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17:菓子聖女

「~~~はぁー…やっと休憩だぁ~~…」



初めて…の事が多すぎで処理落ちしそう…。

今現在…私は少しでも基礎体力を上げる…訓練等をしているの。付け焼刃だけど…。



「役者ってのは…結構体力勝負で大変だな…」

「はい…」



ううう~~…。声を出さないといけないから習った発声練習や、諸々の運動が~~。息が…上がる…。

ローヴァルさんは基礎体力十分そうだから羨ましい…。


ああ…癒し。…早くも何か癒しがほし…



「ピィ~!」



ン!?このタイミングでこの声は…。




「…あ!小鳥さんだ!」

「…?」



足元もとに白い色の花を数本掴んでいる。あ!あの薬草の花だ!


そして黒い小鳥さんは私の頭上を数度旋回して、座っている私の太腿に降り立った。

"パラ…"と花は私の上に撒かれ、小鳥さんはその中から花を一本咥えると、私に"クィ!"と差し出してきた。



「え?私にくれるの?…ありがとう」



向けられた花を嘴から受け取り、私は微笑んだ。

もしかして、ディーさんの手紙を運んで来た時に一緒だったこの花を覚えて、私にこうしてくれたのかな?

そうで有っても無くても、色々賢い小鳥さんだなー。


貰った小花を指先でくるくると回していたら、、クッキーの事を思い出した。

そう。この小鳥にお礼をする為に、私はマーデカミーアの実のクッキーを買ったのだ!

そこで私は太腿に散らされた小花をまとめ、小鳥の前に指を出すと、そこに"ぴょん!"と飛び乗ってきてきてくれた。

そしてその指を…



「ローヴァルさん、ちょっとこの小鳥さん、見ててもらえますか?」


「…は…?…ぁ、ああ、分かった」



小鳥出現で、ちょっと空気めき始めていたローヴァルさんに私は小鳥を託そうと思ったの。

ローヴァルさんは一瞬驚いた様だけど、直ぐに引き受けてくれて、小鳥の前に指を差し出した。

しかし小鳥はそんなローヴァルさんの指には乗らず、パタパタと幌馬車の幌の部分に停まり、「ピィー!」と鳴き声を上げた。



「あれ?ローヴァルさん、振られちゃいました?」

「…その様だ…」



私は小鳥の方を向き、次に視線をローヴァルさんに合わせれば、彼は何とも微妙そうな表情をしてた。

幌部に停まっている小鳥さんは動く気配が無いから、今の内にクッキーを取って来ようかな!

そして私はローヴァルさんに事情を説明して荷物に向かい、クッキーを荷物から取り出してから小花をその上に置いた。


買ったばかりだから、大丈夫だと思うけど…。


そんな事を考えながら戻ったら…………



「……………」

「……………」


「?」



どうしたというの?ローヴァルさんと小鳥さんが……何かにらみ合いをしている様に感じるのだけど…?


………ま、まぁ、気を取り直して…。



「お店で少し味見をさせてもらったんですけど、美味しかったんですよ~」



そして買ってからのは悪くなるといけないから、まだ封は切ってない。

早い時に小鳥さんが来てくれて良かった~。

私はイソイソと特殊加工されて密封状態な半透明な紙袋の上部を"バリッ"と開き、中からクッキーを一枚、摘み出した。

クッキーは"マーデカミーアの実のクッキー"。クラッシュされた乳白色の木の実が軽くシットリ気味のクッキー生地に練り込まれているのだ。

そして、それを小鳥さんの前に差し出せば…



―サク…サクサク…サクサク…



ヤッタ!人に慣れてそうだから、手から直に食べてくれるのではと少し期待していたんだよね!

だって、元の世界でだが、施設の近くの公園の鳩は最初は巻いた物から段々と私の手から並ぶ様にお菓子を食べるようになったし!



「わぁ!ローヴァルさん、見て下さい!私の手から直にクッキーを食べてくれてますよ~~~!!」

「…そうだな、とても人に………慣れているんだな…」

「そうですね!慣れているんですね~…。うふふ~」

「ははは…そうだなァ…はは…」



あ、あれ?何で小鳥さんを見ながら、そんな暗い半眼なんですか。ローヴァルさん…?

…あ!もしかして!



「ローヴァルさんも、小鳥さんにクッキー上げます?これだけ慣れていそうなら、初めてのローヴァルさんの手からも食べてくれそうですよ!」

「いや、俺は…しない。遠慮する。ヴィジュアル的な問題が…。………いや、何でもない…」



え?そうですか?ヴィジュアル的な問題?意味が分かりませんけど、なら…



「ローヴァルさんも、クッキー、食べます?」



余っている片手でローバルさんにクッキーを一枚、差し出したら…。



「頂く」



短い返答と共に私の手を素早く掴んで、口元の布を持ち上げてそのまま"パクリ"と…。

あ。少し口元が見えた…ラッキー……って、ちがぁああぁう!!!

な、な、な!何を!?私の手から、クッキーを!? クッキーを!?クッキーを………食べた!?

一口、二口…と食べてから私の手からクッキーを抜き去り、自分の手に持ち直して全部食べた後、私に話し掛けてきた。



「―…確かに美味いな。このクッキー、人気なんだって?」

「は、はい!人気のマーデカミーアのクッキーでしゅ!」



あ!咬んじゃった!?だって、何だか一気に焦ってきた…から…!



「シオも、ほら…」

「へ!?は!?」

「美味いぞ?…まだ少ししか食べてないんだろ?」

「ひゃ、ひゃいッ!?食べておりましぇぬ!?」



ローヴァルさんの手に持たれた、人気のクッキーが私の口元に…!?

緊張と焦りでカミカミな上に、言葉の言い回しも怪しく変化してる!

そしてローヴァルさんは「シオ」と言いながら、更にクッキーを私に………ぅ、わああアあアアァあああぁ!!?


……そしてその時…



―ヒョイ!…サク…サク…サク…サク…サク…



「―…むぐ…。…イー感じなトコロ悪いのだけど、そろそろ特訓の再開、だよー?……あ、本当だ。美味しいー」


「……………」

「……チノア!」



助かった!?助かったって表現が合っているか分からないけど、助かった…!



「ピィイ!!」

「…って!」



そして地味に小鳥さんに手を啄ばまれているローヴァルさん…。手の皮が伸びてます…。

…そうか。きっと小鳥さんは、クッキーが減っていくのが気になったんだね!?



「小鳥さん、大丈夫だよ!クッキーはまだあるから!はい!」


「ピ!?…ピィイィ~~~…ピィ…ピィ…ピィ…」



え?何でそんなガッカリした感じなの…?

クッキー食べたくて、クッキーを丸々食べたローヴァルさんに怒ったんじゃないの???

でも、「ピィピィ」と弱々しく鳴きながら、私の手からクッキーを再び食べ始めた小鳥さん…。やっぱり、そうなんじゃないのかな?



「…シオ、その小鳥、随分シオに懐いてるね?」

「うん、チノア。手乗りも出来るんだよ~!賢くて可愛いよねー?」

「ピピピピピ~!」



あ。小鳥さんがクッキーを食べるのを止めて、私の声に反応して肩に停まって頬に小さな頭をスリスリしてくれてる!デレ?デレてるの?

あれ?でも、なぜにローヴァルさんの方を見て、「ハン!」って勝ち誇った雰囲気なの?

そしてローヴァルさんはまたあの半眼になっちゃってるし…。どーいうことー!?



「ン~~~~…黒いのが気になるけど…、その小鳥も劇に協力してもらおうか?」


「えッ!??」

「はぁあ!!?」



…あれ?ローヴァルさんもそんなに驚いてるの…?何で???

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