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あき
そうしてまた沈みゆく。晩夏の死際を一身に背負いながら、あの斜陽は山稜を掠めて──。茜と紫金の残影、寂寥に塗れた秋風だけを遺しながら、昊天の残骸にも、路傍の曼珠沙華にも愛別して、どうせならいっそ、このまま晩夏どころか晩秋にでもなってしまう方が、この離苦も形骸化することだろう。
──我が袖に まだき時雨の 降りぬるは 君が心に あきや来ぬらむ──
晩夏の死際を差し置いて晩秋が来たならば、とうの昔に尽かされているのかもしれない。それならばそれで、髪を切ろうと思った。