ゾンビィーノ!!
ここは、魔界。
ホラーゲーム、ホラー映画、その他もろもろの仕事をこなすプロフェッショナルを
育てる世界。
これは、とあるゾンビ達の脇役脱出の物語である。
「ん?なぁ、ゾンちゃん。あれってドラキュラ先輩じゃね?」
俺の名は、ゾンビィーノ。通称ゾンちゃん。魔界に住むゾンビの一人だ。
「え、マジで!?おいちょっとお前、話しかけて来いよ。」
「おい、一人で行かせるなんてずるいぞ。ゾンちゃんも来いよ。」
さっきから話しているこいつは、ゾンディア。こいつも俺と同じゾンビだ。
こいつとは、ホラー育成教会で、仕事とかそこらへんの勉強をしてた頃からの親友だ。
ホラー育成教会では、【仕事】をするために、そのことについて勉強をする。
地上界(魔界でいうこの世界)の学校とかいう奴に似ている。
「ったく、しょうがねぇな。せんぱーい、コンチワ~。」
このドラキュラ先輩は、俺らよりもずっと偉くて、仕事も完璧にこなす、
まさに俺らの憧れの的だ。
「おう、お前らか、どうだ仕事は貰えたか?」
先輩が牙を剥き出しにして返事をくれる。
「いやぁ、まだまだですよ~。先輩はどうなんすか?」
ゾンディアがニヤニヤしながら聞く。
先輩と話せたのがよほど嬉しかったのだろう。
「俺か?う~ん、最近は出演オファーもこないんだよな…」
先輩は、ションボリとした顔を浮かべる。
俺たち魔界の住人にとって、仕事は命のようなもんだ。
俺たちと先輩の間に嫌な空気が流れていた直後、
「あ!いたいた、ドラキュラさんですよねぇ。
あのぉ、監督から新作のゲームにラスボスとして出演して欲しいとの要望なんですが…。どうすか?」
身長1メートル程度のゴブリンが近づきながら名刺を差し出し言い出した。
「えぇ、まぁ、はい。仕事…ですか?」
先輩は、戸惑いながら、仕事に就くことになった。
そのあと、ようやく我に返ったらしく顔をゾンディアと同じように
ニヤニヤしながら、
「ラスボスかぁ……」
と、つぶやいていた。
「よかったじゃないっすか、がんばってくださいよ。」
と、先輩に言ってみたが、打ち合わせをするらしく、
ゴブリンと一緒に何処かへ行ってしまった。
「いいよなぁ、ラスボスだってよ。俺らなんか、バイ●ハザードみたいなゾンビメインのゲームでさえ、
ラスボスなんてなれないのに…」
「あきらめろ…」
俺は、静かにゾンディアの肩に腐りかけた手を置いた…
ゲームのラスボス、映画の黒幕は、俺たちの夢であり、目標だ。
生まれた頃から、それは変らない。
夢は、叶える為にある。と、よく親父が言っていた。
今日改めて親父の言っていたことを理解した。
そして、もう一度心に誓ったのだ
「必ず脇役から抜け出してやる」
初投稿です。
まだまだ未熟ですが、読んでもらえると嬉しいです。