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『冬』という言葉を使わずに、200字程度で冬を表現する──という難問に挑む
難しい。(白目)
──綺麗。
窓の外に視線を移した彼女はふと、そう呟いた。口から漏れ出た水蒸気の塊が、凍えそうな程に冷えた空気に溶けてゆく。耳が痛い程に澄んだその気は、何処か悲哀ささえ感じさせた。
寝起き特有のトロンとした瞳が見据えているその先は、窓。
──否。窓と呼ぶには些か語弊があるか。正確には、その内側に氷華の花弁を開いた、霜。霜華、と一般に呼ばれているモノだ。
それらは一つ一つが繊細で、鋭利で、目を奪われる程に美しい結晶ではあるが、時が過ぎればいつの間にか無くなってしまう。
それも相俟って、より、悲哀の念が彼女の胸を覆い尽くした。
200字とは。(白目)