夜空を詰め込んで。≪女子力≫
続いて、女子力が高い女の子のお話です。
それでは、どうぞ↓
あぁ、今年もこの季節が来た。
そう、バレンタインだ。
2月12日の放課後。
「哲也(てつや)君、これ、受け取って!」
「哲也君、私もがんばったから!」
「哲也君、カップケーキ好きだって言ってたよね!?」
そう言って、僕の周りにたわむれる女子たち。
今年はバレンタインデーが休日だから、今日がピークになるのは確実だった。
「あ、ありがとう…」
僕はそう言って、(一応)微笑む。
「キャ――♡♡」
僕が何か言うたびに、女子たちは大声で叫ぶ。
いったい何がしたいのだろうか…?
僕には全く理解できなかった。
「はぁ…やっと帰れる。」
全員から甘いお菓子をもらうと、それをかかえてまっすぐ家に向かった。
こんなに甘いものばかり食べていると、虫歯になりそうだ。
((今年はもらえなかったな…))
僕は隣の家の莉絵(りえ)が好きだ。
本人に言ったことなんてないが。
去年まではもらえていたのだが、もう中学生だし、ダメだろうと思った。
家までの道のりがとても長く感じた。
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夕飯を食べ終え、自分の部屋へ戻ろうとした時だ。
「哲也ー。莉絵ちゃんがきたわよー。」
母が僕を呼んだ。
((まさか…!?))
期待を胸に、僕はどたばたと玄関へ向かった。
僕を呼んだ母の顔はとてつもなくにやけていた。
「てっちゃん!!」
莉絵はぱぁっと笑顔になった。
「おう。…どうした?こんな時間に。」
「実は…はい!」
「これ…」
莉絵は小さな紙袋をわたしてきた。
「ありがとう。」
そう言って、僕は紙袋を受け取った。
「…これ、あけてもいいの?」
「もちろん!」
「なんだろ…?」
ぼくはドキドキしながら袋を開けた。
((どんなお菓子が…))
中に入っていたのは、意外なものだった。
イニシャルのTが入った、夜空のような模様のストラップだった。
「…これは…?」
「UVレジンっていうやつで作ったストラップだよ!」
「これ作ったの!?」
「うん!てっちゃん、星が好きでしょ?」
「うん。」
「だから、作ってみたの!」
「すごいな…」
「でしょー?しかもね、ほら!」
莉絵はそう言うと、僕に携帯についているストラップを見せてきた。
それは、僕がもらったストラップとおそろいだった。
莉絵のストラップにも、イニシャルのRが入っていた。
「すごいね…ほんとに。」
「てっちゃんモテモテだから、私もお菓子だと甘ったるくて気持ち悪いかなって思って。…いやだった?」
「ううん!ほんとにすごいよ!」
「…ありがとっ!」
莉絵はかわいらしい笑顔を見せた。
((こんな時間がいつまでも続けばいいな。))
「ありがとう。」
僕もそう言って微笑んだ。
「夜空を詰め込んで。」の著者は…私、しゃーなでした!
最後までありがとうございました。




