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ファンタジアン  作者: おさかなちゃん
咎人のコウサツ編
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86 咎人のコウサツ編その26


「高額で蘇生させる商売もアリだけど、確実に出来るって言えないのがネックだわ」


「信用が得られないか」


「ソコよ、大事なのは。失敗のリスクが高いのよね」


 魔女と命の魔法を商売にする方法を練ってはみたが、良い案は中々浮かばない。

 魂を奪う悪魔という存在が障害となり、算段まで漕ぎ着けないのだ。


「あの、ちょっといいスか」


 煮詰まっていると、今まで口を出さずにいたタケが声を上げた。


「悪魔ってどうやって魂を取るんスか?」


「どうって、死んだ肉体から離れた魂を取るのよ」


「どのくらいで離れるんスか」


「大体一日から七日くらいかしら。個人差はあるケド」


「生きてる奴からは取らないんスか」


「そりゃそうよ。悪魔にもルールがあるわ」


 立て続けに質問を浴びせる茶髪男に、面倒そうにしながらも魔女は答えた。


「ヨハンさんのポイントって、命令だけじゃ加算されなかったッスよね」


 今度はこっちに飛び火した。何なんだ。


「ああ」


「殺せって言ったッスか」


「いや、やれと言った」


 真っ直ぐなタケに見透かされた様な気がした。

 自分は、二人に殺せとは言わなかった。言いたくなかったんだ。


 殺しをするという意識を少しでも軽くするために。無意識に言葉を選んだ。


 タケは部屋の隅に張った蜘蛛の巣へ向かい、足を止めた。


「ヨハンさん」


 タケは小さな蜘蛛をつまんだ。


「オレに殺せって言ってみてくれません?」


 少し頭の隅がざわつく。だがこれからの事を考えれば、やらない訳にもいかない。


 そうだこの程度。

 クリノと初めて会った時や、死体を見つけた時の頭痛に比べれば大した事じゃない。


「タケ」


 避けていては進めない。自分と、自身の力を知らなくては。


「蜘蛛を殺せ」


「はい」


 こちらの葛藤に気付く素振りも見せず、タケは蜘蛛を潰した。

 汚れた手をナプキンで拭う。


「どうッスか?」



〈ポイント:残り24.8〉



 ポイントも同じだ。自分が気付きたくないから見えていないだけじゃないのか。

 目を閉じて更に集中を強めてみる。



〈ポイント:残り24.81246〉



 見えた!微細な命を消した証が刻まれている。


「タケ、もう一匹殺せ」


 今度は躊躇しない。


「はいッス」



〈ポイント:残り24.81346〉



「殺意を持って命令すれば、ポイントは加算出来るらしい」


「やった!成功ッスね」


 無邪気に喜ぶタケに、魔女は呆れた表情だ。


「いや、今はソレ関係無いでしょ」


 確かにそうかもしれないが、自分にとっては大きな成果だ。

 しかしタケは自分以上に喜びを感じている様で、魔女に明るい表情を見せた。


「何言ってんスかチェッツ様!これで出来るかもしれないッスよ。大きな商売が」


「はァ?」


 タケは懐からペンを取り出し、大きな紙をテーブルに広げた。


「ギルドを作るッス!冒険者ギルド!」



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