ゆめなのだろうか
最近、夢と現実の区別が曖昧になることが多い。
文字通り自分が今体験している事が、夢か現実かの区別がつかないのだ。
これだけ聞くと大変な重症のように感じるかもしれないが、日常生活にいっさいの支障はきたしていない。
理由は単純である。
この出来事が起こるのが‘’夜“だからだ。
夜というよりは深夜といったほうが適切かもしれない。
これを聞くと単に夜だから眠くて意識がはっきりしないだけだと思われるかもしれない。
いや、もしかしたらそうなのかもしれない、むしろそうであってほしいと思う。
もし起こっていることが現実であるとするのなら、恐怖に耐えられないからだ。
実際、夜に何が起きているのかは覚えていない、あるいは防衛本能によって思い出さないようにしているのかもしれない。
とにかく、朝になって覚えているのは漠然とした“恐怖”だけなのだ。
そして日に日にその覚えている‘’恐怖‘’は増している。
現在時刻は深夜一時。
今日、今から起こる事を、ここに記録しようと思う。
ふと目が覚めた、どうやら少し寝てしまったみたいだ。
スマホの時計を見ようとしたが、なぜか表示されない。
部屋はさっきより少し明るく、温度が下がったように感じる。
唐突に寝室のドアが叩かれた。
丁寧だが無機質なノックの音が、寝室に響く。
ああ、今日も”彼女”が来るのか。
昨日も一昨日も”彼女”はきた。
なぜ忘れていたのだろう。
逃げ出そうとしても体が一向に動かない。
その時、ノックが止み、”彼女”が入ってきた。
彼女はボソボソと何かを言いながらちかずいてくる。
やはりまだあの日のことを恨んでいるのだろうか
はやくにげなきゃ、昨日はすぐそこまできてた
はやく、はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく
さいきん、ゆめとげんじつのくべつがあいまいになることがおおい。
これはゆめなのだろうか