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ファンタジアン  作者: おさかなちゃん
勇者の戦い編
319/333

317 勇者の戦い編その17


「どうやら景色まで再現出来るらしい」


 指輪に橙色の光を宿したサムライ・リーマンは、地面に向けて爆発を起こした。

 燃えカスの一部が再び火種となり、宙に舞った火の粉が空を焦がして穴を空ける。


『何っ!?』


 火は次々と燃え移り、隠されていた巨大な活動写真が現れた。


 辺りには写真を支えるための魔法の茨が大量に張り巡らされている。

 奥には本物の城下町と王城。城を護る大勢の兵士達が姿を晒した。


「!」


 カシャリ


 シャッター音に振り向いた彼は兵士に紛れた帽子の少年を見つけた。


「ヤバっ!」


 少年は気付かれたと知り、慌てて逃げ出す。

 サムライ・リーマンは黒い刀を出現させ、無防備な背中へ照準を合わせた。


『いや待て、殺すのは惜しい』


 竜部長の言葉に、彼は投擲しようとしていた手を止める。


『生け捕りにしよう。アレは使えそうだ』


 少しの沈黙を置いてサムライ・リーマンは追跡の為地上へ降りた。

 着地と同時に兵達をまとめて斬り払う。


「写真か」


 ある程度予測していたのだろう。裁断された紙の兵士達を無感情に眺める。


 すると突然地面が揺れた。

 張り巡らされていた黒い茨が大きくうねり、意志を持って動き出したのだ。


『何事だ!?』


 黒い茨は上空と地上の両方へ襲い掛かる。


 サムライ・リーマンは刀を左手に持ち替え一閃。

 悪魔達を捕らえようとする茨の根元を切り裂いて彼らを逃れさせた。


 波の如く押し寄せる大量の黒い茨。

 一人で突破するのは容易いが、部長や悪魔達を護りながらでは処理しきれない。


「オリガ」


「待ってましたぁ!」


 彼の元から元気良く飛び出した刃の妖精が嬉々として攻撃に参加。


「ブロック」


「任せろ」


 弓の妖精は一直線に上空を目指し、悪魔達の護衛へと回る。

 妖精達を見た部長は驚き疑問の声を上げた。


『妖精?レベル5の許可を出した覚えは無いぞ』


「直接本部へ申請した。レベル3では不測の事態への対処が難しい」


 前回負傷したのはそのせいだとブロックは部長を睨む。


「経費の超過分は妖精達の魔法の力で補う」


 文句は無いだろうと念を押す妖精に部長は黙り込んだ。

 ブロックは魔法の矢を放ち、黙々と襲い来る茨の処理を行う。



「なあハジメ、この魔法どっかで見たよな?」


 増殖する黒い茨を斬り続けながら話す妖精にサムライ・リーマンが頷く。

 彼はこの茨の魔法の使い手を知り、また相手も自分を知っている。



「そろそろ頃合いだね」


 彼の予測を裏付ける魔女の声が響いた。


 黒い茨が動きを変え、新たに現れた薔薇の蔓が高速で隙間を埋め尽くす。

 下方部分が茨と棘のドーム状に覆われ、サムライ・リーマンとオリガが閉じ込められた。


「お前は!」


 ジャラジャラと音を立てて現れたのは紫の賢者ヒューナ。

 声を上げたオリガの目前にはもう一人、見知った人物が立っている。


「これでも陳腐と言うか」


 腕を組んで隣に立つのは、真っ赤なローブを着た顔に傷のある女性。

 赤の賢者ミルテーゼ。


「異国人、いや救済の勇者よ」


 茨と蔓で作られたドームは外から魔法の矢を撃っても傷一つ付かない。


 強固な結界は魔女二人だけの力では到底作れないもの。

 結界の周りには彼女達の他に、複数の人影があった。


「平和の為に与えられたその力、返してもらおうか!」



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