第1章 青き光の代償
遥か未来、星間連合が統治する《エーテル銀河》。
この世界には誰もが知る「光の英雄団アストラル」が存在した。
彼らは「青き聖なる光」を操り、惑星を襲う災厄や宇宙犯罪者を討ち、メディアは彼らを「銀河の守護者」「希望の象徴」と絶賛した。人々は彼らの名前を讃え、彼らの旗のもとに平穏があると信じて疑わなかった。
主人公ゼイン・ヴェルガーは、辺境惑星エルダで静かに暮らす技術者だった。
最愛の妻エリアと幼い娘リア、そして幼なじみたちと共に、小さな集落で機械を修理し、星の恵みを受けて慎ましくも幸せな日々を送っていた。
だがある日、全てが崩れ去った。
連合が「危険な反物質鉱床」が惑星に存在すると発表。英雄団アストラルが「爆発の拡散を防ぐため」と称し、惑星大気圏から浄化光線を放ったのだ。
「大丈夫だ、我々が正しい方法で処理する! 少しの犠牲は銀河全体の平和のために必要なのだ!」
通信に流れた英雄団長の高潔そうな声――それがゼインが聞いた最後の彼らの声だった。
青い光がエルダを覆った瞬間、大地は裂け、空は燃え、集落は跡形もなく消滅した。
ゼインは偶然、地下遺跡の実験室にいたため奇跡的に生き延びたが、這い出した先にあったのは焦土と灰だけ。
「エリア…リア…!」
彼が抱きしめたのは、娘が大事にしていた星のオルゴールだけだった。
後日、連合の公式報告はこう締めくくられていた。
『英雄団アストラルは勇敢に任務を遂行。危険因子を完全除去し、多くの星々を救いました。犠牲となったエルダ星民は、英雄の名のもとに永遠に記憶されるでしょう』
その瞬間、ゼインの心に温かな光は完全に消え、冷たい闇が宿った。
「守る? 救う? 何をだ…私の愛する者たちは誰一人守られなかった!
英雄など…要らない! 存在してはならない!
この偽善の光を、私がすべて闇に還してやる…!」




