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プロローグ
何かに呼ばれた様な気がして、ぼくは目を覚ました。
ドアの隙間がすごく明るい。まだ朝じゃないし、部屋は真っ暗なのに。
ぼくはタオルケットを蹴飛ばした。
絵本で読んだ事がある。あれはきっと魔法の国への入口だ。
妖精がお姫様を助ける勇者を呼んでいるんだ。
おもちゃ箱にある剣を持って行こう。パジャマじゃ格好悪いからちゃんと幼稚園の服を着る。
妖精さんもぼくが何にも出来ない子供じゃないって分かるはずだ。ボタンも自分で留められるんだって。
だから待っててね。おとーさん。おかーさん。
すぐに帰ってくるから。