小鳥は今日も啼いた
2年前に漫画に起こそうとした脚本です‼︎
↓本編どうぞ‼︎
小鳥は今日も啼いた
「小鳥は今日も啼いた」
小学校
二年二組
先生「皆さんは将来どんな大人になりたいですか?」
「宇宙飛行士!」
「アイドル!」
「サラリーマン!」
先生「いいですね、いいですね……」
花道七海「……」
先生「皆さんはなりたいと強く思えれば
何にでもなれるんですよ……強い気持ちと強い意志があれば、どんな事でも」
と手を挙げたナナミ
先生「ん?七海君?どうかしました?」
ナナミ「なりたいの……あります
小鳥です」
八年後
中学三年生 卒業間近
「小鳥は好きだ」
みんなが卒業アルバムにメッセージを描く
「お前どこの高校行くん?」
「高校行っても偶に遊ぼー」
窓の奥の小鳥をずっと眺めるナナミ
ナナミ「……」
とここでヨメ
ヨメ「ナナミ君は?何処の高校行くの?」
ナナミ「……僕に聞いてるんですか?」
ヨメ「え……うん!何処いくの?」
ナナミ「どうして僕に聞くんですか?」
ヨメ「え?何でって、何処行くんだろぉなぁって……」
ナナミ「急に何で僕に聞こうと思ったのかを聞いてるんです」
ヨメ「あぁ、そうだよね……急に話しかけっちゃたんだもね」
と近くにいた女の子
女の子「やめときなぁヨメ……花道君……めんどくさいよー」
女の子「てか、何で花道君なの?」
と去っていく
ヨメ「あ……」
小鳥を眺めるナナミ
ナナミ「あぁ小鳥になりたい」
そうやって今日も啼いた
放課後
ナナミはリュックを手に持ち
「小鳥は良い……」
「赤……」
「緑、青、黄……白、黒……」
「その自由の翼で空を泳ぎ
その小さな喉で親鳥を求めるのか、餌を求めるのか……仲間を求めるのか
ただ啼くんだ…人間より綺麗に…」
「あの時……小学生のあの時……僕は」
「自由をその翼で広げるんだ」
と公園で小鳥を眺めるナナミの耳に聞こえた
啼き声
ナナミ「……啼き声……」
とその声の方を見ると
ベンチに座って泣いているヨメ
ナナミ「(人間って愚かだ
小鳥より啼き方が下手で涙を落とす
人間は啼く理由が沢山ありすぎるんだよ
感動して、悔しくて、悲しくて……
人間は面倒くさい……
そして優しくない)」
と泣いているヨメを見て
ナナミ「(……帰ろう)」
ヨメ啼く
ヨメ「知ってた……
知ってた、所詮ナナミ君の眼中にはなかったって
孤立している彼は何色にも染まらない
そんな何色でもないからこそ何色にもなれる
彼に勝手に惚けていたんだ私は……
彼の気持ちさえも読み取れない人間に彼が目を向けてくれる訳がないんだ……
本当にキッカケなんて些細で良かったそれだけだった……」
と自分の膝に止まる小鳥
ヨメ「ッ……」
ヨメ「……」
小鳥「チュン……」
ヨメ笑顔になる
ヨメ「……啼いた……」
小鳥「チュンチュン……」
ナナミ「……ンッ」とアッタカイ缶
ヨメ「……え?」と缶を取る
ナナミ「君は……雀です」
ヨメ「え?」
ナナミは膝を指して言った
ナナミ「雀が鳴く理由に仲間とのコミニュケーションがあります……」
ヨメ「……スズメ?」
ナナミ「早く開けて下さい……乾杯します」
ヨメ「……」
と缶を開けて
コンポタ缶をコツンとする
ナナミ「君は小鳥になれました
おめでとうございます」
ヨメ「あ、うん……」
ヨメ「……あ、あったかい」
ナナミ「……」
小鳥「チュンチュン」
ヨメ「……あの、な、ナナミ君……」
ナナミ「君は優しい人なんでしょうね…」
ヨメ「……」
と飛んでてしまう
ヨメ「あっ!」
ナナミ「……君は暫く雀でした
良かったですね」
ナナミ「では」
ヨメ「あ!ナナミ君!ごめん!」
ナナミ「ん?」
ナナミ「……」
ヨメ「さっき急に話しかけてごめんね!」
ナナミ「……」
ヨメ「私っ!私っ!」
ナナミ「……」
ヨメ「ナナミ君の事!好きです!
だから少しでも仲良くなろうと話し掛けたの!」
ナナミ「その理由は?」
ヨメ「ッ!り、理由……」
ナナミ「好きな理由です……」
とここで5時のチャイムが鳴る
暫く二人はそれを聞いている
鳴り終わってカラスが啼く
ナナミ「……カラスが啼いたから帰ります」
ヨメ「あ!……」
ナナミ「理由はまた明日此処で聴きます…では」
ナナミ「では」
と去っていく
ヨメ「大丈夫……私……もう啼かない」
手をギュッと握る
「どうして僕は、彼女の元へ行ったのだろうか
汚く啼いていたのに
僕に話しかけてくれたからか?
いやただ鬱陶しく感じたんだあの瞬間は
きっと彼女が雀だったから……
僕は彼女の元へ駆け寄ったんだ」
ナナミ「……僕は優しくないんだろうか?
いや優しくない…人間だから
あの人は嫌われていない……雀だったから
優しかったから彼女は一瞬雀だった 」
小学生の記憶を辿る
先生「花道君……」
「小鳥ってあはは」
「人間は小鳥になれないよぉ!」
先生「……」
ナナミ「何にもなれるなら小鳥にだってなれます」
先生「花道君は何で小鳥なりたいのかな?」
ナナミ「小鳥は自由で優しいんです」
先生「……どんな小鳥になりたいの?」
ナナミ「小鳥なら何でもです」
先生「良いの?赤色の小鳥さんだっているし
青色の小鳥だって緑色の小鳥も黄色の小鳥もいるんだよ?」
ナナミ「……」
先生「自由だからこその険しさもあるし…」
ナナミ「それでも僕は小鳥になりたいです」
先生はニコッとして
「じゃあどうして小鳥さんなの?
小鳥さんじゃなきゃ本当にダメなの?」
ナナミ「あの時、僕は具体的な理由が出てこなかった……小鳥になりたい理由
そうだ……元を辿れば絵本だった
小鳥の絵本……
その絵本の主人公は自由で優しい小鳥だった
そんな些細なキッカケが今もこうやって
自分の身を覆ってると恐らしくなる
小鳥じゃなきゃ嫌だった理由が何となく分かった
だけど、どうして先生は僕に
意地悪な程に……」
翌日
またあの公園
ベンチに小鳥みながら座る
ヨメ「ねぇ、ナナミ君……何処の学校行くの?」
ナナミ「小鳥になりたい……」
ヨメはナナミを見つけて近づく
ヨメ「小鳥……?」
とナナミは気づく
ナナミ「……いたんですか」
ヨメ「どうして小鳥になりたいの?」
ナナミ「……自由で優しいからです」
ヨメ「……し」
「僕は啼いていた……誰よりも
その日の夜もずっと……」
ヨメ「し、知ってた!?」
ナナミ「ん……」
ヨメ「小鳥って沢山の色の種類がいるんだよぉ!」
ナナミ「知っています赤、青、黄、緑、黒、白……沢山の色が存在します……
そんな何色にもなれる小鳥が好きなんです」
独白
「昨日も啼いた昨日は人に優しくなれていたのだろうかと」
ヨメ「ナナミ君!小鳥だよ!」
ヨメ「だって!そうだよ!
アナタは何色にも染まってない!
何色にもなっていないアナタは!
何色にもなれる!」
「昨日の僕は優しかったのだろうか……
彼女は優しさを捉えていたのだろうか」
ナナミ「……」
ヨメ「アナタのその何色でもない
姿は小鳥その物だよ……」
ナナミ「少し……なに言っているのか」
独白
「分かるだろ……言ってる意味……」
「いつまで僕は……優しくなれないんだ
彼女がこんなにも優しい言葉を放っているのに」
ヨメはナナミの頬にコンポタを当てる
ヨメ「アナタは誰よりも自由で優しい人だよ」
コンポタに頬の感触
ハッとする
ヨメ「私はそんなアナタが好きなんです」
「ほら、彼女は雀だ」
独白
「ほら、今日も啼いてしまいそうだ」
ヨメ「ほら、開けて……乾杯しよう」
ナナミ「……」涙を溜める
ヨメ「アナタは何色でもなれる小鳥……
七色の小鳥だよ」
独白
「啼いて良いのだろうか」
ナナミ「啼いて……いいですか」
ヨメ「……うん」
ナナミ「小鳥は綺麗な声で啼く……だけど」
ヨメ「……良いよ」
とナナミの嗚咽
独白
「今日も啼いてしまった……
だが心なしか今日は綺麗に啼けた気がした」
「今、あの頃に戻れていたなら
僕はこう言う」
先生「……」
ナナミ「僕は小鳥と言う生物を
自由で優しい存在としてしか見ていなかった
ソノ存在に僕は憧れたんです
誰よりも人間と言う鎖に縛られて
何色にもなれないで、誰にも
優しくなれない自分だった
…だから自由で優しくて何色にもなれるている小鳥に憧れたんです」
先生「うん……」
ナナミ「……」
先生「花道七海君……アナタは将来どんな風になりたいですか?」
ナナミ「七色の小鳥です」
「あの頃の僕が答えに辿り着けなかった
そうだよな…あの時の僕は理想しか見ていなかったのだから
それで良い、コレで良かったんだ」
先生の微笑み
「先生は正しかったのか……それは分からない
肯定も否定はされなかった訳だし
本の大人の意地悪だったり案外するよな」
ヨメのほっとした顔
「強く想う事、強い意志と共に……」
と5時のチャイム
ヨメ「……」
ナナミ「……」
カラスが啼く
ヨメ「……啼いたね」
ナナミ「…今日も烏子が啼いた」
ヨメ「帰ろう」
と二人は手を繋ぐ
読んでくれてありがとう‼︎
反応やコメント、ポイントなど宜しく!
今後も末長く宜しくお願い致します!