表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジアン  作者: おさかなちゃん
勇者様いらっしゃい編
7/333

05 勇者様は10歳


「勇者様、お待ちしていました。熱風の巫女バニーです」


「勇者様の力をぜひ貸して頂きたい」


 そばかすのある金髪少女は、目の前の人物に目を奪われていた。

 火のような見事な赤毛を持つ巫女と、夕日よりも赤いローブに身を包む背の高い女性。


 二人は同じデザインの金と銀、色違いの杖を手にしている。


「それって、ヒーローになれって事?」


 二人をしばらく見比べると、座り込んでいた女の子はスッと立ち上がる。

 勝気そうな目を吊り上げ、腰に手を当てて少女は二人に問いかけた。


「ねえ、ちょっとこの子生意気そうなんだけど」


「お前よりは大分マシだろう」


 ヒソヒソ話す二人と無言の兵士三人をブロンドガールは気にしていない。

 大げさに胸を押さえて天を仰いだ。


「ママが言っていたわ。アナタはいつか大人になる、けれども純粋な心は捨てないでって。ヒーローの心を忘れちゃダメだって」


 芝居がかった仕草で少女は膝をついた。


「離れ離れになるのは悲しいし、ママのパイを食べられないのも身が引き裂かれる思いだわ!」


 急に叫び出した勇者の剣幕に、思わず兵士達も反応して剣に手をかけた。


「この子、変じゃない?」


「少し黙っていろ」


 赤の賢者は金髪少女の奇行にも動じず平静を保っていた。


「でも、もう一人で生きていかなきゃならない。ヒーローは孤独だから!」


 悲しんでいるのか喜んでいるのか、良く分からない勇者の語りにウサ耳が困惑気味に揺れる。

 一人だけ普段通りの賢者が巫女の少女の拠り所となっていた。


 立ち上がった金髪少女に近付いた賢者は跪き、彼女の手を取った。


「孤独を生きる貴方と共に歩みましょう。勇者様に赤の賢者の祝福を」


 女性賢者が少女の手に口付けを落とす。屈んだ拍子にフードから美しい紫色の髪が零れた。

 強い自信に溢れる少女と赤の賢者の姿は、まるで一枚の絵画の様だ。


 バニーは茶々を入れる事も出来ずに見惚れている。


 手には赤い輝きの宝石、ルビーの指輪が現れていた。

 装飾の多い金の指輪は金髪の少女に良く似合っている。


「私と巫女の力が勇者様を災いから遠ざけ、貴方の道標となるでしょう」


「分かったわ」


 大きく頷く少女の目には早くも使命感が生まれていた。




「ところで、何をすればいいの?」


「先に聞かない?ソレ」


 巫女の少女の呟きが砂漠の風に乗って流れていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ