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6 遭遇


 しばらく狼の森で魔物狩りを続けていた。

 と、言ってもまだゴブリンしか見ていないのだが……他に魔物、特に狼はいないのか? 名前負けしてる。

 っと、発見。またゴブリン。

 最初と同じく、ゴブリンの背後に気配を消して近づき、首を切る。

 首を切られたゴブリンは武器を振り回すが、かすりもしない。誰に攻撃されたのか分かっていないようだ。

 そして、HPゲージが砕け、ゴブリンは倒れた。


『種族レベルが上昇しました』

『職業レベルが上昇しました』

『ボーナスポイントが3ポイントあります。ステータスに振ってください』


 ゴブリンを20匹倒してようやくレベルアップか。

 BPは種族レベルでBPを2ポイント、職業レベルで1ポイント貰えるそうだ。

 全てAGIに振る。


ステータス

名:シャドウ 種:獣人(黒豹) 職:シーフ

種族Lv 2

職業Lv 2

HP 150

MP 150

STR 33

VIT 5

INT 15

DEX 10

AGI 46

LUK 5

BP 0

SP 0


スキル

【短剣】Lv.3、【暗器】Lv.2、【隠密】Lv.3、【察知】Lv.2、【鑑定】Lv.3、【看破】Lv.1、【偽装】Lv.1、【暗殺術】Lv.4、【闇魔法】Lv.1、【毒魔法】Lv.1


称号

<最初の黒豹>

STRとAGIが3上昇する。


 AGIが上昇した。正直、誤差だが、ちりも積もればいつかは山になるだろう。


 ゴブリンに近づいて剥ぎ取りナイフで刺し、ドロップ品を確認する。


ゴブリンの槍 耐久度 75 品質 F- レア度 N

 ATK+4

 ゴブリンが持っていた槍。

 先端は石で出来ている。耐久度が低い。


 何匹も狩っているが、ゴブリンは倒しても武器しか落とさない。

 ……俺のLUKが低いせいかもしれないが、20匹狩っても全て武器だ。

 槍にこん棒、剣に斧もあった。投擲用の武器として、使えないこともないが……微妙だ。場所を変えるべきか?


 メニューを開き、時間を確認する。

 15時を少し回ったところだ。

 リアルの世界とAFWは時間は同じだ。夜飯まで3時間くらいか。まだ時間があるな。

 そんなことを考えていると急に着信音が聞こえた。

 メニューを開くと、リンからだ。応答っと。


『もしもーし』

『なんだ?』

『装備完成したよー。今から会える?』

『今は狼の森の中だ。少し時間がかかる』

『え! 狼の森に行ったの?』

『ああ、ゴブリンしか見かけないけどな』

『倒した?』

『ああ、20匹な』

『20! 流石だね。シャドウは知らないと思うけど、狼の森は第一エリアの中では一番難易度が高いんだよ』

『第一エリア?』

『あー、マップ見て。将棋盤みたいにマスがあるでしょ』

『ああ』


 メニューからマップを選択すると、将棋盤のような物が出る。中央に始まりの街 アインスがある。


『第一エリアって言うのは、アインスから見て隣のエリアの事だよ。つまり狼の森、ゴーレム鉱山、蟹の海、兎の平原が第一エリア。そのエリアの更に隣が第二エリアって感じで、アインスから遠くなるほど難易度が上がるよ』

『そうなのか』

『そうなんだよ。それで続きだけど、狼の森は第一エリアの中では一番難易度が高いんだよ。魔物のレベルも高いし、マップでどこにいるか分からないから迷いやすいからね。シャドウは森にいて、今はマップを見ても分からないだろうけど、普通はマップを見ると現在地が分かるんだよ』

『そうか。道は覚えている。迷いはしないから問題ないぞ』

『それなら安心だね。じゃあ、シャドウ。アインスに到着したら連絡して』

『分かった。20分前後だ』

『了解ー。またねー』


 リンが言っていた装備を貰いに、アインスに戻るとしよう。魔法はまた今度だな。

 【隠密】を発動し、アインスへと移動する。




 移動するだけなら20分程で到着したが、街まで数分の場所で何やら騒いでいる連中がいる。

 見ると、人と人が戦っているようだ。

 もしかして……PKか? それなら、非常に嬉しい事だが。

 

 状況は2対4で、女が2人と男が4人で戦っている。

 どっちがPKか分からない。【鑑定】してみるか。【看破】のスキルのレベルも上がるから丁度いいだろう。

 まずは女2人だ。


名:アカネ 種:獣人(狼) 職:ファイター(斧)

種族 Lv.2

職業 Lv.2


名:アオイ 種:獣人(狼) 職:ファイター(剣)

種族 Lv.2

職業 Lv.2


 名前は白色だな。職業も普通だ。

 次に男四人だ。


名:カイト 種:人間 職:ファイター(剣) PK

種族 Lv.1

職業 Lv.1


名:ラギアス 種:ドワーフ 職:ファイター(槌) PK

種族 Lv.1

職業 Lv.1


名:クマろう 種:人間 職:ウィザード(炎) PK

種族 Lv.1

職業 Lv.1


名:カモンマネー 種:エルフ 職:アーチャー PK

種族 Lv.1

職業 Lv.1


 赤色で表示されるだけでなく、職の右にPKと表示されるのか。……何故、クマろうは熊の獣人じゃないんだ。

 気になるが、今は戦闘だ。状況を見ると女2人が押しているな。

 女2人は戦い慣れているのか、4人の相手に上手く立ち回っている。

 赤髪に黄色の目のアカネという女が片手斧と片手盾を持ち、敵の攻撃を防ぎ、青髪に同じく黄色の目のアオイという女が双剣でひたすら攻めている。

 対して、男四人は連携がばらばらだ。足を引っ張り合っている。

 残念だが、これは手を出さなくても勝てそうだな。……非常に残念だ。

 そのまま通り抜いて立ち去ろうとしたが、【察知】に新たに二人反応があった。


「おいおい、どんだけ待たせるんだよ」

「暇だったから来ちまったぞ」

「1人は不意打ちで倒したが、こいつら異常に強いんだ! しょうがないだろ!」


 どうやらPKの仲間らしい。【鑑定】を発動する。


名:サルべ 種:獣人(熊) 職:ファイター(拳) PK

種族 Lv.2

職業 Lv.2


名:ウィータ 種:エルフ 職:ウィザード(水) PK

種族 Lv.2

職業 Lv.2


 お前が熊なのか……


「まぁ、これで六人だ。たったの二人相手なら勝てるだろ」

「そうだな。おい! 痛い目に合いたくないなら、大人しくアイテムをよこしやがれ。そうすれば見逃してやってもいいぞ?」

「ふん。絶対に断るわよ。あなた達みたいな屑に渡すわけないでしょ!」

「何だと! このくそ女! お前等やっちまうぞ!」


 PK六人が一斉に動く。

 3人のファイターが前衛に、アーチャーが中衛、ウィザード2人が後衛である。

 これは流石に不利だな。加勢するとしよう。


 ただ、戦っている最中に、横からパーティー外のプレイヤーが戦闘に参加すると、共闘ペナルティが発生するとリンは言っていたな。

 共闘ペナルティは戦闘に参加している人数が多い程、ステータス減少、ドロップ率の低下があるらしい。

 それを防ぐにはパーティーに入ってしまえば良い。戦っているパーティーが救助申請を出すか、戦いに入りたい人が参加申請を出せばいいそうだ。

 ただし、パーティーに入れる人数は六人までだ。それ以上は複数のパーティが組むユニオンとなるが……今はどうでもいい。早く暗殺がしたい。

 救助申請は……出てるな。アオイというプレイヤーからだ。

 参加っと。


『え? パーティー増えてる?』

『救助申請した』

『アオイ!? いつの間に出したのよ』

『今』

『今って……そう、でも一人よ?』

『一人でも二人抑えてくれたら勝てる。この森をソロでいるなら、相当の実力者のはず』

『はぁ、そうだけど……えっと、シャドウさん? 二人任せても大丈夫?』


 何か頭の中に声が聞こえるな。これがPTチャットか。

 俺の名前を知っているのも、PTメンバーに表示されているからだろう。

 2人だけなら問題ない。何なら全て貰ってもいいが……今は我慢するとしよう。丁度、背中を向けている後衛のウィザードを2人暗殺するか。


『問題ない。後衛のウィザード二人をやる』

『分かったわ。よろしくね』


 許可は取れた。人間相手の暗殺は初めてだな。思わず、笑みが浮かんでしまう。……いや、落ち着け。暗殺するときは、冷酷に、無慈悲に、非道に、卑怯になれ。情は捨てろ。笑みを浮かべるのは後でいい。


 さて、まずは一番後ろにいるクマろうからだ。

 【隠密】を発動し、ゴブリンと同じ要領でクマろうの近くにある木の上に立ち、枝に足をかけ逆さになる。

 そして、首を切ると同時に、空いている手でゴブリンの槍をウィータの心臓目掛けて投げる。


 --命中。

 肉を切る感触と同時に、クマろうは首から血が噴き出し、ウィータは心臓に槍がささった。

 ウィータは即死したようだ。光の泡になり、武器や防具などを含む大量のアイテムとゴールドをまき散らす。

 異常をパーティーに報告しようと、クマろうは声を出そうとするが、させる気は無い。

 開いた口に短剣を突き刺す。すると、クマろうは光の泡になって大量のアイテムとゴールドを落とした。

 声は一切上げていないし、PTチャットをする時間もなかっただろう。


『殺ったぞ』

『うそ!? 早いわね!』

『手伝って』

『分かった』


 ふむ。非常に嬉しい事だが、もっと暗殺していいらしい。次はアオイの手伝いに行くとしよう。

 そのPK達はアオイとアカネに夢中になっている。好機だ。


「おい、ウィザード二人! 何でもいいから早く援護しやがれ!」


 何でもいいみたいだ。アオイに向かって弓を放っているアーチャーにゴブリンの槍を投げる。

 援護だぞ。魔法ではなく、ゴブリンの槍だが。


「え?……何で槍が?」


 心臓に刺さり、驚愕の顔をしたアーチャーが光の泡となる。

 流石にPKも、もう1人いることに気づいたようだが、もう遅い。

 アオイとアカネもパニックになっているPKを一人ずつ倒し、今回の戦闘で何度もお世話になっているゴブリンの槍を投げる。

 そして、PKは全員光の泡となって消えた。


『短剣のスキルレベルが上昇しました』

『隠密のスキルレベルが上昇しました』

『鑑定のスキルレベルが上昇しました』

『看破のスキルレベルが上昇しました』

『暗殺術のスキルレベルが上昇しました』

『種族レベルが上昇しました』

『職業レベルが上昇しました』

『ボーナスポイントが3ポイントあります。ステータスに振ってください』


 お楽しみの時間が終わってしまった。非常に残念だが、経験値が美味しいな。

 BPは全てAGIに振る。

 大量のドロップ品とゴールドがあるが、リンが待っている。早く帰るとしよう。


『えっと、シャドウさん。ありがとう。助かったわ』

『ありがとう』

『気にするな。じゃあな』

『ちょ、ちょっと待って! このアイテムはシャドウさんのだよ』

『必要ない』

『あ、ちょ』


 パーティーを離脱し、街に戻る。

 楽しめたが、大分遅れてしまったな。早く装備を取りに行くとしよう。

 ただ、到着前にこの笑みを抑えなければ。


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ステータス

名:シャドウ 種:獣人(黒豹) 職:シーフ

種族 Lv 3

職業 Lv 3

HP 150

MP 150

STR 33

VIT 5

INT 15

DEX 10

AGI 49

LUK 5

BP 0

SP 1


スキル

【短剣】Lv.4、【暗器】Lv.2、【隠密】Lv.4、【察知】Lv.2、【鑑定】Lv.4、【看破】Lv.2、【偽装】Lv.1、【暗殺術】Lv.5、【闇魔法】Lv.1、【毒魔法】Lv.1


称号

<最初の黒豹>

STRとAGIが3上昇する。

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