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今日はもう1話続けて投稿します
次に目が覚めたのは、薄暗い礼拝堂のような建物の中央で、見える範囲の全方位に黒いローブらしきものを着た人たちが俺たちに向かって頭を下げているところだった。どうやら先程から誰かに揺すられているおかげで目が覚めたらしい。
「永江くん、永江くん。起きて。」
段々と揺する力が強くなってきてる当たり手加減してくれていたのだろう。俺は起き上がり揺り起こしてくれた人を探そうとして、すぐに見つける。
「あぁ、よかった。気がついた?」
そういって人懐こそうな笑顔を俺に向けているのは、教室で扉に対して格闘していた土岐さんだった。…俺の身体に手を当てているので間違いないだろう。
「あぁ、ありがとう土岐さん。それで、ここは…?」
そう言いながら先程は視界に入らなかった部分へ目をやる。どうやら俺が最後に目を覚ましたようで、クラスの連中は身を寄せ合って怯えていたり警戒しているようだ。
そしてそのついでにわかったことだが、今まで寝ていた…気を失っていた床は何かの石材でできていたらしい。壁も同じような素材でできているようだ。そして目に見える扉は何かの金属でできているようで、僅かな明かりを金属特有のツヤで反射していた。周囲をよく観察しようと上体を起こす。それと同時に背中側から、声をかけられる。
「どうやら勇者様が全員お目覚めのようですな。ささ、勇者様がた。こちらへどうぞ。」
声のした方に目をやるとそこにはやはり黒いローブを頭からすっぽりかぶった小柄な人(?)が扉に向かって歩いていた。どうやら俺たちを先導しているようだが胡散臭い。だが、簡単に見た限りだとこの小柄な人が向かった扉以外に出口らしきものも見当たらないので俺以外の男子の一人が先頭になり、全員ついていく。先頭の男子は確かクラス委員長だったか。
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結論から言おう。俺達は城勤めの兵士が使う食堂に案内された。小柄でローブをすっぽりかぶっていた、俺達を先導していた人はここ【サッドグランニア】と言う国の宮廷魔術師らしい。詳しくは知らないが、この国で魔法に関することなら王様の次に権限を持っている人とのことだ。でもってファルスさんという小人族の出自なんだとか。例の礼拝堂らしき場所からこの食堂らしき場所までの移動中に語ってくれた。ついでに指先に火を灯す魔法も見せてくれたので、残念ながら異世界だと実感してしまった。
食堂に着いてからは、食事が出てきた。ファルスさんいわく、現時刻はこの国の人々がちょうど夕食を取るような時間らしい。色々あって腹も空いていたのでありがたく食事をさせてもらう。周りを見ると皆同じだったようでファルスさんの話を聞きながら食事をしている。耳だけ傾けて聞いているが手っ取り早く要約すると
・今日は時間が時間なのでステータスの判定やスキルの判定は明日行う
・今夜は男女別で部屋を用意してるので明日に向けて休んで欲しい
・1年は12月あって、1月は4週あり、1週は7日。1日は24時間。
ということらしい。至ってシンプルで助かるね。その他グダグダ言ってた気がするが忘れた。とりあえず腹が膨れた俺はクラスの連中とまとめて今夜の寝床となる部屋へ案内され、そのまま部屋内の適当なベッドにダイブし、眠りについた。
アクセスありがとうございます