第二章 株式投資を始めると決意 1
翌日
本日の仕事は、川口市の山本技研から古い工作機械を廃棄処分したいので引き取ってほしいとの依頼。
浩と研史は、トラックで山本技研へ向かう。
山本技研は社長も入れて8人の小さな会社である。
午前中、処分する工作機械をトラックに乗せ専門の業者へ持っていく。
昼食は2人で町の食堂へ入る。
浩は、煮魚定食。研史は、唐揚げ定食を注文する。
店内にはテレビがありニュースが流れている。
「旨魚食品株式会社の一部の商品で食品偽装が発覚しました。トラフグの唐揚げと表記してある商品が実際には真フグを使用していました」
研史はスマホを確認する。
「ふ~ん、東証グロース。ここ上場企業ですね」
研史のスマホ画面を浩も見る。
「こういう場合やっぱりここの株、下がるのか?」
「下がると思いますよ。てか株主も怒っちゃうでしょうね。言わば株主は、その企業を応援するサポーターです。食品偽装なんて裏切られたのと同じですよ」
「下がるか」
浩は昨日の古本屋にいた男、竹田の言っていた事が頭をよぎった。
午後から新しい工作機械の搬入についての打ち合わせで、池袋の工作機械メーカーへ向かう。
打ち合わせも終わり、会社へ戻る。
研史はパソコンで今日の旨魚食品株式会社の株価を確認する。
「旨魚食品やっぱり下がっていますね」
浩は研史と一緒に旨魚食品の株価チャートを見る。
株価は確かに下がっているが下がっている最中でも、いったん上がりまた下がるというところがある。
浩は古本屋で会った竹田の話、塩田参法を思い出すのであった。
(研史もいちおう株をやっているのだから聞いてみるか)
「研史、この株、ずっと下がっているけど、途中で上がっているところがあるだろ。これはなんだ?」
「さぁ、下がったから買おうと思った人がいたんじゃないですか。俺だったら買わないな。食品偽装でどこまで下がるか、分かんないわけだし」
確かに、その通りだなと浩は思った。
「例えばさ、株価はずっと下がっているけど、この途中ちょっと上がり始めているところがあるだろ。ここで買って、上がるのが終わってまた下がり始めるところで売ったらいくら儲かる事になるんだ?」
研史はチャートを確認して答える。
「あ~、ここで買って、ここで売るという事ですね。1,915円で買って1,936円で売る。100株だと191,500円で買って193,600円で売るとなると2,100円の利益ですね」
「えー、ちょっと買ってちょっと売ったら2,100円儲かるの!いいなぁ、」
「いやいやいや。今、結果を見ているからそう言えるわけであって、実際こんな動きをするとは予想出来ないわけであります。なかなかそんなにうまくいかないですよ」
浩は試しに、塩田参法の事を聞いてみた。
「なぁ研史、ハネマリって知っているか?」
「ハネマリ?・・・・あ、分かった!金河さんの時代のアイドルですね。ハネマリだと、えっと、はねだまりこ、はねだまりえ、ですか?」
「おまえ、ほんとアイドルが好きだな」
午後5時。今日は残業なしで定時上がりである。
浩と研史は赤羽駅まで歩き、駅前バス停でバスを待つ。
浩は、あの竹田の言っていたことがどうしても気になっていた。
「俺、ちょっと用事を思い出した。それじゃあ、また明日な」
浩はバス停を離れ歩き出す。向かうは以前、研史と行った古本屋。
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