14 魔法
次の獲物を探して、木の中を跳びまわっていると、次はゴブリン? を見つけた。
昼に戦ったゴブリンとは違い、防具を装備をしている。
ひとまず【鑑定】するか。
名:無し 種:ゴブリンファイター 職:ファイター(槍)
種族 Lv.8
職業 Lv.3
……ゴブリンが職に就いただけか。数は3体。レベルが4つ上だが、所詮はゴブリンだ。負ける気は無い。それに万が一失敗しても逃げれば良い。鎧を着ている相手から逃げる事など容易な事だ。
さて、早速魔法を使うとしよう。
俺が使えるのは【闇魔法】の【ダークアロー】、【毒魔法】の【ポイズンバレット】だ。
魔法は発動までに詠唱があり、時間がかかる。
そして、一つの魔法を詠唱中に他の魔法は詠唱できない。だから、二つの魔法を同時に発動することは無理だそうだ。
同時に詠唱するスキルもあるが、取得するには3ポイントもいる。魔法の使い勝手次第では取得するとしよう。
いつも通り、音を立てずに木の上を移動して、ゴブリンファイターの背後を取る。
そして、【ダークアロー】を発動しようとすると、頭に文字が浮かんだ。これを詠唱すれば良いのだろう。
『闇よ。矢となり、我が敵を射貫け』
詠唱が完了した。後は任意で発動できるみたいだ。
では、早速。
近くにいたゴブリンファイターの首を切る。
「ギッ?」
急に首を切られて困惑した声を出したゴブリンファイターは放置し、別のゴブリンファイターの心臓目掛けて魔法を発動する。
「【ダークアロー】」
50cm程の黒色の矢が目の前に一本出現する。
出現した矢は一瞬の静止後、ゴブリンファイターに勢いよく飛んでいき、
「ギギギッ!?」
「ギギ!」
ーー命中。
首を切られたゴブリンファイターは何が起こったのか分からないまま倒れ、ダークアローが心臓に命中したゴブリンファイターは鎧を貫通。HPゲージが一瞬で砕けた。【暗殺術】の効果は魔法にもあるのだろう。
これだけなら便利だが……詠唱と発動に声が出るのはいまいちだ。
詠唱はマスクの効果で外に声が出なかったが、魔法の発動の声は若干大きく、マスクでは防げていない。
その結果、残りの一体に声で見つかってしまい俺の方に迫ってくる。視認され、【暗殺術】の効果が消えたが、慌てずに投げナイフ5本を同時に投げた。
「ギギギ! ……ギッ!!!!????」
投げたナイフは頭、首、心臓、腹、股間に命中し、ゴブリンファイターは苦悶の表情を浮かべ、内股になりながら前のめりに倒れた。
『【鑑定】のスキルレベルが上昇しました』
『【暗殺術】のスキルレベルが上昇しました』
『【闇魔法】のスキルレベルが上昇しました』
『【投擲】のスキルレベルが上昇しました』
股間も効果があるのか。視認された場合、積極的に狙うのも有りだな。
さて、魔法の件は順調だが、魔法名を口から出さないスキルは無いか確かめるとしよう。
……あった。
【サイレンス】
パッシブスキル。武技や魔法の詠唱、魔法名を声を出さずに発動できる。
スキルレベルが無いスキルで、SPは回収できないが、暗殺者には必須だろう。必要SPは……10か。高い。
今だと8SP足りない。また今度にするか。
最後は気になるドロップ品だ。ゴブリンソルジャーのドロップは何だ?
ゴブリンファイターの槍 耐久度 200 品質 E- レア度 N
ATK+5
ゴブリンファイターが持っていた槍。
ゴブリンの槍よりは出来が良い。
ゴブリンファイターの鎧 耐久度 50 品質 F- レア度 N
DEF+2
ゴブリンファイターが着ていた鎧。
心臓部が貫通している。
……要らない。ゴブリン系は上位でも装備しか落とさないのか?
ゴブリンにもウルフと同じく、爪や牙、皮に肉もあるはずだ……俺のLUKが原因だろうか? 少し調べてみる。
掲示板で調べた結果、武器以外にも低確率で魔石を落とすみたいだ。だが、魔石は【鑑定】しても用途不明と表示されて、使い道が分からないそうだ。
ゴブリンがドロップするのは、作りが雑な武器と使い道が分からない魔石……要らないな。ドロップには期待しないでおこう。
さて、気を取り直して次は【毒魔法】だ。少し移動すると、ゴブリンファイターを2体発見した。犠牲になって貰おう。
やり方はさっきと同じだ。
『毒よ。弾となり、我が敵を貫け』
魔法を詠唱し、ゴブリンファイターの背後から首を切る。
「ギギ?」
首から青色の血が噴き出したゴブリンファイターはもうすぐ死ぬだろう。
もう一体に狙いをつけ、魔法を発動する。
「【ポイズンバレッド】」
魔法を発動すると、紫色の弾丸のようなものが目の前に現れた。見えにくいが、凄まじい速度で回転している。
そして【ダークアロー】と同じく、一瞬の静止後、ゴブリンファイターに飛んでいく。【ダークアロー】よりも早い。
「ギギッ!?」
――命中。胸部の鎧は貫通したが、体の中で止まったらしい。威力は低いみたいだ。
だが、【ポイズンバレッド】が命中したゴブリンファイターのHPゲージの右に状態異常:毒と表示されていた。
「ギギ!……ギ……ギギ……」
HPゲージが徐々に減っていく。その状態でもゴブリンソルジャーは、槍を片手に苦しみながら俺に近づいてきた。
しかし、動きは遅く、俺のところに来る前に前のめりに倒れ、少しもがいた後、動かなくなった。
『【毒魔法】のレベルが上昇しました』
……毒も良い。苦しむ表情、もがく姿……最高である。暗殺の王道だろう。
【毒魔法】は名前のままだが、状態異常の毒を与えるみたいだ。毒を与える確率が、確定なのかは分からない。
それに、どれだけダメージになるかもだ。
この後調べてみるか。
しばらく狩りを続けて、リンと約束していたログアウトまで残り一時間。今から街に戻ると丁度いい時間だろう。
最後に現在のステータスを確認しておくか。
ステータス
名:シャドウ 種:獣人(黒豹) 職:シーフ
種族 Lv 5
職業 Lv 5
HP 150
MP 150
STR 33
VIT 5
INT 15
DEX 10
AGI 55
LUK 5
BP 0
SP 5
スキル
【短剣】Lv.6、【暗器】Lv.4、【隠密】Lv.7、【察知】Lv.4、【鑑定】Lv.6、【看破】Lv.2、【偽装】Lv.1、【暗殺術】Lv.8、【闇魔法】Lv.4、【毒魔法】Lv.4、【跳躍】Lv.4、【登攀】 Lv.2、【暗視】Lv.5、【投擲】Lv.5
称号
<最初の黒豹>
STRとAGIが3上昇する。
レベルが1上がり、BPは全てAGIに振った。
スキルはほぼ全体的に上昇している。
そして【短剣】のスキルレベルが5になった時に、武技【ピアス】を覚えた。
【ピアス】
短剣を両手で持ち、勢いよく突き刺す。
ただの突き刺しだが、普通の突き刺しよりダメージが上がる……みたいだ。正直に言えば、よく分かっていない。
というのも、今のところ短剣の突き刺しは心臓以外に命中していなく、【暗殺術】の補正もあり全て一撃で倒しているからだ。
それに、武技も魔法と同じく使用する時に声が出る。【サイレンス】を取得するまで使う予定はない。今は良いだろう。
【毒魔法】は、使い続けた結果、ポイズンバレッドを受けた場合、状態異常:毒になる可能性は7割程だ。
毒によるダメージは、ゴブリンソルジャーとグレイウルフ、グレイウルフリーダーに使ったが、全て共通でHPゲージの1割ほど減っていた。3匹ともHPが同じということはないと思う。毒は全快時のHPに対する割合ダメージだろう。
なかなかにえぐい。だが、そこがいい。
まぁ、こんなものだろう。ログアウト予定の時間も近づいてきたし、そろそろ街に戻るか。
『ん?』
街に戻ろうとした瞬間、他の場所とは違い違和感がある場所を見つけた。
そこだけ木が生えてなく、円形のフィールドのような場所だ。大きさは大体直径100mほどだ。
何かあるのか?
警戒しながら、その円形のフィールドに近づいていく。
そして、フィールドに足を踏み入れた瞬間--
『狼の森エリアボス、影狼王ガロンとの戦闘に入りました。戦闘が終わるまでフィールドから出ることは出来ません』
……ん? エリアボス?
エリアボスの事は、既にリンから聞いている。各エリアには一体エリアボスがいて、他の魔物とは比べ物にならないほど強いそうだ。βテストでは、東西南北にいるどのボスも攻略できなかったらしい。
そして、戦闘は勝敗着くまで逃げることが出来ない。準備した後ならまだしも、何も準備をしていない今の状況はまずい。
まずい……が、暗殺者を目指す上で突然の奇襲もあるだろう。
その練習とでも思えば良いか。しかも、襲撃者は誰も倒したことのない強敵。
それを暗殺する事ができれば、どれだけ気持ちいい事なのか。
高揚する気分を蓋をするように抑え、表情、感情を消し、フィールドに入っていく。
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ステータス
名:シャドウ 種:獣人(黒豹) 職:シーフ
種族 Lv 5
職業 Lv 5
HP 150
MP 150
STR 33
VIT 5
INT 15
DEX 10
AGI 55
LUK 5
BP 0
SP 5
スキル
【短剣】Lv.6、【暗器】Lv.4、【隠密】Lv.7、【察知】Lv.4、【鑑定】Lv.6、【看破】Lv.2、【偽装】Lv.1、【暗殺術】Lv.8、【闇魔法】Lv.4、【毒魔法】Lv.4、【跳躍】Lv.4、【登攀】 Lv.2、【暗視】Lv.5、【投擲】Lv.5
称号
<最初の黒豹>
STRとAGIが3上昇する。




