揺れるランタンの灯りが、ネズミをあぶり出した。
ランタンの灯りが、ゆらりと揺れた。
無風の室内で、開いた本の上で灯りと影が踊る。
「ねえ、若葉マーク」
「若菜です!」
天井の板が一枚開いて、にゅっと頭が逆さに生えた。会った頃より長くなった髪も目の前に流れ落ちてくる。
「弁解を一応訊こうか。何やってるの?」
「ネズミが居ないか調べてました!」
忍ですから、とほめて欲しそうにキラキラした子供の目に溜息。
「うん、居るね。小さなネズミが」
消しゴムを指弾でぶつけて落ちて来た子供に、膝詰めで一時間説教してやった。