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今年もよろしくお願いします。

まだ年始のバタバタから抜け出せないため、相変わらずのゆっくり進行です

 チアルを拾ってから数日。俺達は彼女の案内で街道から少し外れた場所にある<ザンの宿場町>という宿場町にやってきている。そうだよな、主要街道ならある程度の距離ごとに宿場町が整備されててもおかしくはない。それに気づかなかった俺が迂闊なだけだ。


「で、今日の馬車便はあとどれくらい待てばいいんだ?」

俺は現地の文字が読めないためチアルに尋ねる。今は太陽はまだ頭の上にあるから昼くらいだろうか。

「それが、今日の便は行ってしまったみたいで。最速でも明日になりそうです。」

「そっか。行っちまったもんは仕方ない。なら、宿とか案内してくれよ。できればワンコとクック―も泊まれるところな。」

「はい、任せてください!でもその前に、ノーティベアの毛皮の換金に行かないと…。」

「あぁ、そっか。買い取りしてくれるところとかあるのか?」

地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものだ。毛皮を換金しないと俺たち一文無しだもんな。

「はい、ここなら冒険者ギルドの支店があるはずです。そこでは冒険者登録も受け付けてたはずですね。」

冒険者。ファンタジーの定番職業来ましたよ!俺は期待に胸を膨らませながらチアルに案内をお願いした。


 宿場町の中の冒険者ギルドということで規模としては期待していなかったが…思っていたよりも立派だった。ログハウス風とでもいいのだろうか、広い丸太組の家が冒険者ギルドとしての建物らしかった。チアルがいくつかあるカウンターに向かって歩いていくので俺はついていく。どうやらカウンター内の受付のお姉さんもこちらに気づいたようで声をかけてくる。


「こんにちは。今日は冒険者ギルドにどのようなご用件でしょうか?」


うん、テンプレの挨拶だ。だがそれがいい。

「この熊の毛皮の買い取りと、俺の冒険者登録をお願いしたいんですけど。」

「これは…ノーティベアの毛皮ですね。少々お時間を頂きますがよろしいですか?」

「はい、構いません。」

「それでは、その間に冒険者登録の手続きをさせていただきますね。」

…考えたら、俺だけ冒険者登録するのもおかしな話だな。


「あの、彼女も冒険者登録することってできますか?」

「はい、可能ですが…。奴隷の方の冒険者登録は本人の意思確認も必要になっていますが、よろしいですか?」

受付のお姉さんは確認してくる。命の危険もある以上当然だろうし、俺はかまわないと返事をしてチアルも承諾した。その際彼女がものすごく嬉しそうな顔をしたのは何故だろうか。とりあえず、俺は受付のお姉さんの説明を聞く。


「それでは、続いてギルドの仕組みに関して簡単に説明させていただきます。まず冒険者ランクですが最初は皆様Gランクから始まります。そこから依頼の成功率やギルドへの貢献によってF、E、D…と上がっていって、最上ランクはSランクとなります。このあたりはステータスの表示ランクと同じですね。」

よくあるシステムだ。恐らく、ギルドに目に余るような行為を繰り返していれば除名処分やお尋ね者になったりもするのだろう。一応気をつけておかないとな。


「それから…ギルドカードにもステータスが表示されますが、この表示は<ステータスオープン>の魔法とは表示が違います。というのも、<ステータスオープン>の魔法は【その人が最大ステータスに伸びたところをSランクとして表示する】のに対して、ギルドカードのステータスは【一定の評価基準により、今どのくらいのステータスか】を表示するものになっています。」

「要するに、グリドカードのステータス表示がCとかBであっても、<ステータスオープン>で見たステータスがFとかEならばまだ伸びる余地があるということですね。」


チアルが補足説明をしてくれる。なるほど、要するにギルドカードのステータス表示が絶対評価の表示なんだな。


「世間的には<ステータスオープン>のほうが手軽なのでそちらでみるのが主流になっていますが…ギルドとしては冒険者の能力をしっかり把握するためにこのような方法を取っています。ご了承ください。それと、個人のスキルに関しては基本的には表示されません。また他人のギルドカードに触ると、すぐにカードが変色するので偽造されにくいという特色もありまして、身分証明証としても有効になります。そのため、紛失にはご注意ください。もし紛失された場合は速やかに冒険者ギルドに申請をお願いします。手数料を頂きますが、再発行させて頂きます。」

うん、一気に説明されたがテストの点数が書かれた生徒手帳くらいの認識だろう。…確かになくせないな。


「依頼は掲示板に貼ってあるので、受けたい依頼表を剥がしてカウンターに持ってきてください。あまりにも冒険者ランクと想定される難易度に開きがある場合はこちらで、受諾拒否と言うかたちで止めさせていただきますが…基本的には冒険者ランクと同じ難易度ランクか、1つ上くらいの難易度までなら受けれるようになっています。」

そう言いながらお姉さんは依頼表の見本を持って説明してくれた。なるほど、依頼表の右上に想定される難易度のランク付けがされてるのね。

「私からの説明は以上になります。質問がなければ、ギルドカードと先程の買い取りの代金をお渡ししますね。」

完璧な営業スマイルだ。そんなものでは俺は撃ち抜かれないぞ。ともあれ、質問は追々でも答えてくれると言うので、この場ではギルドカードと買い取り金を受け取ってギルドを出る。あ、ワンコとクック―は俺の従魔として登録されたから街中で連れ歩いてても大丈夫だそうだ。


「さて、次は泊まる場所だな。やっぱり宿屋みたいのがあるんだよな?」

勝手に探して時間を食うくらいなら、チアルに聞いたほうが早い。宿場町って言うくらいだから宿くらいあるだろう。

「もちろん、ありますよ。ザンの宿場町は、帝都からセントラルシティに向かう最初の宿場町ですから。」

「なら、ワンコとクック―が部屋でくつろいでても大丈夫な宿を探すか。」

俺の言葉にワンコが身体をすり寄せて来る。尻尾もブンブン振れているな。何この可愛いワンコ。クックーは…相も変わらず魔物球の中で飛び跳ねてるな。これの仕組みって本当に謎だ。

「あぁ、それなら私が宿を抑えておきましょうか?カズマさんは街の様子、見たいですよね?」

「あー…そうだなぁ…。」

確かにチアルの言うとおり、この世界の町を見ておきたい気はする。何せ、初めて自分の目で落ち着いて見れる異世界の町だ。俺はしばらく悩んだ末に

「……いや、小さい町でも合流を考えたら一緒に動くべきだな。チアル、一緒に宿探そうか」

「わかりました。」

そう言いながら彼女から武具屋や雑貨屋、道具屋等の看板の目印を教わりながら宿探しを始めるのだった。

ということで宿場町で冒険者登録をするまででした。

次回も説明回になりそうな予感。

主人公のチート生活はもう少し先になりそうです。

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