辿る。


 意識が途切れる前に何とかしがみついた放れ馬。

 そういえばまだ腹の辺りが温かい。


(馬の体温が残っているのか。あの馬はどこへ? それと何か懐かしい者と会ったような気がするが……)


 思い出すことはできなかった。




(エウリア……無事だろうか)


 聡慈は手にしたネックレスを握りしめる。

 一見すると力の無い少女であるエウリアに、いきなり斬りかかって行くような輩はいないだろう。

 そしてその能力があるために拘束されずにあの窮地から逃げ出せていることは考えられる。

 だがまたその能力故に一般人との交流は困難が伴うはずだ。


(ドラさんが異常に気がついて魔法で探してくれれば……いや、ドラさんには別の騎士たちが接触しているに違いない。だとするとこの異常事態に気がつくのは相当に遅れる可能性がある。それに私はまたドラさんを頼って――私がエウリアを探さねば。そしてドラさんに謝らねばならん)


 聡慈は森を歩き始めた。

 持ち物は腰に下げた袋に入った三十銀と吊り下げた木刀だけ。

 ネックレスを袋に入れ木刀を手にした。


 森歩きは慣れたものだ。

 それに差し込む日の光はまだ朝のものの弱さだ。

 早いところ森から出て現在地を特定し、近くの人里へ行かねばならない。

 聡慈は森を歩き進んだ。






 それにしても実りの多い森だ。

 苦味や渋みから流通こそしていないものの、食べられる実や草花を見かける。薬草に使える物も数多い。

 時々その恵みに与り腹を満たした。

 植物を採取しても持っておけないことが残念に思える。


 やはり森を歩く感覚はまだ衰えていない。

 しかし聡慈は魔大陸以来の緊張感を取り戻さねばと思った。

 気を引き締めて一人歩く。






 ガサガサ、ズザッ


 地面を削り枝葉の擦れる音が聞こえた。

 小動物が人の接近を警戒して逃げたのか。

 聡慈は肩の力を抜き木刀の握りを確かめる。

 すると、転びそうになりながら走る小さな影を見つけた。


(おや、あれは?)


 小動物、ではない。

 見たことがある姿だ。


『待ってくれ!』


 聡慈は小さな影を呼び止めた。


『え? 喋れるのか?』


 振り向いたのは聡慈の膝下ぐらいの身長しかない、ヤマネズミのような顔をした小人――魔人種の“木陰の人”――であった。


 魔大陸でミルドラモンと会って以後、一度姿を見たことがある。

 尤もあちらの“木陰の人”はもっと大きな図体で凶悪な顔をしていたが……


(随分違うものだ。随分愛くるしいじゃないか。何かのマスコットキャラクターみたいだ)


 立ち止まりはしたが、腰が引けた“木陰の人”。

 そのオドオドした様子と憎めない顔立ちから、聡慈の警戒もつい緩みそうになってしまう。

 だが不意を突いて強力な魔法を撃ってくるかもしれない。

 聡慈は考えて――


『こんにちは。ここがどこだか分からず困っている。森から出て野人種の集まる場所に行きたい。どうやって行けばいい?』


 ――普通に挨拶することにした。


 何せせっかくの意思疎通ができそうな相手なのだから。

 もちろん相手から目は離さず、魔力の気配にも気をつけている。


『やっぱり話せる! おまえ、俺たち襲わないか? 俺たちの食い物奪わないか?』


 “木陰の人”は距離を保ったまま尋ねてきた。

 しかしその声からは幾らか堂々とした含みを感じた。


『もちろん。襲う理由がないし、私はここに生えている物なら食べられるものが分かる。食べ物を奪う必要がない』


 魔言語で嘘をつくことはできないので意味は無いが、聡慈はその辺りに生えている葉を捥いで口にして見せた。


『分かった、信じる。でも俺は野人種のたくさんいる所知らない。他の奴らに聞いてやってもいいが、今困ってることがあるから無理』


 “木陰の人”は悲しそうだ。


『困ってることは何だ? それが解決すればいいのだな? 私にできることなら手伝おう』

『いいのか!? うん、お前なら手伝える! 来い!』


 木陰の人”は急に元気になった。

 聡慈に近づき前後左右ぐるぐると回って何かの確認をした後、彼の服を引っ張り走り始めた。


『困りごととは何だ?』


 “木陰の人”は張り切って走っているが、聡慈と比べて体が小さ過ぎる。

 聡慈にとっては早歩き程度で十分間に合い会話も余裕である。


『俺たちの村は野人種の盗賊に襲われた』


 息を切らせて“木陰の人”は話す。


『おいおい、待ってくれ。盗賊とは穏やかじゃないぞ。私一人でどうにかなるのか?』


 聡慈は慌てて“木陰の人”の手を引いた。

 何の準備もせずに行っては返り討ちに遭うだけではないのか。


 ところが“木陰の人”は大丈夫だと言う。

 何故か、と聡慈が尋ねると彼は答えた。


『盗賊はデカイがお前よりもチビ。盗賊は乱暴だけどお前の方が力が強そう。盗賊は何も持ってないけどお前は木の棒を持ってる』


 あまりにも自信あり気な“木陰の人”の態度はむしろ不安に思うが、聡慈も困った人がいるのに見捨てることのできない性分である。


(なにはともあれ一度その盗賊とやらを見ねばな)


 もし初見では対処できそうになくても、観察しておけば対策を立てることはできるかもしれない。

 聡慈は“木陰の人”に盗賊の特徴や、これまでにとってきた行動を聞いていくのであった。




入間聡慈

闘級 1

体力 57

魔力 0

力  13

防御 15

速さ 10

器用 19

精神 19

経験値 -10


技能

⚪︎魔言語★5

⚪︎魔視★5

⚪︎自然回復上昇・中

⚪︎魔力自然回復上昇・小

⚪︎見抜く

⚪︎反撃


称号

⚪︎薬師★5

⚪︎被虐者(克服)

⚪︎轡取り★5

⚪︎伯楽★5

⚪︎不屈漢★5

⚪︎狩猟者★1

⚪︎逃亡者★3 (成長時加算:速さ+2)

⚪︎魔具職人★3

⚪︎見習い剣士★5

⚪︎見習い魔法士★5

⚪︎ 翻訳士★5


耐性  毒、麻痺、睡眠、混乱、吸収、魔封


状態  自殺者の呪印、献身者の聖印

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