2話:地球について学ぶ その1
やっと2話が書けました。
設定見ながら書いていたのですが、書いた内容の順序がうまく定まらずあれやこれやと試行錯誤しているうちにすごい時間がかかってしまいました
このお話は地球に魔法がない代わりに化学が進歩した話と日本とエタニティアークの貨幣や物品の価値についてのお話です。
ちなみに補足ですが、聖司と普通に会話できているのことについてです。
アモンはセイジと融合したことにより情報を共有しています。
なので名前の発音や日本の言葉はすぐに理解したので日本語での会話が普通にできるようになってます。
1話の最後に聖司と会話が成立していたのは念話で話していたからです。
我は精神内の部屋の天井を見上げ、大きく息を吐いた。
「なぁ・・・セイジよ?」
「・・・なんですか?」
「我は頭が痛くなってきた」
「僕もです・・・頭から煙が出そうです・・・」
我もセイジも『地球』と『エタニティアーク』との違いの大きさに頭を抱えていた。
我もそうであるが、セイジもかなりぐったりしている。
セイジ自身よく幼いながらも我の質問に答え続けてくれたものだと思う。
我自身もここまで頭を使うことになるとは思ってもみなかった。
「セイジ、気分転換に茶でも飲むか?」
「・・・あるんですか?」
「ああ、問題ない」
我は頭の中に紅茶の入ったティーセット一式を思い浮かべる。
すると我とセイジの前のテーブルに想像したものがカチャリと音を立てて姿を現した。
セイジの分はしっかり甘くしておいた。
精神内の部屋では想像するだけで自分の欲しいものが現れる。
あくまで精神内なので栄養とかそういったものは皆無ではあるが、精神的には優しいものとなる。
味もあるし匂いもある。
出そうと思えばなんでも出せる。
例えば書物を出すことも可能だ。
ただしそのものの内容や形を理解していないとできないが。
一応これの仕組みをセイジに説明しておくことにする。
ちなみに我と同化しているため、外で我が見聞きしたものや我の知りうるものはセイジにも情報を共有することが可能だ。
それにあちらの世界での『知らなくていい情報』は共有しなければいいだけである。
セイジは利発な上、幼いにも拘らず、聡いのでうまく利用するだろう。
「・・・ということだ。ここにいるときにうまく利用するといい」
「わかりました」
「さて、では少し休憩するとしよう」
「そうですね、いただきます」
セイジはカチャリと音を立てて紅茶を飲む。
セイジは「おいしいです」と言って嬉しそうに紅茶を飲んでいる。
我もセイジに続いて茶を口にしようとするが、ふと手を止めた。
そういえば我は先の勇者との戦いの姿のままであったことを思い出した。
今の姿は狼の顔に背に梟の翼を持つ、漆黒の外骨格に全身を包んだ姿のままであった。
それはセイジに悪魔と?聞かれてもおかしくなかったと今更ながら思った。
「セイジよ、この姿のままでは茶を楽しめないので姿を変えるぞ?」
「あ、はい。どうぞ」
セイジに一言断りを入れ、戦闘形態を解く。
我の狼の顔は徐々に人の顔へと代わり、体を纏っていた漆黒の外骨格や梟の翼は黒い服へと変わり、梟の翼は羽模様のマントへと変わった。
人型の形に戻ったところで茶を飲もうとするとセイジがじっと我を見つめていた。
「・・・どうかしたか?」
「いえ、その・・・カッコいいなって思って」
「そうか?」
「銀色の長い髪とか服とかかっこいいなって、ちょっと怖いですけど」
我は自分の顔をぺたぺたと触る。
どこかおかしかっただろうか?
あまり自身の人型の容姿に関心を持ってはいないため、セイジに言われてふと気になった。
我は鏡を想像して、テーブルの上に出現させる。
そして自身の姿を覗き込んだ。
いつもと変わらない人型の自身の顔が映っている。
アスタロト曰く、悪く言えば目つきの鋭い冷徹な顔、良く言えば無表情な顔らしいが・・・。
変えろと言われても変えられないのでどうしたものかと思った。
「うーむ・・・いつもと変わらないと我は思うのだが、怖いと思ったのならすまない。これが我の素だ」
「あ、そうなんですね。怒ってるのかなぁ?と思ってました」
「怒ってはいないから安心してくれ。それよりも茶を楽しもう」
そう言って我もセイジに続き、ようやく茶を口にした。
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勇者との戦いで敗れた後、再び現れた場所が異世界なのかと目の前の少年、桜聖司に尋ねることから話は始まる。
最初尋ねた話はこの世界についての質問だった。
しかし気づけば次第に質問は二つへとなり、そして三つ四つと徐々に話は膨らんでしまった。
セイジには悪いことをしたなと反省する。
話してわかったことは多々あるが、それよりも驚きの多さにも驚いた。
まず我は自身が現れたこの異世界について尋ねた。
此処は『地球』という星の『日本』という世界らしい。
驚くことにこの世界には魔法というものが存在しなく、魔力が無いに等しいことがわかった。
セイジには「そもそも魔力って何?」と聞かれたくらいであった。
我自身がこちらに現界した際、なんとなく「あれ?」と思ってはいたが、合点がいった。
この世界には魔力が無い事もないが、無いに等しいくらいに希薄であった。
当初、魔力がないことを聞かされ「なんと不便な」と我は思った。
元々魔力に満ちあふれた世界から来たのだから当然といえよう。
しかし魔力に代わり『化学技術』というものが進んだ世界であることがわかった。
『化学技術』というものが魔力を補うほどに便利なものであることに驚かされることとなった。
先ほど、『日本』に現界した際に目にした『馬のいない馬車』や『見たこともない高さの四角い銀の建物』はその『科学技術』とやらで作られた賜物であるらしい。
聞けばそれぞれ『自動車』『ビル』という名前だという。
馬のいない馬車『自動車』を魔力も使わず人が操作して動かせることに驚いた。
そして『ビル』もまたそれらの『自動車』のような『機械』とやらを動かしたりして建てられたものであるらしい。
ちなみに『機械』というのは『電気』や『燃料』を使用して動かすとのことだ。
『電気』というのが『風』と『土』属性の複合魔法である『雷』系の魔法と似たものなのだろうかと推測する。
また『燃料』というのが『魔石』に近いもののように思えた。
そして目の前にいるセイジ自身が身につけている服もそうだ。
丈の短い半袖の『Tシャツ』という上半身、膝丈の『ズボン』という下半身の衣服を身につけていた。
セイジに許可を取り、セイジの衣服を触ったりしてまじまじと観察させてもらった。
なるほど、着心地は良さそうだと感心する。
『Tシャツ』も『ズボン』もそれぞれ我の知らぬ素材で出来ていた。
あちらの世界の衣服といえば麻、布、皮で作られていたと記憶している。
また、上流貴族の者は絹と呼ばれる素材を使用した衣服を身に纏っていたが、セイジのそれはあちらの絹の衣服にも負けぬ出来栄えのように感じる。
ちなみに我ら魔族は魔力を練って作った衣服を纏っている。
『Tシャツ』も『ズボン』は聞くところによると『化学繊維』というもので作られているらしい。
『化学繊維』とはなんぞや?とセイジに尋ねてみたが、本人もよくわかっていないようだった。
恐らくではあるが、これも『化学技術』とやらの進歩の賜物なのではないかと思われる。
セイジ曰く、自身の家の近くにある服屋で母親に購入してもらったとのこと。
ここで貨幣についての疑問も尋ねてみることにした。
今後、セイジの体で生きることになるのだから、こちらの貨幣の価値がどんなものであるか知り、理解を深めるためである。
我が世界を二つに分ける前のあちらの世界は元々一つの世界であったため、各種族間において貨幣価値は共通であった。
使用されていたのが『小銅貨』『銅貨』『小銀貨』『銀貨』『小金貨』『金貨』『大金貨』の7種類が存在する。
我自身も魔王になる以前、ただの魔族であった頃はそれなりに貨幣を使う機会があった。
なのであちらの世界の貨幣の価値は把握しているつもりだ。
そこでセイジにこちらの貨幣について尋ね、両世界の貨幣価値を比較することにしたのだ。
幸いセイジの家は飲食店をしているらしく、セイジ自身も幼いながらも貨幣に触れる機会があったため、貨幣の価値を理解していた。
ちなみにこちらでは硬貨だけでなく紙幣というものも使われていることがわかった。
セイジと話を進める内に一つ発見があった。
あちらの世界の貨幣は全て硬貨であるのに対し、こちらには紙幣というものが存在した。
貨幣が『地球』にも数種類あるというのにも驚いたが、紙幣というものの存在が斬新に思えた。
そもそもあちらでは『紙』というものは高価だ。
にも拘らず、こちらの世界ではその『紙』を用いて紙幣というものを作っていたのだ。
これも『化学技術』とやらの進歩の賜物なのだろうなと感心することとなった。
確かに紙幣があるのなら財布が嵩むことはない。
あちらの財布といえば丈夫な革で作られた袋であることが一般的である。
硬貨というものは紙幣のことを考えると非常に不便に思えてきた。
持ってれば持っているだけ重いし荷物になるからだ。
だが、紙幣を用いれば財布が嵩む心配もなく、対した荷物にならないのは利点であると思えた。
そこの辺りは感覚の違いなのであろうが・・・。
なるほど、よく考えられている。
我はまず、エタニティアークにおいての貨幣のレートを思い浮かべた。
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小銅貨10枚=銅貨1枚
銅貨100枚=小銀貨1枚
小銀貨10枚=銀貨1枚
銀貨100枚=小金貨1枚
小金貨100枚=金貨1枚
金貨100枚=大金貨1枚
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といった具合だ。
そしてセイジに聞いたこちらの世界においての貨幣を思い浮かべる。
『1円』『5円』『10円』『50円』『100円』『500円』という6種類の硬貨。
『1000円』『5000円』『10000円』という3種類の紙幣。
計8種類の貨幣が存在することがわかった。
次にこちらの世界においての貨幣のレート。
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1円5枚=5円1枚
5円2枚または1円10枚=10円1枚
10円5枚=50円1枚
50円2枚または10円10枚=100円1枚
100円5枚=500円1枚
500円2枚または100円10枚=1000円札1枚
1000円札5枚=5000円札1枚
5000円札2枚または1000円札10枚=10000円札1枚
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2000円札というものもあるらしいが、こちらはあまり普及していないらしい。
なるほど、実に単純でわかりやすい。
そう楽観視していた時期が我にもありました。
そう、ここまでは我も簡単に理解できた。
・・・問題はここからだった。
我は両世界の貨幣のレートはこれくらいのものではないかと考え、セイジに尋ねた。
両世界の貨幣の種類があちらの方が1種類少なかったが、多分このくらいなのでは?ないか予測したからだ。
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1円:小銅貨1枚
5円:小銅貨5枚
10円:銅貨1枚
50円:銅貨5枚
100円:小銀貨1枚
500円:小銀貨5枚
1000円:銀貨1枚
5000円:銀貨5枚
10000円:銀貨10枚
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といった具合だ。
金貨、大金貨の価値がこちらの世界ではどれほどのものかわからなかったため、銀貨までしか話さなかった。
するとセイジは「う~ん・・・」といった具合に頭を傾げた。
何か違っていたのだろうか?
「何か違っていたか・・・どう違うだろう?」
「そうですねぇ・・・じゃあ、アモンさんのいた所で何かご飯を一つ頼むとしたらいくらになるんですか?」
「ご飯・・・食事をする料理を一品っていうことか?」
「あ、ちなみにですが、豪華な料理じゃなくて普通の料理でいくらくらいですか?」
「普通の料理・・・一般市民が食べる料理っていうことか。・・・銅貨10枚前後ではないだろうか?」
「じゃあ、日本では1000円前後になりますね」
「な・・・んだと?」
「ものにもよりますけど、ウチで出してる料理が確かそれくらいだったような気がするので・・・」
ということはつまりだ。
先に述べた我の考えたレートは大幅に修正されることとなる。
貨幣の価値どころか商品の価値も全く違うのだ。
そこで我はあちらにある一般的な果物が銅貨1枚と小銅貨数枚であると伝える。
するとセイジは日本の一般的な安い果物が100~200円くらいなのではないかと答えた。
こんな感じのやりとりを複数回することで大体ではあるもののレートは以下の通りである。
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銀貨10枚そこそこが15~20万円程の価値
小銀貨1枚が1万円程の価値
銅貨10枚そこそこが1000円程の価値
銅貨1枚が100円程の価値
小銅貨1枚そこそこが10円程の価値
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ということがわかった。
ここで初めて両世界の貨幣の価値の違いを把握できたわけなのだが・・・。
あちらとこちらの世界では貨幣の価値が全然違うことに驚いた。
我は比較した貨幣の価値のあべこべさについていけるのか不安になり頭を抱えた。
「つまりだ、セイジの着ている服は上下で銅貨5.6枚程ということになるわけなんだな」
「・・・そうなる・・・と思います」
「安いな・・・これが銅貨5.6枚程の価値で買えるというのが信じられん。これがあちらの一般的な果物5個と同じ価値だとはとても思えんな」
セイジとあれこれと頭を抱えて考え、結果としてその『500円』というのは銅貨数枚くらいの価値であることがようやくわかった。
さぞ、値の張る物なのだろう思っていただけに、値段を聞いてその安さに驚いた。
これほど着心地、機能性、通気性、肌触りで上下合わせて500円。
なんでも『セール品』・・・特価品だったものらしく、「この一角にある服は上下一着でどれでも500円」という謳い文句で売られていたらしい。
我としてはてっきり銀貨で購入できる位に見積もっていた。
あちらで一着服を揃えるとしたら銀貨4.5枚はくだらない。
何故なら服を一着作るのに全て手作業で行っているというのもあるだろう。
他にも布の調達も必要となってくるからだ。
なのであちらの一般市民は長い期間同じ服を着て着古すのは当たり前。
または古着を着たり、古着を利用して自身で服を作ったりしている。
着古された物を販売していたりする店もあることはある。
それでも売りに出ている古着は、かなり着古されたものでかなりのボロさにも拘らず小銀貨1枚はしないまでも銅貨数十枚はするのだ。
そんなボロ着を買い、各々修繕して着たりしているのだ。
価値の違いがよくわかるというものだ。
しかしこちらの世界では『化学技術』や『機械』を使って容易に服を作ることができるため値段も安価なのだろう。
ようやく『小銅貨』『銅貨』『小銀貨』『銀貨』の価値が大凡掴めた。
あちらの一般市民が一般的に使う金額は多くて小銀貨数枚程度。
銀貨10枚あれば普通に1ヶ月生活できる。
小金貨が1枚あれば少し切り詰めて1年生活ができる。
つまり銀貨以下の貨幣の価値がまるで違う。
あちらの物品は小銅貨、銅貨、小銀貨があれば十分買い物ができるといった具合だ。
ということは『自動車』や『機械』は無理にしても『日本』では1万円程あれば日常生活に必要なものがある程度買えるということだろう。
実際、我自身が今後身を持って覚えることになるだろうしな。
銀貨以下の貨幣の価値がわかったことで次は『小金貨』『金貨』『大金貨』の価値を調べることにする。
これも先の銀貨以下と同じようにセイジとやり取りしたのだが、こちらは金額が金額なだけにセイジも分からないということが多かった。
あくまでこれは我の予想ではあるが、『小金貨』『金貨』『大金貨』は日本の貨幣価値とあまり変わらないのではないか?と思われる。
こちらの世界では10000円が最大の貨幣であるが、あちらの世界の最大の貨幣は大金貨だ。
あちらの世界で大金貨を使うことは多くはない。
大金貨を使うほどの価値のあるものが少ないこともあるが、そもそも大金貨の普及率及び全体数が少ないということもある。
神具級の武具を購入する際には使用することもあるにはある。
とはいえ大金貨よりも金貨で支払うことの方が一般的である。
金貨の方が普及率が多いためだ。
完全治癒の霊薬が確か金貨数枚だったはずだ。
上物の武具は確か・・・小金貨数十枚で一般的な武具は小金貨数枚だったといった具合だったと思う。
あくまでこれらはあちらの世界の一般市民には該当しない例外であるが、あちらの世界の一般人が購入する一番高い買い物といえば『家』であろう。
それにしたって普通の一般的な家を購入したところで大金貨はもちろん、金貨を使用することもない。
小金貨数十枚あれば充分事足りる家を購入することができる。
裕福な市民であれば金貨数枚の家を買うであろう。
また、裕福層ともなれば豪邸を建てるであろうが、豪邸ともなると金貨を数十枚程使用する。
購入するのは儲かっている商人や貴族が対象である。
そして大金貨または金貨を百枚単位で使用するとなれば大豪邸が建てられるだろう。
対し、こちらの世界では大小違いがあれど普通の家で金貨数枚程の価値がするそうだ。
普通の家で金貨数枚もするのだから『化学技術』の優れたこの世界の普通の家はどんな家なんだろうと興味が湧く。
そして先ほど見た『ビル』という大きな建物は大金貨数枚または金貨数百枚はするというのには納得できた。
大金貨の価値がこちらの世界での貨幣価値と大凡合っているように思えたからだ。
余談ではあるが、我なら神具級の武具を一つ買うくらいなら『ビル』を買う。
完全治癒の霊薬を一つ買うくらいなら『日本』で『家』を買う。
小金貨数十枚する上物の武具やあちらの世界の普通の『家』を一つ買うくらいなら『自動車』を買う。
つまり『小金貨』『金貨』『大金貨』の価値は以下のように予測する。
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100000円:銀貨100枚または小金貨1枚
10000000円:金貨1枚
1000000000円:大金貨1枚
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「ふむ、なるほど。『日本』の貨幣の価値について大体の理解ができた。感謝する」
「どういたしましてです」
アモンは『化学技術』については追々、セイジの体で身を持って勉強すると心に決めた。
『化学技術』の素晴らしさは魔力がないにも拘らず、それでも余りあるものだと思った。
・・・
ちなみに後々、現代日本でアモンが暮らしていく上で実際の両世界でのレートを完全把握したのは数年先のこととなる。
この時、銀貨以下の貨幣についてアモンやセイジが頭を悩ませていた原因は消費税や値引きでの端数となる『数円』が頭を悩ました原因だったのだ。
あちらの世界には消費税といったものがないので端数となる金額が存在しない。
また『おまけ』や『値引き』はあちらの世界の硬貨数枚で解決できてしまうので余計にややこしいことになった。
一つの商品はキリの良い値段で纏まってしまう事から日本のような1円や5円のような貨幣が存在しないのだ。
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先ほどまでの会話の内容を反芻しているとセイジが何やら不思議なものを出していた。
早速、先ほど教えた自身の想像を物質化したのだろう。
「む、セイジ。それはなんだ?」
「へ?ポテトチップス・・・お菓子ですけど・・・食べます?」
「それは菓子なのか?」
セイジはバリバリと不思議な模様の描かれた袋の口を破いて開き、中を見せてきた。
「なんの菓子なんだ?」
「えっと、じゃがいもを薄く切ってあげたお菓子です。おいしいですよ?」
「頂くとしよう」
差し出された袋に手を入れ、中から一枚だけ取り出し口にした。
なるほど、芋を揚げた菓子か。
程よい塩気に良い食感だ。
「うまいな」
「はい、僕結構好きなんですよ。他にもいろんなお菓子出してみますね」
「おお、興味深い。是非頼む」
セイジは嬉しそうに次々と色々な菓子を出し、我に勧めては食べさせた。
セイジの出す菓子はどれも美味いものばかりだった。
地球というのはなかなかどうして悪くない。
次話は地球について学ぶ その2です。
今度はこのお話の舞台や聖司の家族構成などの話を書く予定です。
投稿次第寝ますが、起きしだい今回投稿したお話の見直しをして、よければ3話に取り掛かろうと思います。