表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

5:脱出聖女

「―…~~や…ろ!」


「―…うっせ…」

「―…は……せ…」


「―…このっ…」



………何だろう…?外が、騒がしい?


私は絨毯の外側から聞こえて来た声に、眠りの淵から意識を僅かに浮上させた。

一体何が起きているのだろう…?



―もぞっ…



「………」



あ…ああー!巻かれた状態だった!身動き取れないよ!!クネクネしてもこれは無理だ~。



「…むぅ…」



ああー、外、どうなっているのかな?

この絨毯…厚手て気持ちイイんだけど、それがかえって"防音"機能に変わっているみたい…。

少しだけ聞こえた男だと分かる、野太い声…。


……あ。もしかして、古い絨毯を処分する場所に着いたのかな?さっきの声は、掛け声?


それじゃぁ、ここでとりあえず待っていれば、いつか開いてもらえるね!



―…ふわッ!



お!?この"浮遊感"…。もしかして、運ばれてる?

んじゃ、確実にこの絨毯を開いてもらえるかな。


そんな事を考えながら、バックが近くにあるのを確認して、私は"開かれる"瞬間を待った。

そしてそれは直ぐにやってきたのである…。




―シュル……ゴロン…ゴロン…




絨毯の紐解かれた…!しかも開かれている!

なら、今、だね!そーれ、ゴロゴロゴロゴロ~~!


私は自分を覆っていた絨毯の端が取り払われたと同時に、そこから転がり出た。

そしてその勢いのまま、私の進行方向に立っていた人物に体当たりした。

…本当は体当たりして止まる予定では無かったのだけど、勢いで…。


…って、あれ?


この足元…知らない…。アークシェさんじゃない…。や、やだ…恥ずかしいぃいいぃい……!

私の予定ではアークシェさんの前に転がり出て、"「脱出、大成功~~~!!!」 → ハイターッチ!"という流れのハズが…!?

あ、謝ろう~…。一応、謝ろう…。思いっ切りぶつかってしまったし。

そう思って顔を上に向け様としたら、声が降って来た。



「…オイ、ガキ……」


「ひっ…ひぃ!?」



私を見下ろしていたのは、悪人面…。あ、いえいえ…強面の渋カッコ良い……ぃいぃいぃ。ダメ、コワイ…!

そんな感じの大男に、万歳の格好な私は上から睨まれている!?



「こ、ここ、ここは…!?」


「…あー?ここはなぁ、"金輪と黒爪"って言う、盗賊団のアジトの一つ、だ。坊主」



と、う、ぞ、く、だ、ん!?



何故か親切に与えられた答えに"ピシリ"動きを止めた私を、横から他の盗賊が簡単に担ぎ上げた。どうやら回りにたくさん居たみたい…。

あ…ぅ。高くて、地味にコワイ…。周りが薄暗し、緊張で色々処理出来ない。

そして私は、簡単にぐるりと鉄格子で作られた動物の檻…に"ぽいっ"と入れられた。

でも、そこには…



「シオーネ…」


「アークシェさん!?」



ややグッタリとしたアークシェさんが、私に声を掛けて来たのだ!

顔や腕には痣やうっ血…浅いと思うけど、切り傷も…。服もところどころ破けているし…。


わ、私のせいだ…!

アークシェさんに脱出をお願いした、私のせいでこんな事故に…。



「い、今…!治しますね…!!」


「…いや、まだこのままで…」


「は、はぁ!?どうしてです…!?私はこれでも一応…まだ…回復魔法を…」

「しっ!…だから、ですよ。俺が急に治ったら、怪しいじゃないですか」

「…う…!」


「だからです。お願いする時はまた言いますから…」

「分かりました…」



…どうやら私とアークシェさんは盗賊の一団に襲われ、こうして捕らわれてしまった様だ…。


何でも、アークシェさんは私を脱出させた後、長期で本当に行商で世界を巡る旅に出るつもりだったのだそうだ。

私を逃がした後の身の振り方を、その様に考えていたとは…。

こんな私でも、実は世間からの『聖女脱走の手助けをした』という事実は案外重いものなのかもしれない…。



「…アークシェさん、ごめんなさい…。私、自分の良い様に色々と軽く考えすぎてました…。この事態だって…」

「あはは。別に気にしなくて良いのに。これは"事故"だよ」



言いながら私に笑いかけるアークシェさんに、「何か私に出来る事があれば…!」と何回も食い下がったらこんなお願いを寄越された。



「…ではシオーネ、君の"慧眼"でいつか私に"良い人"を紹介して欲しいな」

「へ?」


「俺はね、行商をしながら、そろそろ嫁さんを捜そうと思っていたんだ。

その…俺の旅、…行商の旅も一緒にこなしてくれて…ある程度の戦闘が出来そうな人が良いんだ」



そして聞けば、アークシェさんは子供の頃に両親が他界、父方の祖父が引き取られ、商人であった祖父に跡取りとして鍛え上げられたそうだ。

行商業な彼は色々な物を仕入れ、卸し、彼の本拠地は王都であるものの、本人も好んで人を雇って色々な土地へ商品を運んでたんだって。

お祖父さんはどこに居るのかと聞けば、まだ現役で今は南の方に行っているのだそうだ…。ぱわふるお祖父ちゃんですね…。逞しい。

…あ、そうか!お祖父ちゃんに孫を抱っこさせたいんですね?お祖父ちゃん孝行ですね、アークシェさん!!



「…良い、ですよ!私はすでにアークシェさんにいっぱい協力して貰っていますから、私に出来る事があるようで嬉しいです!

では、アークシェさんの希望…理想の女性の容姿はどのようなのか、教えて下さい。

ご希望の女性を見かけたら、その方に"慧眼"を試してみようと思います。

あ!もちろん、アークシェさんが気になる方が出来た時は、私に教えて下さいね!」


「宜しいので?…では、俺の希望としては…」



ここで言ってきたアークシェさんの希望は…



髪色や瞳の色は特に拘らないのだそうだ。ちなみにこの世界は髪も瞳の色も多岐に亘っている。ま、"ファンタジー"な世界観なのである。

背は自分より低ければ良いから、女性的に高めでも構わない。ちなみにアークシェさんは背が高いから、あまり気にしなくて良さそう。

年齢はそんなに離れていなければ、特には…らしい。見た目前後5歳くらいかな?なんとなくね。ちなみにアークシェさんは25歳なんだって!

顔の造形と性格としては、気がちょっと強いそうな方が好みだと教えられた。


うん。これを元に捜してみようかな!


そして、『慧眼』で分かるのは、その人の常識・道徳・価値観が『信仰』として"高い"か"普通"か"低い"か…って事。これは様々な人間関係で変化するわ。

それと魔力の属性。四元素と光、闇の配合具合が10段階で魔法の使用可能か不可能かに係わらず見えるの。属性耐性もここから大まかに判断出来るのよ。

後は、どのくらい戦闘に長けているかや存在自体の稀少性ね。これは星の個数で表されてくるの。ま、所詮"レアリティ"ね。

星は1~7まで。『★』の星が多い方がレアなのよ。

それとレア中のレアには『覚醒』があって、何かのきっかけで覚醒をすると、レアリティや能力値が格段に上がったりもするのですよ。

あと、特殊能力持ちならそれの説明、それ以外でもたまに何らかの情報が見えたりするのよ。

そうそう、戦闘に不向きなら、それも表示されるわ。


だから、今の状態の私なら…



聖女[覚醒|封印状態]/信仰・普通/炎7・水8・風7・大地9・光9・闇8/★★★★★★★[封印]

特殊能力/慧眼・封印[限定]・浄化[限定]・回復[小]・解毒[小]

戦闘不向き



ちなみに覚醒状態で私は『★7[覚醒]』になるの。

自分の聖女の能力は結構"壊れ"だから、コレを基準にしないのが大事。

そして、失礼ながらアークシェさんは…。チラリ…



商人/信仰・普通/炎4・水3・風3・大地5・光3・闇2/★★★★☆☆☆

特殊能力/鑑定眼・値段交渉・審美眼



一般人は大体、『★』、街の喧嘩自慢程度で『★★』ね。

私の元仲間の三人は『★6』、冒険者として見れば、アークシェさんの『★4』は結構強いわ。

あら?特殊能力、3個持ちなんだー。ま、ここも人生経験等で増えたりしますがね…。


それなら、私達を見てきた強面盗賊はどうかと言いますと…。チラリとな……



盗賊/信仰・低/炎3・水3・風6・大地2・光1・闇3/★★★★☆☆☆

特殊能力/罠解除[中]・楽器演奏



…なるほど。戦闘時の力の具合が拮抗して、頭数で負けた感じ…かな?

そして、この盗賊も『★4』?

しかも。特殊能力で"楽器演奏"が…。……趣味、なのかな?



「…なるほど~。…わっかりまし…」



―ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!!



「うっせーぞ!さっきから勝手に喋るなッ!」


「ひっ!?」

「…………」



下っ端盗賊に檻を蹴られたー!こわい!こわい!こわい!!

とりあえずお口をチャックしておこう!


それにしても…




……分かったんですけど…、この状況、どうしましょうかー!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ