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クリアしないと死ぬゲームに転生した落ちこぼれ令嬢のはずが、いつの間にか裏ルートで溺愛されてました  作者: 瑞貴
第1章 死なないためのルート選択

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2 まさかのハズレ転生!②

本日2話目の投稿です。

読み落としのないよう、ご注意ください。

「おい! 大丈夫か?」

 

 ──遠くで聞こえる、耳障りのいいバリトンボイスに、はっとして意識を取り戻した。


 やってしまった!


 終電なのに終着駅まで乗り過ごしてしまったという、残念すぎる自信が100パーセントある。

 それくらい爆睡していた気がして、慌てて目を開けた。


 すると視界に映る世界がぐにゃぐにゃと揺らめき、ゆっくりとピントが合っていく。そんな不思議な感覚に襲われた。


 一瞬、自分の身に何が起きたのか理解できず、静かに目を閉じてから、もう一度、ぱっと大きく見開けば、再び意識を飛ばしそうになった。


 なぜならその理由は、思わず黄色い悲鳴をあげそうなほど眩い超絶イケメンが目の前にいたからだ。


 開眼早々、神がいる!?


 ってことは、私は死んだのか? そう考えてしまう自分もいた。


 窓から差し込む陽光を反射してきらめくシルバーブロンドの髪と、吸い込まれそうなくらいに美しいサファイアブルーの瞳。


 初めて対面する絶世の美青年が、形のいい眉根を寄せて、不安そうに私を見つめていた。

 やはりここは天国かな。そう思っていると、瞬時に否定された。


「やっと目が覚めたみたいだね。一瞬、息をしていないようにも見えたから、すごく心配したんだよ。どこか痛い所はないか?」


「えぇっ!」

 私って死んでないの! その事実も衝撃で、思わず声が漏れた。誰よあなた。


 どうして目の前に、少年とも青年とも見えてしまう、青い目の美しい男性がいるのよ!


 ちょ、ちょっと待って!

 ここってどこなの?

 一見、教室にも見えるけど……。

 コンセプトカフェ……? いや、そんなわけないわね。終電に乗っていたんだもの。


 それに私の身体も、なんか小さくない!? いや、これは華奢っていうのか。


 本来の私は乱れた生活のせいで、ぽっちゃり体型なんだけど、どうしてなのか、身体に余計な贅肉が一切ついていない。


 ダイエットをしなきゃと思っていたから喜ばしいにもかかわらず、意味不明すぎて手放しで喜べない。なんだか複雑な心境だ。


 あれ? 私と彼のジャケットがお揃いのような気もする。


 おや? ひょっとしてだけど、この服は学校の制服にも見えるんだけど……。


 ん? もしや高校生のコスプレ!? ど、どういうことなのこれ!?


「なんか目が泳いでるけど、大丈夫か?」

 形のいい眉を寄せた彼が、不思議そうな顔をする。

 取り繕って返事をするべきかと考えたが、どうやっても事情が呑み込めない。


 そう考えていた矢先、ピンと閃いた!


 あっ、そっか、これは都合のいい夢かもしれない。


 高校時代に勉強ばかりしていたせいで、彼氏もできず、憧れの制服デートというものを経験せずに終わってしまったのだ。その願望の表れのような気がする。


 なんだけど、やけにリアルな感触が夢にも思えない。

 そこで、馬鹿しいとは思いつつも、ある仮説に辿りついた。


 これは、まさかだが、巷で噂になっている異世界転生というものじゃない!?


 いや……。あるわけないよね。


 夢か異世界転生の2択のどちらかで、目が覚めなければ、転生ってことにしよう。


 そう決めた私は、超絶古典的な方法で現実を確認しようと、頬をつねる。


「痛いっ!」

 勢いあまって力がこもり、普通に痛くて声が漏れた。


 嘘でしょう……。


 え……これって本当に転生なの?

 

「リリアーヌは本当に大丈夫か? かなり様子がおかしいぞ」

 私が目覚めてからというもの、次から次へと不審な動きをしているせいで、訝しむ彼の顔が一層近づき、私の顔を覗き込んできた。


 ちょっとギブ! ギブ! 

 距離が近いからっ!


 あまりに彼が接近してきたため、サファイアブルーの彼の瞳に女性の姿が反射して映っている。

 それも紫色の瞳をパチパチさせる金髪の美女だ。


「えぇ──嘘……。やだ……」

 見えた自分の姿に思わず声が漏れた。


 それと同時にかつての記憶が、どっと押し寄せて来た。


 今、目の前の彼が呼んだ「リリアーヌ」という名前に記憶がある。残念ながら。


 それも一緒に暮らしていた妹の情報で。


 自他ともに認めるゲーマーの妹が唯一クリアできなかった乙女ゲームのヒロインの名前が、リリアーヌだ。


 まさか、そのゲームに転生したのではなかろうかという仮説が頭の中を巡り、私の脳内は完全にフリーズしていた。


「なにが嫌なの? 俺のこと?」


「い、いえ違います。嫌じゃなくて、言い間違えました。ここってどこですか?」

 苦し紛れの誤魔化しだったが、神々しい彼は変に思わなかったのか、すんなりと答えてくれた。


「ラビリンス学園の教室だけど、まじで大丈夫か?」

「は……?」


 はい、詰んだ! ラビリンス学園って言ったわよ!?


 目の前のイケメンが、さらっと言ってのけたラビリンス学園という名称が、日本の高校に存在するとは到底思えない。

 だけど、私はこの名前を知っている。


 これで確信した。

 私……乙女ゲームに転生してる。まじで。


 ラビリンス学園という言葉は、妹が「ラビリンス学園、全然攻略できなくてむかつく──!」と大絶叫していたゲームだ。


 だから嫌というほどラビリンス学園に聞き覚えがある。

 それに、いっとき話題になったゲームだったから、ゲームに疎い私でも、妹に内容を尋ねたのだ。

 そうすれば、目を爛々と輝かせる妹から、画面を見せながら説明された。

 それ以降、毎日実況中継まで聞かせてくれた、激むずゲーム。

 

 私に攻略なんて、まさに無理ゲーだろう。

 だって、寝る時間も惜しんでゲームばかりしていた妹の実力をもってしても、途中でギブアップした、難易度の超高い乙女ゲーム。

そのヒロインはリリアーヌだった。


 そう……。

 彼の瞳に反射して映っていた、金髪にアメジストの瞳の美少女が、まさにリリアーヌ。つまり私ってことだ!!


 ねぇ……嘘でしょう。よりによってそこ!?


 もうちょっとこう、優しいゲームもあったはずだし、なんならモブ転生の方が当たりと言えるんだけど。


 よりによって、どうして魔法が使えないキャラに転生したのよ……私。


 知っているゲームのヒロインに転生なんて、超ラッキーとVサインをしたいのに、最悪じゃない。

 転生した矢先、死ぬの……。

 そんなことを考えながら、がっくりと肩を落とす。


「……顔が真っ青だけど、どこか痛いのか?」


「大丈夫です」

 身体は痛くはないが、心が痛くて仕方ない。


 せっかく転生したのに……最悪すぎる。


 なぜなら『ラビリンス学園』は、通称『クリアしないと死ぬゲーム』と呼ばれていた。


 再三、妹から話を聞かされたし、画像も見せられたおかげで、死ぬシーンは熟知している。

 胸を張るとこでもないし、今は思い出したくないけど。


 自分ではゲームをプレイしていないが、主要人物は知っている。


 にもかかわらず、目の前のイケメンの名前がすぐに思い出せない。

 っていうか、何度もスチル画像を見せられたものの、一切見覚えがない。


 だからここが、ラビリンス学園の中ということに、すぐに気づかなかった。


 なので彼が攻略対象ではないというのは、一目瞭然なんだけどね。


 美麗な男性だというのに、彼はモブなのだろう。クリアしないと死ぬゲームの脇役君が、未だに不審そうな顔を向けている。


 考えたくないが、攻略キャラを落とせなかったら、死亡エンドってことよね……。

 実感が湧いてくるに従い、今、めちゃくちゃ泣きそう。


 彼氏いない歴が年齢という悲しいアラサーが、結婚相談所主催のお見合い料理教室というイベントに、意を決して申し込んだ矢先、死んだっていうの……。


 あのとき、結婚相談所に入会金を払うかどうかを1週間も悩んだのに、その時間とお金と勇気は、なんだったのか……。


 はぁ〜ぁ……。報われないにも程があるって。


 確かにこれからお見合いイベントにガンガン参加するつもりだったけど、結ばれないと死ぬ、ガチなサバイバルは望んでないし。

 そもそもそんな高レベルな戦いは、恋愛初心者の私には無理だから。


 現実世界で、初カレ作りを頑張ろうと思ったのに、恋人ができないどころか、私って、またすぐに死ぬの……?


 嫌だ。死にたくないし、恋だってしたいのよ!


 そうよ。それなら弱気になっている場合じゃないわね。


 超絶不穏でしかない状況だけど、絶対に生き延びて、前世ではできなかった彼氏を今度こそ作るんだから!


お読みいただきありがとうございます。

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