ルーチェ 初陣
スノウとカノンの初の戦闘から約1日後、
スノウ、カノン、カンナ、アリサは各々用意された部屋で一夜を過ごした。
今はAM7時。
スノウが着替えをすましミーティング室へ来る。
「あ、おはよう!早いのね。」
フランがスノウを迎える。
「おはようです!なんか珍しく目が覚めて、2度寝はいいかなって起きてきちゃった感じです。」
スノウはフランと向かい合う席へ座る。
「まあ、旅館とは全然違う場所だからねー。ぐっすりってのが難しいよね。」
フランが言う。
「どう?体に痛みとかはない?」
フランが心配する。
「大丈夫っすよ!この体頑丈なのが取り柄なんで!…まあ、昨日の談笑中に地味な怪我した気がするけ
ど…。」
スノウが話す。
「どうせスノウが余計なこと言ったんじゃないの?」
フランは的中させる。
「ま、まあ俺が言った…か…。もっと考えて発言しないとなー。」
スノウが考えるそぶりをする。
「そうだよ!反省しなさい!」
っとカンナが起きてくる。
「はいはい…気を付けるよ!まな板さん!」
スノウが笑いながら言う。
「な!今のはわざとでしょ!!」
カンナが席を立って逃げるスノウを追いかける。
「わざとだよー。」
スノウは軽やかに逃げる。
「こらー!待てー!」
カンナは手を挙げながら追いかける。
「もうそんなに仲良くなったの?適応力が高いというかなんというか。」
フランは笑う。
「朝から何騒いでるの?」
とアリサが起きてくる。
「あ、アリサ!スノウ捕まえるの手伝って!」
カンナが起きたてのアリサへ言う。
「え!お仕置きの時間?スノウタイム?」
アリサが目を大きく開けて聞く。
「え?何その時間?初耳なんだけど?悪意しか感じないんだけど?」
逃げながらスノウが聞く。
「昨日夜ににあたしたちで決めたんだ!いい感じじゃない?
とアリスが言う。
「いい感じなわけあるか!そんな時間あってたまるか!
スノウが反対する。
「あったほうがいいと思うけどなー。」
とカノンが起きてきて言う。
「捕まえた!」
とカノンがスノウをつかむ。
「な!どんだけタイミング悪いんだよ!」
スノウがもがく。
「すばらしいでしょ!」
カノンが自慢げに言う。
「さーて、今回はわざとらしいからどうしてあげようかなーー。」
とカンナが近づく。
「待って!3対1ってずるいだろ!」
スノウが抗議する、が、
「性別のハンデってことで!おりゃ!」
と言いながらスノウの頬をカンナがつねる。
「じゅるいって。」
スノウが弁解する余地はなさそうである。
朝からふざけあってる4人は朝食をとり8時になりミーティングが始まる。
4人ともさっきまでとは打って変わり真面目な雰囲気である。
「今回の会議は連絡というより4人に慣れてもらいたいことが多くある。」
リーダーことグレイが話す。
「慣れること?」
とスノウが聞く。
「そうだ。昨日君らから注文を受けた装備がそろったんだ。さっそく実際の動きを確認してほしい。」
とグレイが話す。
「え、もう!?早いんですねー。」
とカンナが驚く。
「でも、あいつらが来ないうちに慣れておきたいしちょうどいいですね!」
とアリサが言う。
「そうだな。今から向かってもらいたいんだがいいか?」
とグレイが聞く。
「あたしたちはいつでも準備万端ですよ!」
とカノンが言いほかの3人がうなずく。
「そうか、頼もしいな。ではウェポンルームへ行ってくれ!」
グレイが言うと、
「了解!」
と4人が向かう。
ウェポンルームへ着いた4人はある1人の男性に声をかけられる。
「お、来たか。」
声をかけてきたのはトール・サリス。
整備士だ。
真面目でメイカーのリーダーである。
「どうも!もう俺たちの装備が来てるんですよね?」
スノウが問う。
「ああ、戦闘服は各フィッティングルームにおいてある。着替えてきてくれ。」
トールが言う。
「はい!」
と4人が着替えに行く。
「あいつらがこれからの主戦力なのか…。」
トールがつぶやく。
「情けないものですね。俺たち大人ってものは…。」
と言ってきたのはグレイの補佐をしている副リーダーことリョモウ・トンプソンである。長いひげに優しい
目が特徴である。
「なんだ、あなたも来てたんですね。」
トールが言う。
「ああ、俺らの希望だ。ちゃんと手伝えることはしないとな。」
リョモウが話す。
「そうですね…。」
とトールが言うと4人が着替え終わり集合する。
「お、いい感じか?」
とリョモウが聞くと、
「あ、リョモウさん!来てたんですね!結構動きやすいしいいですね!」
とカンナが言う。
「あ、あなたが副リーダーのリョモウさんなんですね!初めまして!カノン・ハートです!」
とカノンが元気よく自己紹介する。
「俺はスノウ・アレンです!よろしくです!」
スノウもあいさつする。
「ああ、よろしく頼む。」
リョモウも答える。
「じゃあ、次は武器も装備してみるか。」
とトールが言う。
「そうですね。」
とアリサが答え4人が武器をつけていく。
「なかなか重!」
とアサルトライフルを持ったアリサが言う。
「それは…ねぇ。」
とカノンが言うと、
「なによ!」
とアリサの小さな怒りの声が聞こえる。
「いや!なんでも…。」
といつもの雰囲気で装備していく。
「よしっ!できた!」
と4人がトールたちのほうへ向く。
「ふ、どこかの特殊部隊みたいだな。」
トールが微笑んで言う。
「まあ、俺らはSHTのルーチェだからな!これくらいの装備でなきゃ示しがつかないだろうさ!」
スノウが笑いながら言う。
「そうだな。お前たち4人は俺たちDMCの…いやこの国の希望だ。頼むぞ。」
とリョモウが言う。
「…ふー。」
と4人が言ったあと、
「了解!!」
と元気よく右手を握り前に突き出した。
直後、サイレンが鳴った。
「緊急事態!緊急事態!ココット町に再度ゴブリンが発生!繰り返す…。」
それを聞いたスノウは、
「へへ、早速初陣か…。行くか。」
と4人がミーティングルームまで走る。
グレイとフランを含めた数十名が話し合っていた。そこへルーチェが着いた。
「来たか。うん。装備も完璧のようだな。」
グレイが確認する。
「ああ、準備はできてるぜ!!」
スノウが言う。
「今、どういう状況なんですか?」
カンナが聞く。
「ココット町にゴブリンの反応が数体確認できたわ。今先行部隊が出発したわ。」
フランが答える。
「詳しいことはわかっていないが被害を少しでも抑えるためにもルーチェに出動してほしい。」
グレイが言う。
「そうだね。前みたいにならないためにも。」
カノンが言い、4人に前回の悲劇が思い出される。
「行こう!あたしたちは武器もそろったんだし戦いやすいはずだよ!」
アリサが言う。
「そうだな。リーダー、指示を!」
スノウが言う。
「…ありがとう。ルーチェにはココット町の防衛を頼む。命令は2つ。死ぬな。死にそうになったら逃げ
ろ。以上だ。」
グレイが言う。
「了解!」
4人が声をそろえる。
「それじゃあ、そとにある特殊車両に乗って!」
フランが言うと同時に4人が走り出す。
5人が外に出ると、車両が目の前で待っていた。
「来たか、乗れ!」
と運転手が言う。
「はい!」
5人が乗る。
「ココット町まで急ぎでお願いします。」
フランが言う。
「ああ、とばすぞ。」
車が走り出す。その間にフランは情報収集のの準備を、スノウ、カノン、カンナ、アリサは武器を確認す
る。
「大丈夫?怖くない?」
とフランが聞く。
「うーん、怖くないって言ったらうそになっちゃうけどあたしたちならできる気がする!」
とカノンが言う。
「そうだな。準備は完璧だし、今回は5人で戦える。それだけで今までよりかなりましってことさ。」
とスノウが話す。
「まだ詳しい状況は入ってきてないんですか?」
とアリサが聞くと
「待ってね、うーん、まだ入って…」
とフランが言った途端、
「!!いや、通信が入ったわ!みんな回線をオープンにして!」
とフランが言い全員が通信を聞く。
「…こちら先行部隊隊長アウル。現在ゴブリンと戦闘中。数は10。苦戦を強いられている。追加の援軍を
要請する。」
と通信が入る。
「え?追加?私たちが初めの援軍じゃないの?」
とアリサが聞くと、
「いや、もうすでにルーチェみたいな戦闘員が戦っているぞ。仲間じゃないのか?」
アウルが聞く。
「あたしたち以外の能力所有者?」
カノンが言うと、
「仲間がいるってんなら最高じゃねぇか!俺たちも早く行こうぜ!」
とスノウが大きい声で言うと、
「あと1分もかからず着くぞ!」
と運転手が言う。
「了解。可能な限りの応戦を続ける。」
と通信が切れる。
「なんか不思議なことがあるけど、大丈夫かな?」
とアリサが言うと、
「行ってみなきゃ何もわかんないし、あたしたちも心の準備をしなきゃ!」
とカンナが言う。
「カンナの言う通り!戦いは任せるわよ!」
とフランが言うと
「よし!見えた!」
と車が止まる。そして、ドアが開くとゴブリンと戦っているDMCのハンターが見える。
「さてと…行こうぜ!!」
とスノウが言うと同時に4人が車から降り走り出す。
「敵は目の前にいる!」
とカンナが言い、
「あたしたちは1人で戦うんじゃない!」
とアリサが言い、
「あたしたちならできる!」
とカノンが言って、
「頼むぜ…俺たちの…力!!」
とスノウが言うと、4人の武器がオーラをまとう。
「任務…開始だな!」
とスノウが言い、
スノウ「や――ってやるぜ!!」
カノン「や――ってやろうじゃん!!」
カンナ「や――ってやるわ!!」
アリサ「や――ってみせる!!」
と言い武器を構える。
ルーチェの初陣が始まった。
先に戦っていたハンターがゴブリンに吹き飛ばされる。
「ぐはっ。」
1人が倒れる。
「おい!大丈夫か!」
と近くのハンターが聞くが、
「!!」
ゴブリンがオノをかかげていた。
「くそっ…。」
殺されると思った次の瞬間、
「ダンッダンッ」
と銃声が聞こえゴブリンが退く。
「なんだ!?」
と後ろをハンターが向くと、
「やらせるかよ!!」
とスノウがハンドガンを連発する。
「ぐぎゃ!」
とゴブリンが膝をついたところを、
「はぁぁぁぁ!!」
とカンナの矢がゴブリンの腹に刺さり、
「ぐ!」
とゴブリンがうめき声をあげ前を見ると、
「たぁぁ!!」
とカノンが長い刀を振り下ろす。
「ぎゃぁぁぁ…。」
とゴブリンが倒される。
「大丈夫ですか!!」
とアリサが吹き飛ばされたハンターのもとへ駆け寄る。
「あ、ああ。なんとか。」
とハンターが言うがとても苦しそうである。
「ここは俺たちに任せて下がって!」
とスノウが言う。
「っ、すまない。」
と後ろにもう1人のハンターの肩を借りながら下がる。
「ふぅ。1体は倒せたな。」
スノウが言う。
「ええ、だけどやっぱりかなり辛いね…。」
とカノンが言う。
「ってか、1体1体がタフすぎるよ!人間だったら弾3発も入れられたら死んじゃうっての!!」
とカンナが言う。
「確かにね。でも、愚痴ってても変わらない。がんばろ!!」
とアリサがはげます。
「アリサがいいこと言ったところで、お出ましのようだな。」
とスノウが言う目の前には6体のゴブリンが見える。
「そうみたいだね…。数では不利か…。」
カンナが言うと、
「なら、そこはコミュニケーションでカバーってことで!!」
カノンが言う。
「OK!量より質ってこと見せてあげなきゃ!」
とアリサが言う。
6体のゴブリンが大きい足音を立てながら走ってくる。そして、
「センメツ。」
とつぶやく。
「へへっ…やれるもんなら…やってみろ!!」
とスノウが叫び4人が迎え撃つ。