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ファンタジアン  作者: おさかなちゃん
咎人のコウサツ編
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76 咎人のコウサツ編その16


「という訳で、マズイ事になりそうだ」


 あの後大臣が聞かなかった事にしてくれと懇願してきた。

 一応頷いておいたが、王にバレるのも時間の問題なんじゃないかと思う。


「そいつは困りやしたね」


 当初の目的通り森で罪人コンビに再会し、城から持ってきた武器を物色している。


 ゴメスは丈夫そうなナイフ一本のみを選んだ。

 身軽さを優先するので大きな武器は持ちたくないそうだ。


 逆にグルダは使える物は何でも使うスタイル。

 弓に剣に斧、鞭や槍など体のあちこちに身に着けている。かなりの力自慢だ。


「最悪、国外脱出になるな」


 ゼナには頼まれたが、巫女共全員を連れて逃げるなんて非現実的だ。

 まだ自分が国を出た方が良い気がする。


「何かいい方法は無いか」


 この世界に疎い自分よりも二人の方が良い案が浮かぶだろう。

 情報が時代遅れの可能性もあるが。


「巫女を人質に取っておさらばしちまえばいいんじゃねえか?」


 恐らくあの兄貴には通じない。先に胴から首がおさらばしてしまいそうだ。


「それかあいつを焚き付けて王の首を取っちまうとか」


「事が起きない限り動きやせんでしょ。何しろご立派な近衛兵様だ」


 巫女が犠牲になるかもしれないというのは、あくまで可能性だ。

 国に仕える兵士が謀反する程の決意にはならない。


 あれでも一応平和な国を治める王なのだから。


「アニキ、ここはあっしに任せて下せえ」


 ゴメスがニカッと笑って見せた。薄気味悪いガキと違って安心出来る笑顔だ。


「ちょいとしたツテがありやす。うまくいけば万事解決ですぜ」


「おい、お前脳が腐ってんのか?百年前のツテなんぞ役に立つ訳ねえだろ!」


 グルダの言う通り、この世界の人間は百年も生きられない。

 生活や食糧事情が全く違うから五十年も生きれば相当長生きだ。


 白髪ジジイが現役なのがむしろ異常なのだ。


「いやいや、それが役に立つんでさぁ」


 妙に自信ありげなゴメスは両手を地面に付けてこちらに頭を下げた。


「このゴメス、ご恩には誠意で報いやす。どうぞお任せ下せえ」


「分かった。頼む」


「ホントに大丈夫なのかよ」


 グルダは呆れたが誠意で報いると言い切った男にそれ以上言及は無かった。


 どのみち今最も頼れるのはこの二人だけ。

 知らない世界で気負わず話せる相手などそうはいない。


「それじゃあ今日の狩りを終わらせたら早速掛かりやす」


「俺は昨日とは一味違うぜ。今日は大物を狩ってやるから驚くなよ」



 ちょっとした仲間気分を味わいながら、三人揃って狩りへと向かった。

 不安事をひとまず片付け、足取りが少し軽くなった。


 が。


 悪い事というのは続けざまに起こるらしい。

 昨日罠を仕掛けた場所に辿り着いた自分達を、予想もしない事態が待っていた。



「アニキ」


「おい、これってアンタの」


 穴の底にあったのは、良く知る巫女の屍。



〈ポイント:残り36.6〉



 数値が示す責任の所在に酷い頭痛を覚えた。



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