再会
あの事件のあとスノウとカノンは車に乗せられ大きい施設「DMC」に連れてこられた。
「DMC?」
とスノウが訪ねる。
「ああ、そうだ。ディフェンシブ・ミリタリー・コープ、訳してDMCだ。俺たちはドムと呼んでいる。」
そう答えた彼は、グレイ・ホープで2人を助けてくれた本人だ。
DMCではリーダーと呼ばれている。
スノウとは5年前に1度あっている。
濃い目のひげに目力の強い目、強調されるとがった鼻で短い黒髪が立っている。
「なんでこんな施設がこんなところに?ここは市街地とは言えない田舎なところですよね?」
カノンが問いかける。
「そうだな、説明しといたほうがいいな。」
とグレイが言う。
「ここは、対ゴブリン施設で俺たちはやつらから民を守るように国から命令を受け、結成されたいわば裏の組織だ。やつらと戦うハンター。通信、情報を解析するオペレーター。けが人の治療を主にするヒーラー。やつらと戦うための武器を作るメイカー。以上4部隊で構成されている。ここで活動しているのは資源が豊富であり、人の目につきにくいからだな。」
とグレイが説明しているところに、
「ちょ、ちょっと待ってくれ。ゴブリンというのはあいつらモンスターのことなのか?」
スノウが問う。
「そうだ。あいつらの外見が神話に出てくるゴブリンに似ているから俺たちがそう命名した。」
グレイが答える。
「じゃあ、なんで私たちがここに連れてこられたの?」
カノンが言う。
「それは…お前たちがゴブリンと対等に戦えていたからだ。そして、俺たちはスノウからよくわからないオーラのようなものをレーダーで検知した。それが理由だ。」
グレイが淡々という。
「じゃあ、カノンはここにいなくてもいいんじゃな…っ!?」
カノンを返すよう言おうとしたスノウへ痛みが襲う。
カノンに周りにはみられない速さでつねられたのだ。
スノウがカノンに一瞬にらみつけられた後、
「早く本部をみてみたいなー」
とカノンが言う。
「そうか。ここから右前に見えるのが俺たちの本部だ。行くか。」
とグレイが答える。
「はーい!」
カノンが元気に答える。
そして小さい声でスノウに、
「あたし、絶対スノウから離れないから。」
と言う。
「ぁ、ぁあ。わかったよ。」
スノウも観念して答える。
「にしても痛かったなー」
とスノウが愚痴をこぼすと、
「誰が悪いのかなーー(^^#)?」
とカノンが笑っているが怖い雰囲気で言う。
「は、はい、すみません。」
とスノウは恐縮して言う。
「何してんだー?はやくしろー」
とグレイに呼ばれ、
「今行きまーす!!」
とカノンが走っていき、
「はぁーあ、先が思いやられるぜ…。」
とスノウもついていく。
中に入ると、真ん中にバカでかい机に壁のほうへは多くの機械、多分レーダーなどだろう。
そして、オペレーターらしき人が調査などをしている。
そこへ3人は着きスノウとカノンが唖然としていると、
「スノウ君?」
と声をかけられる。
「え?…ぁ、たしかあなたは…フランさん?」
とスノウが疑問調で答える。
「そう!やっぱりスノウ君か!!大きくなったねーやっぱり5年もたてば男の子って感じになるねー」
そう答える彼女はフラン・バーンズ。
20歳である。
黄色の髪が特徴でいつも後ろで2つに束ねている。
大きい目にいつも右頬に絆創膏をつけている。
5年前にスノウに1度会っている。
「まあ、あの時は12でしたからね。フランさんもけがは治ったみたいでよかったです。」
とスノウは言う。
「私は丈夫なほうだからね!今は何ともないよ!…ところで…もう1人は彼女?」
とフランがにやけながら聞く。
「へへ、フランさん、ご冗談を…ぐ!?」
スノウはまたもやつねられる。
「冗談はやめてくださいよーあたしはカノン・ハートっていいます!スノウと同じクラスメイトです!!」
とカノンが元気に答える。
「あ、そうなんだ!ごめんねー早とちりしちゃった。」
とフランが答える。
「いえいえ、全然大丈夫ですよ!」
とカノンも言う。だがスノウは小声で、
「俺は全然大丈夫じゃねぇんだけどな…。」
と言う。
直後チャイムが鳴り本部へ多くの人が集まる。これは会議のチャイムのようだ。そしてグレイが、
「スノウとカノンも出席してくれ。」
と言う。
「了解です。」
2人が答え会議が始まった。
15分ほどで会議は終わりスノウとカノンはフランに連れていかれレストルームへ着いた。
「ふー、疲れたーーー、お固い雰囲気はやっぱり苦手だなーー」
とスノウはソファに座りながら言う。
「あたしもなんか緊張しちゃってあまり話し覚えてなーーい。」
とカノンも隣のソファに座り言う。
「お疲れさま!わたしもあまりああいう雰囲気は好きじゃないんだよね・・・」
とフランも言う。
「フランさんが苦手なんじゃ俺らはいつまでたっても無理そうだなーー。でも1つは確実に覚えてるよ。」
とスノウが言い、
「ようするに俺とカノンはハンターとして戦えってことでしょ?」
と聞く。
「そういうことなんだろうね。」
とカノンが言い、
「また…あいつらと会うのかな…。」
と続ける。
「いやだったらやめたほうがいいんじゃない?2人の安全の保障はされていないんだし、もしかしたらスノウ君が先頭として戦うことになるかもしれないんだよ!」
とフランが心配そうに言う。
「いや、俺は5年前と同じ過ちを犯したくない。…それに…あいつらはみんなの仇だ。復讐でも何でもしてやるよ。」
とスノウが怖い顔で言う。そして、
「あと俺のことはスノウでいいですよ!年下なんだし。」
さらにスノウは続ける。
「でも…俺のさっき出した青い光…もう1回出せる保証はないんだよなーーー。」
と言う。
「でも、あの光がなきゃまともにやりあって勝てる相手じゃないよね…あたしにいたっては凡人の力しかないし…。」
とカノンが悲しそうに言う。
「任せろ!!俺の周りにいる奴はだれ1人死なせはしないさ!!」
とスノウが強く答え天井を見ながら、
「あんたとの約束…守ってみせるよ。」
と言う。
「たしかに、あたしがやられそうになった時に走り寄ってゴブリンを倒してくれた時のスノウは…かっこよ
かったよ…すごく。」
とカノンが恥ずかしそうに言う。
そしてスノウは少し間をおいて、
「…え?…お前って…そんなキャラだったけ?」
と言う。
直後カノンの顔が真っ赤になり、
「あーもう!!もっとちゃんとした返しをしてよ!!せっかく褒めてあげたのに!!あたしだけなんかすごく恥ずかしいじゃん!!」
と軽く怒りながら言う。そして、
「このバカ!!アホ!鈍感!!」
とクッションなどを投げてくる。
「ぉい危ねぇって!悪かった!カノンがいつもと違う少女漫画に出てきそうなキャラだったからさ…つい…。」
とスノウが軽く笑いながら言うと、
「言うなぁぁぁぁ!!もう!最低!!」
とカノンが怒ってスノウを追いかけまわすところをフランが見て、
「うふふ、仲がいいのね!」
と茶化す。そうすると
「フーラーンーさーんー(#^ω^)」
とフランのほうへカノンの怒りの矛先が向く。
「ぇ、ちょっと、冗談だってば!!」
と言いつつカノンから逃げる。
「待てぇぇぇ!!」
とカノンが言いながら走り、
「ごめんなさーーい!許してーー。」
とフランは逃げスノウは遠くから見守っている。
「ふーー、助かった…。」
とふざけあっていると突如サイレンが施設全体に流れる。そして、
「緊急事態!緊急事態!ゴブリンがココット町に発生!」
と放送が流れ咄嗟に先ほどまでのおふざけモードではなくなり、スノウ、カノン、フランは真面目な雰囲気になり本部まで走る。
本部に3人がたどり着くと、グレイを含めた隊長らしい人たちが多くいる。そして、
「来たか。」
とグレイが言う。
「俺たちはどうすればいいですか?」
とスノウが聞く。
「そうだな、いきなりで悪いがココット町に向かってくれないか?」
とグレイが言う。
「やっぱり、そうなりますよね。」
とカノンが低いトーンで言う。
「すまないが、君らは強い。向かってもらえないか?」
とグレイが頼むと、
「分かりました。行きますよ。」
2人が決心する。
「すまないな。武器はまだあまりなくてな。ここにあるハンドガンと刀を持って行ってくれないか。」
とグレイが言う机の上には本物のハンドガンと日本刀らしきものがあった。
「これは…本物…ですよね…。」
とスノウが訪ねると、
「ああ、実弾もある。10発入っている。代わりのマガジンは5個ずつだ。この日本刀は数少ないあいつらと戦える武器だ。2つとも使い方はわかるか?」
とグレイが聞くと、
「分かるわけないでしょ。俺たちはただの高校生なんだから。まあ、俺もカノンも剣道はやってたけど…。」
とスノウが言う。
「あたしも銃なんてドラマとかでしか見たことないよ…。」
とカノンも不安そうに言う。
「そうだよな。だったら、今回は…。」
やめとけっと言おうとしたグレイの言葉をさえぎって、
「でも、俺はやるよ。やらなきゃならないんだ。」
とスノウが覚悟を決める。
「あたしも、やってみせます。」
とカノンも続く。
「すまないな。2人とも。」
とグレイが頭を下げる。そして、
「命令は2つ、死ぬな。死ぬ前に逃げろ。それだけだ。」
と大きい声で喝を入れる。
これを聞いたスノウとカノンは
「了解!!」
と勢いよく答える。
そして外まで走る。
「わたしが2人をサポートします!」
とフランが言いオペレーターの席へ着く。
「よし。全員オペレーションイエロー!!ハンターを全力でサポートしろ!!」
とグレイが言うと、
「了解!!」
と本部全員が答える。
その後スノウとカノンは戦闘車両5号車に乗りココット村へ向かう。
DMCとしての最初の戦いである。