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8:計画聖女

「本当に…治った…」


「ビサージュ…本当?」



言いながら二人は回復魔法を掛け、治療し終えた場所をペタペタと触り、具合を確認し合っている。

ああー…こうなったら、早くアークシェさんの方も治療したいなぁ~。


あ。あの強面の方は、名前は"ビサージュ"だと教えられた。


んふ~ぅ…。こうなったら、密かにアークシェさんを治療しちゃおうかな~?

もう、バラしたし。良いよね?ね?


そう考えて、アークシェさんに手を伸ばしたところで私は両肩を掴まれ、クルンと向きをチノアの方へ向けさせられた。

眠そうな半眼、熱を含む花の虹彩、驚きに見開かれた瞳…でも、今のチノアは私に新たな視線を向けている。その意味は…



…疑い。



「―…貴方、"上位聖職者"ね?」


「………」



そう。この世界では、僅かな回復であっても、回復は"上位聖職者"しか出来ないのだ。それと、一応、聖女も上位聖職者扱いなのね?

まぁ、細胞クラスに"祝福"を与え、活性化させて治す回復魔法は光魔法に属し、属性レベルが高ければ高いほど高度な基本的治療が可能なのだ。

これに"知識"が加わると、人によっては"大手術"クラスの治療も可能…。

だけど、私はそんな知識は無いから、そこまでは無理。

正直、ビサージュさんの腕クラスの治療が精々だろうな…。あ。でも、骨折くらいなら…?…………もげたら出来なさそうだな…。


でも、今は…



「…約束…」



私はチノアの言葉には答え無いで、自分の要求を口にした。

そう。治療が成功したら、私とアークシェさんを見逃してくれるという話しだ。

チノアは私の方を見て呻く様な声を発してきた。



「…上位聖職者が…何で、絨毯の中に居るのよ…。回復魔法が使える聖職者は、特に神殿外に勝手に…出歩けない筈では?」

「……神殿を、出たかったから…、勝手にした」



言って、チノアから視線を外して横を向く。

あーあ、私、早まっちゃったかな?

でも、一目で売り込む何かを他に思いつかなかったし…。

"慧眼"は聖女限定だから、回復魔法なら稀少でも私だけじゃないから…と考えて使ったんだけど。



「…貴方、これからどうするつもり?」


「この国から別な国に行くつもり、です…」



チノアは私の言葉を無視して質問してきた。

しかし、ここで私は素直な気持ちで答えた。



「関所はどう切り抜けるつもりだったの?…良くも悪くも上位聖職者は、国に"管理"されている。

貴方がどんな理由で神殿から出て他の国に行きたいのかは…面倒だから聞かないけど、すでに"お触れ"が出ているかもしれないわよ?」

「………」


「…貴方、まさかこの商人を使って…」

「アークシェさんにそこまで迷惑掛けられないよ!そんな事は…さすがに考えてない…!!」



アークシェさんは神殿を出るまで。ここから先は…



「…"ここ"から一番近い街…。ギルドが運営している街はどこ?」


「ギルドのある街?」

「そこで…人を雇って、どうにか…!」



そう。アークシェさんとは別れて、そこのギルドで"慧眼"を使って人を雇い、更に武器を購入。

でもここで注意しないといけないのは、以前に討伐関係の旅で手を貸して貰った人物を選んではいけないという事。

あのね、もし、その人物が向かったギルドに居れば、確かに強いし安心出来る。

けど、それは今の私はしない方が良い。

だって、"私"だってバレるし。ね?戦力的には魅力的だけど、大変危険なのだ。


それにしても…。ああ…。思わずアークシェさんの名前を叫んじゃった…。ごめん、アークシェさん…。


そしてチノアはそんな私の態度に「ふ~ん」と軽く返して、私のショルダーバックを指差して笑顔を作ってきた。な、何?



「なら、その金貨で、私達を雇わない?」



サラリと言われた台詞。マジですか、この★5の踊り子さんは。

しかも、「達」って、何?「達」って、複数は…。



「…えっと?!…チノア…と、ここの盗賊団の皆さんという事?」



雇うとしたら、報酬のお金…足りるかなぁ…?



「ん~~…。違うー」

「…じゃぁ…?」



ええ?違うの?

それなら、他に…?どういう意味…。

疑問符がいっぱいな私に、チノアは答えをくれた。




「私と、アガシオン、って事」




そしてそう言うと、チノアは例の左の金の腕輪をフルフルと振って…





「私がアガシオンで守ってあげる。…どう?」





―…では、その…"アガシオン"、………とは?

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